世界征服はあっという間に完成した。
手始めに開始された地球征服では、世界各地の戦隊が魔王軍を相手に奮戦し、なすすべもなく破れていった。
世界最強戦隊の面々が手も足も出なかったのだ。地球の最大戦力を子供扱いしてしまうほどの強さをもった魔王軍に、ほかの戦隊が勝てるはずがなかった。
「ねえねえ、もう抵抗しないの?」
戦力差は歴然で魔物たちは遊び始める。
刃向かってくる戦隊員たちをなぶり、屈辱の極地に沈め、その絶望しきった表情を楽しんでいく。
ティファやエイファはもちろんのこと、ほかの魔物たちも戦隊員を圧倒する力をもっているのだった。ビンタだけでボコボコにしたり、ひたすら絞め落として遊んだり、足を舐めさせたりと、地球の各地で魔王軍による蹂躙が続いた。
「抵抗しないなら食べるね」
そうした遊びが終わると食事が始まる。
魔物の尻尾が獲物である戦隊員に襲いかかり、ぺろりと丸呑みしてしまう。
大柄な魔物の中には5人まとめていっきに捕食してしまう者もいて圧巻だった。獲物の体を締め上げて魔力を搾り尽くし、最後にはその体ごと吸収してしまう。尻尾から吐き出された戦隊員たちのスーツベルトや靴だけが地上にうずたかく積まれるようになった。
「ん、また強くなった」
食事を終えた魔物が笑う。
まだ幼い、あどけなさを残した顔で、サディスティックに笑った女型の魔物。
既に何匹も食べてきたその魔物の身長は2メートルを越え、おっぱいも大きすぎるものになっていた。
食べれば食べるほどに強くなる。
それを自覚した魔物たちは我先にと各地の戦隊を見つけ出し、血祭りにあげ、食べる。どんなに逃げても、どんなに隠れても、執拗な捕食者は獲物の痕跡を見逃すことなく追い詰め、そして最後にはペロリと平らげてしまう。そしてまた強くなり、他のオスが束になっても勝てない力を身につけていってしまう。それが世界各地で繰り広げられていった。
*
地球だけではない。
地球に侵攻してきた世界にも、魔王軍の手が伸びた。
地球の戦隊員たちが絶滅しつつある中で効率的な食事をするためには、他の世界でエサを探すのが一番なのだ。
女型の魔物たちは競うようにして他の世界へと侵攻し、その世界の強いオスたちを食べていった。
まだルールが定まっていない黎明期には世界のオス全員を食べてしまう魔物もでてくるほどだった。そうなると、その世界のメスが今後マゾ家畜の確保に支障をきたしてしまう。そこで食べていいエサは一定量以上の魔力をもったオスだけというルールが定められ、以後は持続可能な食事が可能となった。
「あは♡ 男ってこんなに弱かったんだ♡」
「マジでザコじゃん。弱すぎ」
「もうウチらのほうが強いんだねー」
魔物だけではない。
現地民の女性たちもオスを虐めて魔力をたくわえていく。
強い女性の中には魔物たちと同じように男を食べてしまう個体も確認され、女と男の間の実力差はさらにひらくようになった。一定量以上の魔力をもったオスたちは皆食べられてしまったので、残されたオスたちは抵抗することもできず、女による支配を甘受するようになっていった。
世界規模で女による男の支配が完成していく。
そして、最後―――。
詩織が世界征服を宣言してからわずか1ヶ月後のことだった。
最後まで抵抗していた世界戦隊協会に魔王軍の旗が立った。
すべての男たちの抵抗は鎮圧された。最後まで戦った世界戦隊協会の男たちに敬意を払って、魔物たちは最後の食事の光景を世界同時配信した。
「全世界の男のみなさ~ん、見えてますか~」
詩織がニコニコしながら言った。
食事の光景を全世界のオス全員の眼前に映し出すという離れ業をやってのけながら、彼女は余裕の表情で食事を続けていた。
「むううううッ! むううううッ!」
彼女の爆乳が初老の男の顔面を喰らい、躍り食いを始めている。
ますます大きくなった詩織の生乳を映像越しに見せつけられた男たちは、例外なく勃起し、中には視覚情報だけで射精してしまう輩も出る始末だった。
「みなさんの中で一番偉い、世界戦隊協会の総帥が、わたしのおっぱいで食べられちゃってま~す。じたばた暴れて面白いですね~」
バカにしたような詩織の笑顔。
それは全世界の男をバカにする笑みだった。
男たちの権威の象徴みたいな総帥が恐ろしいおっぱいによって食べられていく。
そんな配信を見せつけられたすべてのオスはマゾ性癖を植え付けられてしまうのだった。
「総帥というからには強いのかと思ったらすごいザコでした。ほら、何も抵抗できずおっぱいに食べられていきますねー」
効率的なマゾ家畜化のために、詩織がニコニコ笑いながらおっぱいで総帥を食べていく。
いつものように腰まで丸呑みされた獲物の足がパタパタ運動を始める。それを見せつけて、カメラ目線で妖艶に笑った詩織が、最後にぱっくんと総帥の足首まで食べて―――終わった。
「よいしょっと」
最後の仕上げをしようと、詩織が食べ終わった総帥の体を反転させる。
獲物の顔面を谷間から露出させてしまう。大きな乳房と乳房の間に、威厳たっぷりだった初老のアヘ顔が埋まり、それが全世界に中継された。
「女のほうが男より強いんです」
両手で左右からおっぱいを寄せあげ総帥の顔をサンドイッチしながら詩織が言う。
「弱い男は強い女に食べられちゃうんです」
ニンマリと笑って、
「それが嫌なら、おとなしくマゾ家畜として魔力を提供してくださいね。少しでも反抗的だったら、こうなりますよ」
ぐじゃああああッ!
おっぱいという牙が獲物を食らいつくす。
乳肉同士が擦りあわされてギチギチと音がなるほどの締めつけ。詩織が笑いながらおっぱいをひらくと、さきほどまで埋まっていた総帥が食べられ消えていた。
「わたしたちだけじゃありません。全世界の女性に力を与えたので、誰もがオスを食べてしまうことができます」
世界の改変を詩織が告げる。
「今まで友達だった女の子や、電車で隣あった女性、これまでは庇護の対象だった妹だったり娘に絶対服従してください。これからは女性で世界を統治します。絶対服従を誓う限りマゾ家畜として飼ってあげますから、ね?」
ぎゅううううううッ!
最後に見せつけるようにおっぱいを寄せあげる。お前らのことはいつでも食べられる。そう告げるようなおっぱいの躍動を前にしてオス全員がフル勃起のあげくに射精した。白い旗がパタパタと揺れていく。
●●●
世界は改変された。
地球でも日常的に女の子様がオスを飼うようになった。
オスたちに与えられた仕事は魔力を生み出すことだけ。その仕事を効率的にするために女の子様たちによるマゾ調教が至るところで繰り広げられていた。たとえば、ごく自然の日常で、あたり前のようにこんな光景がひろがる。
*
「…………」
オフィスは静寂に包まれ、キーボードを打つ音だけが響いていた。
熱心に仕事をしていく社員たち。その全員が女性だった。オスたちは皆、全裸で四つん這いとなり、女性社員のための人間椅子になっている。
「ううううッ!」
呻き声をあげながらオスが悶える。
彼は、かれこれ1時間近くも人間椅子のままで女性社員の体重を支えていた。
しかも彼が支えている女性はスラリとした細身でありながらお尻だけは巨大だった。オスの背中からあふれるほどの大きさをダイレクトに感じながら、プルプルと震える両手両足で、必死に女性社員の体重を支えていく。
「先輩、うるさいですよ?」
オスの背中に腰掛けた女性社員が言った。
黒髪ロングヘアで人なつっこいクリクリした瞳をした女性。優しげな声ではあったが語られる言葉は残酷の一言だ。
「せっかく人間椅子として使ってあげているんですから、しっかりしてください」
「ご、ごめんなさい」
「人間椅子としても使えないなら廃棄処分決定ですよ? ほかのオスみたいに先輩もわたしのお尻で食べられたいですか?」
ぐりぐり。
そのたわわに実った巨尻で男の背中を潰しながら言う。暖かさと柔らかさ。かつての世界だったらご褒美以外のなにものでもなかった感触はしかし、改変された世界では地獄に他ならなかった。
「ひいいいッ! 食べないでえええッ!」
女性社員が語ったことは本当だった。
人間椅子になっているオスは目の前で見たのだ。この巨尻が同僚の男性社員をムシャムシャと食べてしまう光景が脳裏によみがえる。見事な桃尻の間に挟まった男性社員の断末魔まで思い出してしまった人間椅子が必死に女性社員の体重を支えていく。
「冗談ですよ。先輩」
女性社員が笑って言う。
「指導担当だった先輩をいじめるの楽しいので、しばらくの間は使ってあげます。わたしに飽きられないように、がんばってくださいね」
ぐりぐり。
今の立場を分からせるように女性社員が巨尻でオスの背中を潰す。
巨尻の下敷きになった男は涙をぽろぽろ流しながら人間椅子となる。その体は自動的に輝き魔力を生み出していく。マゾ家畜として調教され、そして休み時間になれば女性社員の巨尻で魔力を吸収されるのだ。それがかつて指導役だったオスに与えられた新たな仕事だった。
*
休み時間の教室。
女子による支配は中等部でも当然のように行われていた。
かつての友人同士でもおかまいなしだ。世界改変が行われる前には気さくに冗談をかわし、男友達みたいだった少女が、今では率先して友人だった男子をマゾ調教していた。
「おら、舐めろよ」
ニヤニヤしながら少女が言う。
ショートカットのボーイッシュな女の子。けれどもスカートから伸びるムチムチで筋肉質な太い脚によって、彼女が支配階級である「女」であることが分かる。陸上部に所属し短距離走を専門とする少女の鍛え上げられた美脚が伸ばされ、足下に転がった男子の眼前に突きつけられていた。
「うううッ!」
命令されれた男子に選択の余地はない。
かつての女友達。
クラスメイトであり、同じ陸上部の短距離選手として切磋琢磨していた少女の脚をぺろぺろと舐めていく。素足ですごすことが好きな少女は教室で靴下と上履きを脱いでしまう。だから当然のように少女は生足をさらしていて、男子はそれを一生懸命に舐めていくのだ。
「あはっ、舐めたね」
「うううッ……ぺろぺろ……」
「あーし、トイレ行く時も素足のままだぞ? 足裏とかすっごく汚くなってる。それをペロペロ舐めさせられるって、すごくかわいそうだな」
バカにしたように笑いながらの言葉。
それを受けても男子は舐め続けるだけだ。少女の汚れた足裏に舌を這わせて舐め清めていく。足裏に付着したゴミカスを舌で回収してゴクンと飲み込むのも忘れない。男子の喉が鳴るのを見て、少女の加虐趣味がさらに燃え上がる。
「うまい?」
ニヤニヤしながら少女が聞く。
「ねえ、あーしの足裏についてたゴミ、うまいの?」
かつての男友達に足を舐めさせて少女が興奮していた。
ニンマリ笑った陸上少女に質問されて、男子がプルプルと震える。そして、耐えられないとばかりに口をひらいた。
「も、もうやめようよ」
足舐めを止めて、オドオドしながら、
「こんなの絶対おかしいよ。友達の足を舐めるなんて、そんなの同じ人間のやることじゃない」
かつての女友達の良心を信じて男子が言う。
かえってきたのは辛辣な言葉だった。
「なに? まだ自分が人間だと思ってたのお前?」
底冷えのする声色。
男子が「ひい」と悲鳴を漏らす。
「あーしと対等でいるつもりなんだ?」
「ゆ、ゆるして」
「おまえは、マゾ家畜だよ」
ドッスンンッ!
分からせるように少女の足が男の脳天を踏み潰す。短距離走で鍛え上げられた太ももの皮下脂肪の下から、凶悪な筋肉が目覚めてしまった。
「あーしに虐められて悦ぶマゾ」
「ひいいいッ!」
「あーしに虐められて魔力をつくっちゃう家畜」
「ゆるじで……ゆるじで……」
「ふっ、少しはやいけど食べるか」
少女が怯え狂った男の髪の毛をわし掴みにする。
ひょいっと軽い荷物でも扱うように男の体を持ち上げ、その胴体を太ももで挟みこんでしまった。
「ひっぎいいいいッ!」
男の胴体に少女の太ももが食い込む。
椅子に座った少女が、膝立ちになった男の胴体を挟みこみ食べてしまったのだ。
締めつけは最初から強烈だった。ムチムチしていた太ももが短距離走選手の凶悪な筋肉の鎧でおおわれている。男の胴体ほどにも発達した少女の太ももと太ももが、挟みこんだ男の胴体を喰い破り、くっつきそうになっていた。
「捕食開始っと」
キュイイインンッ!
男の体が輝き魔力が少女の太ももへと吸収されていく。一般人の魔力は少ない。すぐに男の体が土色に変色していく。
「あはっ、萎んできちゃったね」
「ゆる……ゆ……」
「マゾ調教が不十分で製造できた魔力量も少なかったから当然だよね。今はお前の生命力そのものを食べてる。まずいけどね」
少女がかつての男友達を食べていく。
そこに良心の呵責なんて1ミリもなかった。自慢の太ももで男を喰らい、その魔力を吸収してまた強くなる。少女と少年の能力にはさらなる差が生まれていくのだ。
「これで分かったでしょ? お前はマゾ家畜」
「いっぎ……ギイイッ……」
「女の子に虐められて悦ぶ変態マゾ野郎。自分の大事な魔力を奪われて食べられる被捕食者。そんな情けない存在が、あーしと対等なんて、あるわけないよね?」
ぎゅうううううううッ!
さらに締めつけが増す。
ゴキュンッと変な音がして少年が苦しそうな表情を浮かべる。言葉すら太ももに潰されて発することもできなくなった少年にできるのは、少女の問いかけに対して、一生懸命に首を縦に振ることだけだった。
「ふっ」
鼻で笑った少女がガバッと太ももをひらく。
力なく倒れ「かぎゅううッ♡」と必死に呼吸をしている少年の眼前―――そこにむけて陸上短距離女子が足先を突きつけると、一言、
「舐めろ」
「ひいいいいいッ!」
少年が半狂乱に陥ってむさぼりついた。
1週間何も食べられなかった犬のように、少年が少女の足にかぶりつき、ぺろぺろと舐めていく。自分の舌を道具にしてペチャクチャと盛大な唾液音を響かせながら少女の足を舐める。かつてのクラスメイト。かつてのライバル。気心が知れたはずの女友達の足へ必死のご奉仕。そこにはプライドも何もあったものではなかった。少女の太ももによって一瞬で少年のプライドは潰されてしまったのだ。
「このまま一日中舐めさせる」
「じゅぱあッ……ジュルルッ」
「授業中もずっとあーしの足下に待機させて舐めさせる。少しでもさぼったら躍り食い。お前の親友みたいに、あーしの太ももでムシャムシャ食べてエサにするからな?」
少女の声を聞きながら少年が舐める。
その瞳からボロボロと涙が流れていく。
教室の床に、涙と涎がたまっていった。
*
女による支配に年齢差は関係ない。
どんなに幼い少女でも、成人男性を圧倒してしまえる力をもっている。初等部の職員室でもマゾ調教が繰り広げられていた。
「ほ~ら先生~、しっかりマゾダンス踊ってくだちゃ~い?」
男性教師が教え子の前でマゾダンスを踊っていく。
男は少女の担任教師だった。既に休み時間は終わっており、教室で授業をしていなければならない時間帯。他の教師たちは全員が教室にむかっており、職員室内には少女と男性教師の二人しかいない。そんな状況で教え子が先生を調教していた。
「ひいいッ! ひいいッ!」
まだ30代と思われる男性教師は全裸だった。
健康そうな成人男性が丸裸になって両手を頭の後ろで組んでいる。さらには「ヘコヘコ♡」と腰を前後に振っていく。勢いよく、元気に。それが教え子から教わったマゾダンスだった。
「キャハッ、すっごい惨め~」
担任教師の情けない姿を鑑賞しながらメスガキ少女が言う。
少女は栗色の髪をツインテールにしていた。幼い顔立ち。身長だって6年生相応の低いものでしかない。吊り目がちな瞳をニンマリとさせて、メスガキ少女が担任教師にマゾダンスをさせて楽しんでいる。
「先生~、教え子に脅されてマゾダンス踊って、今どんな気分でちゅか~」
「ひいいッ! ひいいッ!」
「一生懸命に腰フリフリして、フル勃起したち●ぽブルンブルン揺らして、空気とセックスさせられて、今どんな気分~?」
ニヤニヤとメスガキが笑う。
男性教師はガクガクと震えながらも必死にマゾダンスを踊っていく。汗が周囲に舞う。筋肉の限界で足がガクガク震えながらも必死に腰を振っていく。それほどまでに男性教師は目の前の少女に恐怖しているのだった。
「キャハッ、怯えてるじゃ~ん。そんなにウチのおっぱい怖いんだ~?」
メスガキが男性教師に向けて凶器をつきつける。
年相応の身体にあって規格からはずれている爆乳。年齢らしからぬ膨らみをもったおっぱいは、体操服をつき破ろうとしているようにしか見えなかった。それがグイっと前に突き出されただけで、男性教師が「ひい」と悲鳴を漏らす。
「おっぱい怖い?」
フリフリとおっぱいを揺らしながらメスガキが続ける。
「ねえ、おっぱい怖いの?」
さらに男性教師に近づく。
股間近くまでおっぱいが突きつけられ、恐怖で悶えた男性教師の腰振りが弱々しいものに変わる。間違っても目の前のおっぱいに一物が触れないように怯えながら、教え子の前でマゾダンスを続けていく。
「おら、答えろよ」
乱暴な口調。
怯えた教師がついに叫んだ。
「はひいいいッ! 怖いですうううッ!」
敬語。
教え子にむけて怯えきった敬語で話し、媚びを売るように元気よくマゾダンスを踊っていく。それを鑑賞してメスガキがニンマリと笑った。
「そうだよね~。だって、ウチの機嫌を損なうと、このおっぱいで食べられちゃうんだもんね~」
「ひいいッ! ひいいッ!」
「3組の先生も、6組の先生も、み~んなウチのおっぱいで食べられちゃった。ウチのこと説教してきた教師はみ~んな、このおっぱいでムシャムシャ食べられちゃったんだもん。そりゃ怖がるよね~?」
ぐいっ。
さらにおっぱいが強調される。
小さな身体とはアンバランスな爆乳。そのおっぱいで同僚の教師たちが文字通り食べられていく光景を見せつけられてしまった担任教師は、怖くて怖くて仕方ない。自分の娘ほどに離れた幼い少女に命令されても言うことを聞くしかない屈辱。担任教師はガクガク震えながらも、マゾダンスを披露していくしかなかった。
「やはり職員室でしたか」
その時、職員室のドアがひらいた。
現れたのは黒髪ボブカットの真面目そうな少女だった。身長も小さい。けれどそのおっぱいだけはメスガキ少女と同じようにデカかった。
「先生、授業の時間ですよ? いつまで遊んでいるんです?」
冷たい声が響く。
メスガキ少女が軽薄そうに言った。
「委員長~、真面目すぎ~。別にいいじゃん授業なんて。もう必要ないっしょ?」
「なに言ってるんですか。カリキュラムどおりに授業をしてもらわないと困ります。いくらマゾ家畜飼育が女子の役割になるからといって、勉強をしなくてもいいということにはなりません」
真面目に少女が言った。
クラスの委員長を担っている女の子。頭脳明晰でスポーツも優秀な才女がチラリと、全裸でマゾダンスを踊る担任教師を見つめる。
「先生、情けないと思わないんですか?」
委員長が呆れたように言う。
「教え子に脅されただけで職務を放棄してマゾダンスを踊るなんて、情けないと思わないんです?」
「うううッ!」
「あーあ。まだマゾダンスを踊り続けてる……そんなに主体性もない家畜なら、すぐに屠殺処分にしましょうか?」
ぎゅううッ!
委員長が自分の爆乳を左右から寄せあげる。白のブラウスごしにおっぱいが強調され、やはり担任教師が「ひい」と悲鳴を漏らした。
「あ~、先生、委員長を怒らせちゃったね~。この子、真面目な顔してやることエグいからね~。ウチと同じく男性教師を二人もおっぱいで食べて屠殺処分にしちゃったんだもん。マゾ家畜にされてばかりで授業もろくにできない教師はいりませんって、パクパク食べちゃう。先生も食べられちゃうのかな~?」
メスガキが笑いながら同じように左右からおっぱいを寄せあげる。
4つの乳房を突きつけられた担任教師はガクガクと震えるしかないようだった。マゾダンスを止めればメスガキ少女のおっぱいで食べられる。マゾダンスを続け授業ができなければ委員長のおっぱいで食べられる。どちらを選択してもエサになる。教え子たちのおっぱいをさらに大きくするための栄養源とされてしまう。担任教師がボロボロと泣き出した。
「ゆるじで……ゆるじでください」
教え子たちに向けて必死の命乞い。
「がんばりますから……どっちもがんばりますから……だから食べないで……エサにしないでください……」
恥も外聞もなくお願いをしていく。
全裸の成人男性が、はるか年下の少女たちの前で完全屈服しているのだ。けれども少女たちはどこまでも残酷だった。
「もういいです」
「食べよっか、こいつ」
委員長とメスガキが男を見つめる。
その瞳は同じ人間を見る目ではなかった。エサを見つめる視線だ。同胞に対する仲間意識なんてカケラもない冷たい瞳を前にして、担任教師は恐怖で腰を抜かして倒れてしまった。尻もちをついて、教え子たちの足下で「ひいひい」と悲鳴を漏らしていく。
「同時に食べようよ委員長」
「どうやってですか?」
「ウチは足から食べてくから、委員長は頭から食べちゃうの。どっちが多く食べれるか競争」
「いいでしょう。わたしが勝ったら、あなたももう少し真面目に授業を受けてもらいますからね」
少女たちが話し合いをしていく。
そこに担任教師の都合なんてどこにもなかった。
既に教師のことを「食べる」ということは確定してしまっているのだ。少女たちがその自慢のおっぱいで担任教師に狙いを定める。男は「ひいひい」と悲鳴をあげて、イヤイヤをする子供のように顔を左右に振るだけ。捕食者たちが昼下がりの職員室で食事を始めようとした―――瞬間だった。
「こっちだ!」
職員室に突如として煙幕がはられる。
すさまじい勢いで室内が白一色になった。視界は遮られ、エサの姿も見えなくなってしまった。
「なになに!?」
「なんですかこれは」
驚いたように声をあげる捕食者たち。
委員長が機転をきかして窓をあける。煙幕が白い塔のようになって外に流れていく。ようやく視界が戻ったとき、今度こそ捕食者たちが驚いた。
「え、いない」
「逃げられましたか」
職員室に全裸の担任教師の姿はなかった。
あとには呆然とたたずむ少女たちが残された。
*
「もう安心です。ここならあいつらも入ってこれない」
担任教師を救ったのはレッドだった。
元第13戦隊のリーダーが、学校のカーテンで体をつつんだ担任教師に肩を貸し、セーフティーゾーンへと案内したのだった。
「ありがとう……本当にありがとう」
涙をぽろぽろ流しながら教師がお礼を言う。
エサになる寸前で救われて、担任教師は緊張の糸が切れたように泣きじゃくっていた。
「大丈夫。もう大丈夫ですから」
そこは結界を張って魔物などが侵入できないようにした山小屋だった。
室内には他にも救出された男たちがたくさんいた。
新たに仲間になった男性教師にむかって、男たちが声をかけていく。入手することが難しくなっている暖かいお茶を男性教師に勧めている者もいた。皆、女からの迫害を受けエサにされる寸前で救われた過去がある。そのおかげで男たちの連帯感は非常に強いものがあった。
「おつかれさまでした、レッド」
声をかけてきたのはイエローだ。
世界各地の戦隊員が食べられ、壊滅状態にある中でも、元第13戦隊の生き残りたちは、レジスタンス活動に専念し、エサにされそうな男たちを救出しているのだった。
「いや、戦闘にはならなかったから疲れてないぞ」
「……戦闘になれば、もう我々では勝てないですからね」
それが現実だった。
レッドたちは地球人女性にも勝つことができなくなっていた。おそらくさきほどの職員室でも少女二人を相手にすればただではすまなかっただろう。自分もまた簡単にエサにされてしまっていたはずだ。
(それに逃げられたのは相手がまだ幼かったからだ……さらに成長した女からは逃げることもできないだろう)
その実力差がレッドには分かった。
会社内で人間椅子にされている指導役のサラリーマンも、
女友達に足舐めを強制されている男子も、
レッドは把握していながらも見て見ぬふりをするしかなかった。
彼女たちのように成長した女を相手にすれば、戦闘を回避しようとしても簡単に捕まってしまうだろう。追い詰められ、ボコボコにされ、家畜にされてしまう。そんな歴然とした実力差があるからこそ、レッドたちは幼い少女に虐められている男しか救出することができなかった。戦闘を回避すること。それしかレッドたちにできることはないのだ。
「それでも、俺たちがやらないといけないんだ」
レッドが決意を新たにする。
世界各地の戦隊は完全に壊滅してしまった。
連絡信号を送っても返信はない。たまに受信する戦隊員からの信号は、すべて魔物や地球人による調教風景だった。マゾ家畜にした戦隊員をボコボコにしている映像が送られてきて、レッドたちは受信を切るしかない。それが繰り返されるに至って、もう世界には彼女たちに抵抗できる戦力が残されていないことを悟ったのだ。
「もう俺たちしかいないんだ。だから、俺たちで詩織を倒すしかない」
そんなことは不可能だとは分かっている。
けれどどうすることもできなかった。レッドたちは戦隊ヒーローなのだ。無駄と分かっていても、最後まで希望を信じて戦わなければならない。
「明日……やる」
レッドが強く言ってイエローが悲壮感たっぷりに頷く。
時間はいつも女の味方だ。男から吸収した魔力で彼女たちはどんどん強くなる。勝利の可能性を高めるためには、すぐにでも決戦を挑む必要があった。
「お兄ちゃん、わたしも行くよ」
妹の比奈が強い決意で言ってくる。
各地を転々としている間も比奈はついてきてくれた。病弱な体に鞭を打って男性救出作戦にも協力してくれた。できれば比奈だけは戦いに参加せず生き延びてもらいたいが……、
「わたしも第13戦隊のピンクだもん」
「比奈」
「だから最後まで戦わせて」
その瞳には固い決意がある。
なにを言っても翻意は不可能だろう。レッドは諦めて言った。
「ああ、一緒に戦おう比奈」
こうして戦隊ヒーローたちの最後の戦いが始まろうとしていた。
レッド、イエロー、ピンク。
生き残った最後の戦隊ヒーローたちが決死の覚悟をもって戦いを挑む。それは男たちの生存をかけた最後の戦いだった。彼らが負ければ男は永遠にマゾ家畜になる。男たちの命運はレッドたちの肩にかかっていた。
つづく