第3章


 黒宮相手にセンセーショナルな勝利をおさめた純菜は、そのまま全国大会も優勝した。

 全国の強豪たちを全く寄せ付けなかった。ほとんどが秒殺KO勝利で、男たちは全身を溶かされるか、盛大な射精をして再起不能に陥っていった。

 純菜が苦戦することは一度もなく、まったくの余裕でもって全国優勝を勝ち取ってしまったのだ。その勝因の一つは黒宮との戦いにあった。

 決勝戦の相手をまるで子供扱いして散々にいたぶった映像はまたたく間に全国に拡散した。バトルファックをやっている人間であの映像を見なかった奴はいなかっただろう。その中で、童顔の少女が、経験豊富な娼婦のような性技でもって、男をいたぶっていた。しかも、どんなサディストよりも残酷な方法で男をメスイキ地獄に陥れ、最後には土下座をさせてオナニーをさせるという衝撃的な結末まで待っている。

 男を再起不能にしてしまう実力。

 純菜の強さに震え上がった全国の強豪たちは、純菜を前にしただけで恐怖した。中には試合を棄権してしまう選手もいたほどだ。勇気あるバトルファッカーたちはリングにあがり、純菜に絞りとられた。

 壊し屋の異名は全国大会でも健在で、全10試合のうちの7試合で、相手選手は壊れ、最終的には選手生命を奪われることになった。特に乱暴なことはしておらず、純菜が披露した技はパフパフとパイズリ(悪魔殺しの大鉄槌)だけなのに、対戦相手は重度のおっぱいドランカーとなり、中にはインポになる奴もいて、屍の山を築きあげることになった。

 タオルが投げ入れられるタイミングが早くなったが、それよりも前に純菜は男たちを壊してしまった。何人かはPTSDを発症して、女性を見ると発狂してしまうようになったらしい。特に、おっぱいの大きな女性を前にしただけで気絶してしまうそうで、その後遺症はどこまでも深刻なものらしかった。


「ありがとうございます。優勝できて、本当にうれしいです。わたし、もっともっと強くなるので、これからも応援よろしくお願いします」


 満面の笑みで優勝スピーチをする純菜。

 リングの上でスポーツマンが嬉しそうに笑っている様子はどこまでも爽やかだった。しかし、その足下では純菜のパイズリをくらって壊され、痙攣と射精が止まらない男が生死の境をさまよっている。医療班が深刻な顔をして応急措置を行っている横で、童顔少女がその爆乳に大量の精液をこべりつかせながら感謝の気持ちを表明しているのはどこまでも印象的だった。

 純菜の名前は全国に轟き、世界でもその名が驚きをもって迎え入れられることになった。純菜は一躍、時の人になってしまった。


 ●●●


「それじゃあ、乱取り15分間。開始」


 競技場で俺は合図をしてパンと手を叩いた。

 競技場のリング脇に所狭しに敷いたマットの上で、大勢の男女が模擬試合を開始した。その活気は大会前には想像すらできなかったほどだ。


「ハハっ、盛況だね」


 俺が部員たちを見回っていると、競技場に入ってきた岸田先輩が声をかけてきた。


「岸田部長。お久しぶりです」

「おいおい、今の部長は君だろう」

「そうでしたね。なかなか慣れなくて」


 大会終了後、3年生は引退し、俺は部長に任命された。

 少し意外な気がした。実力的にも話題的にも純菜が部長になるとばかり思っていたからだ。岸田先輩は俺を部長に、純菜を副部長にそれぞれ指名していた。これからは二人で協力してバトルファック部を強くしていって欲しいと激を入れられたのがつい先週のことだった。


「それにしても、部員も増えたね」

「そうですね。純菜効果です」


 大会後、バトルファック部には入部希望者が殺到することになった。

 2年生もそれなりにいたが、特に多かったのが1年生だ。今では50人を越える大所帯になっていた。しかも、入部してきた人間は俺たちの学校の生徒だけではなかった。


「確か、BL学園から転校生がきたんだろ?」

「ええ。麗美ですね。ほら、あそこにいる」


 競技場の片隅で長身のスタイル抜群な女性が男子部員をヒイヒイ言わせていた。

 地区予選終了後、すぐに転校の手続きをしたらしい。頭もよかったらしく、この進学校のテストもなんなくクリアしたらしかった。


「しかし、なんでまたこの時期に?」

「純菜を追いかけてきたみたいですよ。純菜と一緒にバトルファックがしたいって。あのポーカーフェイスの麗美が熱く語ってましたから」


 バトルファック部への入部希望を俺に提出してきたときも、まるで入部を拒否されたら差し違えるような雰囲気だったことを覚えている。実力者は大歓迎だったので、入部は許可した。あっさりと入部が許可されたことが意外だったのか麗美のキョトンとした顔が印象的だった。


「セ~ンパイ、こいつ気絶したから後はヨロっ」


 岸田先輩と話しをしていると、姫華が俺に男子部員を放り投げてきた。俺は白目をむいて気絶している男子部員を慌てて受け取った。
 






「おい姫華。お前、また無茶したんだろう」

「そんなことしてないッス。ウチはただパイズリでそいつの精液搾り取っただけッスよ」

「お前なあ。こいつは2年生でお前の先輩っつったって、バトルファックは素人なんだから、もう少し優しくだな」

「そんなの関係ないッス。つーか、そんなヤりたいだけの猿にはこの部活に入って欲しくないッスね。ウチのおっぱいずっとガン見してきて、気持ち悪いッス」


 そう言って、姫華が自分の胸をぐんにゃりと潰した。

 競技水着からあふれた姫華のおっぱいの大きさがそれだけで強調される。相変わらずデカい胸だった。純菜ほどではないが、麗美よりもその大きさは際立っていた。そんな大きなおっぱいには大量の白い液体がこべりついていて、姫華の褐色の肌にあって妙にエロかった。


「ほら、タオル。ふけよ」


 俺がタオルを渡すと、「ありがとっス」と猫のように笑いながら姫華が立ち去って行った。

 おそらくいつものように、あいつの模擬試合を見学に行くのだろう。そのために、姫華は男を秒殺失神させたのだと思うと、ヤレヤレと頭を抱えるしかなかった。


「確か、あれは姫華くんだったね。彼女も入部を?」

「ええ。入学した当初はあれだけ誘ってもダメだったのに、大会後はころっと入部ですよ。スクールもやめて、部活に専念してるみたいです」

「それも純菜くん効果か。すさまじいね。それにしても、おっぱいドランカーの俺ではこの場は目に毒だな」


 岸田先輩が競技場を見渡して言った。

 岸田先輩の視線は女子部員たちに向けられていた。

 1年生中心の顔ぶれ。総勢12名の特徴は皆、胸がデカいということだった。

 純菜は別格としても、姫華、麗美を筆頭にして、女子部員たちの胸は平均以上にデカかった。それがこうして勢ぞろいしているところを見ると、圧巻の一言だ。


「純菜の試合を見て、胸が大きいことがコンプレックスだった子たちが、勇気をもらったって言ってましたね。それで、自分もバトルファックをやってみたいって」

「そうか。姫華くんと麗美くん以外は全員素人とのことだが、これだけの素質たちだ。純菜くんの指導もあれば、すぐに実力者になるだろう」


 遠い目をした岸田先輩が言った。

 おそらく寂しさ。それを感じているのだろう。引退した身であることを残念に思っているのかもしれなかった。


「それはそうと、健二。俺が言ったことは覚えてるね?」


 岸田先輩が唐突に言った。


「覚えてますよ。部長に任命された時のことですよね」

「そうだ。それは絶対に守らないといけないぞ」

「分かってます」

「今は分かってるかもしれないが、君も男だ。なんの役にも立たないプライドが邪魔をして、いつか忘れてしまうかもしれない」

「大丈夫ですって。純菜とは敵対しない。それだけは絶対に守ります」


 それが部長が俺に言い聞かせたことだった。

 男女をまとめるにあたって俺が部長になることが一番であると判断したが、それには純菜と敵対しないということが大前提にあると岸田先輩は真剣な顔をして言った。彼女と敵対関係になればすぐに部活は崩壊する。絶対に純菜に逆らうな。そう岸田部長は何度も俺に言い含めてきたのだった。


「まあ、覚えていてくれればいいんだ。それが君と……純菜くんのためでもある」


 意味深に言って岸田部長はつぶやいた。

 今でもこうして部活に顔を出してくれるのはとてもありがたいことだった。ほかの3年生たちはどういうわけか部活に全く顔を出さなくなってしまっていた。ほかの3人はともかく、藤山副部長が姿を見せないことは意外だった。あの人は純菜の奴隷みたいになっていたから、引退後も部活に入り浸ると思っていたんだけど。

 そんなことを考えていると、麗美が俺に近づいてきた。
 






「部長。この人もお願いします」


 そう言って、麗美が気絶した男を渡してきた。

 男の様子は散々なものだった。白目をむきビクンビクンと痙攣している。どうやら麗美はその長身を活かして脚コキで男を失神KOしてしまったらしかった。彼女の脚には白い液体がこべりついている。


「麗美、お前も見学か?」

「……はい」

「そうか。まあ、タオルで体拭いてからいけよ」


 俺が手渡したタオルを受け取ると、麗美はペコリとお辞儀をして競技場へ戻っていった。

 男を失神KOしたというのに、その様子はクールビューティーといった感じで、特に疲れた様子も喜んだ様子もなかった。


「どれ、その二人は俺が医務室に運んでおいてやろう」


 岸田先輩が俺から男子部員二人を受け取って言った。


「お前は、あっちの様子を見てきたほうがいいんじゃないか? 彼女の相手は、この二人とは比べものにならないヤられ方だと思うぞ」

「そうですね。では、申し訳ないですが、その二人を頼みます」

「うむ。俺も、彼女がやりすぎないように注意するべきなんだろうが、彼女を前にするとどうしようもなくてね。ほら、あの獣みたいな悲鳴が聞こえるだけで、今も足が震えるんだ。体が覚えているんだろうな」


 そう言い残して岸田先輩が男子部員二人をかついで医務室にむかった。

 俺は先輩の後ろ姿に頭を下げてから、獣じみた悲鳴があがりっぱなしの一角に急いだ。



つづく