もはや日課となった魔力吸収の時間。

 夜になるとレッドたちは深夜の町を徘徊し、そして詩織と遭遇する。

 戦闘は生じない。

 一方的な蹂躙が終わってから始まるのは、魔力吸収前の下ごしらえだった。

「苦しいですか、ブラックさん」

 ブラックの頭部が詩織の太ももに挟み潰されてしまっていた。

 公園のベンチに一人だけ座った詩織が、成長した長い足を前方に向けて伸ばしている。そんな男の胴体ほどに発達した太ももと太ももの間では、ブラックの頭部が潰されている。少女の股間に後頭部を預けるような格好。ブラックが少女のムチムチかつ筋肉質の太ももで圧殺されていった。

「言っておきますけど、魔力は使ってませんからね」

「むううううッ!」

「成長した純粋な力だけで、ブラックさんの頭を潰しています。女の子の太ももで殺されそうになっていますが、今どんな気分ですか?」

 煽る。

 ブラックの瞳から涙がボロボロと流れていく。けれど抵抗しても無駄なのだ。自分の胴体ほどに発達した太もも様に勝てるわけがない。じたばたと暴れても少女の体をよろけさせることもできない。ブラックに許されたのは、少女のムチムチ太ももによって頭を潰されていくことだけだった。

「気絶させますね?」

 なんでもないように言って詩織が力をこめた。

 ボゴンッという音が響いて、彼女の太ももが膨張する。柔らかそうな筋肉が現れて、挟み込んだ男の首から上を潰していく。体積を増した太もも肉に埋もれる形となり、男の顔が見えなくなる。太ももと太ももがくっつく。チビ男の頭部が太ももで捕食されてしまっていた。

「ぐぼおおおおおおッ!」

 すぐにブラックは気絶した。

 ダランと脱力した体がビクンビクンと痙攣していく。太ももで挟むのは継続しながら、詩織が少し太ももの力を緩めてやると、その情けない白目をむいた顔が現れた。

「あはっ、3回目ですね」

 詩織が成果を確認して言う。

「簡単に気絶するようになってきましたね。もう墜ち癖がついてしまったんですか?」

 無邪気な少女が、ブラックの髪の毛を片手で掴み、グリグリと乱暴に動かしていく。

「弟に本気のお仕置きをする時は締め落としもするので、コレもだいぶ得意なんですよね。ふふっ、それにしても―――」

 詩織が笑って、自分の足下で這いつくばっている男たちをニンマリと見下ろした。

「ねえ、レッドさん。仲間が締め落とされていくところをただ黙って見ていて、恥ずかしくないんですか?」

 その笑顔を受けたレッドがビクンと震える。

 彼女の言葉どおり、レッドは少女の足下で正座をして、仲間が絞め落とされていくところを見せつけられていたのだ。その間、レッドは一切反抗をしなかった。詩織の恐ろしさを前にしてガクガクと震え―――体を明滅させて魔力を生成してしまっていた。

「あはっ、怯えてますね~」

「ううううッ!」

「そうですよね~。だって、レッドさんたちもさんざん絞め落とされてきましたもんね。わたしの成長した太ももの恐ろしさを体で覚えているんですから、抵抗なんてできるはずがありません」

 その言葉でレッドが思い出してしまう。

 ブラックの前に絞め落とされていたのは自分だったのだ。

 この恐ろしい少女の太ももで永遠と絞められ、意識を奪われていった。首に巻きついた彼女の足の感触や体温が思い出され、それだけで体がビクンと震えてしまう。

「仲間が殺されていくのをただ見ているだけの家畜。仲間の絆よりも自分の命のほうが大事なマゾ野郎。こんなに惨めな思いをしているのに、仲間が殺されていくのを見ただけでマゾイキして魔力をつくってしまうなんて、本当に滑稽です」

「うううううッ!」

「ほら、チクニーしてください。これからブラックさんを起こして、4回目の絞め落としをしますので、それを見ながらオナニーするんです」

「ひゃ、ひゃめでええッ!」

「やれ」

「ひいいいいいいいいッ!」

 レッドとイエローが自分の乳首をカリカリしていく。スーツを着用していても勃起して目立ってしまった乳首の突起を自分の手でいじっていくのだ。すぐに乳首の快感でトロンとした顔を浮かべてしまったレッドたちが、目の前でブラックが殺されていくのをオカズにして、マゾの快感に浸っていく。

「ふふっ、マ~ゾ」

 ぎゅうううううううッ!

 同時に詩織の太ももが躍動した。再び力がこめられ膨張した太ももが、ブラックの頭蓋骨だけを軋ませ、すぐに男を覚醒させる。なにがなんだか分かっていない男を容赦なく絞めあげると、すぐにブラックが絶叫をあげる。

(すごい・・・・・すごい・・・・・)

 目の前で仲間が殺されていく。

 巨大化した少女の太ももによって手も足も出ずにボコボコにされていくのだ。助けないといけない。それなのに体が動かない。ただ自由に動くのは人差し指だけ。それで乳首をカリカリすると、メスの快感で体が震え、全身に魔力が満ちあふれていくのを感じた。

「ふふっ」

 そんな情けない様子を少女から見下ろされる。

 成長して少し大人びた顔立ちになった少女の鑑賞物にされている。それが分かっていてもどうしようもなかった。レッドはひたすら、チクニーを続けていった。



 ●●●



 調教は終わらない。

 毎日のように繰り返される。

 公園のベンチには詩織が一人で座っている。その足下で膝まづいている3人の男たちが、一生懸命に少女の足を舐めていた。

「ほら、もっと舐めろ」

 詩織からの叱責が飛ぶ。

 すぐにレッドたちが勢いを増して舐め始めた。

 少女の生足にぺろぺろと舌を這わしていく。そこに躊躇なんて微塵もなかった。従順な操り人形にされた男たちが、命令どおりに足を舐めていく。

「ふふっ、惨めですね」

 そんな男たちを詩織がニンマリと見下ろしていた。

 成長した体にあわせて新調された学校の制服。

 一番大きなサイズなのに詩織の体にはあっておらず、明らかに制服は小さかった。上着は爆乳によって押し上げられ、丈が足りなくておへそが見えてしまっている。きわめつけはスカートで、そこから伸びる長くてムチムチな脚を隠すことができていない。そんな魅惑的な太ももの先にはローファーと靴下を脱いだ生足があって、そこに虫けらたちが殺到しているのだ。

「年下JKに命令されて足舐めさせられて、みなさん悔しくないんですか?」

 両足を前に伸ばして足を舐めさせながらの言葉。

 股を開いてだらしなく座った少女に恥じらいというものは何もなかった。足下で這いつくばっているのは家畜なのだ。そんな相手にパンツを見られても恥ずかしく思う必要がないのだろう。

「少し脅しただけですぐに舐め始めましたよね。これ以上絞め落とされたくなくて、すぐにぺろぺろ始めました」

「「「じゅぱあ・・・・ジュルルッ・・・・」」」

「ブラックさんとイエローさんにいたっては、わたしの左足を取り合うようにして二人で舐めています。さっき下手だった方を絞め落とすと宣言しましたが、さすがに必死過ぎませんか?」

 ふっと詩織が鼻で笑う。

 それを聞いてもブラックとイエローの足舐めは続いていく。一心不乱に少女の左足を二人で舐めていく。お互いの舌が絡まってしまうことにも無頓着に必死のご奉仕が続く。それはすべて、これ以上絞め落とされたくないという恐怖心からのことだった。

「レッドさんも夢中になっていますね」

 詩織が自分の右足にすがりついている男にむかって言う。

「わたしの右足、おいしいですか?」

「くううんんっ!」

「そうですか。よかったです。ならお礼を言ってください」

 にっこりとした笑顔で、

「ほら、お礼ですよ、レッドさん」

「うううッ」

「おいしい足舐めを許してくれる優しいご主人様に感謝の言葉を捧げなさい」

「あああッ」

「ほら、はやくお礼しろ」

 辛辣な命令。

 レッドがすぐに、

「あ、ありがとうございますうううッ!」

 絶叫した。

「詩織様の足を舐めさせていただき嬉しいですうううううッ! 詩織様の足、とってもおいしいいいッ! すごくおいしいですううううッ!」

 言わされる。

 それを少女に鑑賞される。詩織がレッドを見下ろしながらニンマリと笑った。

「次、フェラ」

「はひいいいいいッ!」

 一言命令すればいい。

 それほどまでに調教は完成してしまっていた。レッドが詩織の右足の爪先を頬張る。口を大きくあけて、彼女の大きな足先をくわえ―――始めてしまった。

「ジュパアッ! ゴボオッ!」

 レッドの顔が上下運動を繰り返していく。。

 詩織の足先を男性器に見立てたフェラチオ。少女の足という肉棒に対して、男の口が性のご奉仕をしていくのだ。

(く、ぐるじい・・・・でも・・・・・)

 やめることはできない。

 自分のフェラチオがじいっと観察されているのが分かる。ニンマリとした笑顔はサディストそのものだ。成長した少女の頬がうっすらと赤くなっている。

(体だけじゃない・・・・・残酷性も・・・・サディストぶりも成長してる・・・・・・)

 彼女の本性。

 今までは眠っていた本能である加虐性が解き放たれてしまっている。女性の性欲のはけ口にされてしまっていると自覚して、レッドの体が強く明滅していった。

「ふふっ、本当にマゾって便利」

 詩織が笑いながら言う。

「足舐めさせられて、興奮して、魔力をつくってしまうんですから、簡単でいいですね」

「ジュボッ! ガボオッ! ゴキュウンッ!」

「ほら、フェラチオを続けなさい。ブラックさんたちももっと必死に舐めないと二人まとめて絞め落としですよ?」

 なんでもないように放たれた言葉にレッドたちが半狂乱になる。

 そして年下JK様の足をぺろぺろと舐めていくのだ。必死に、一生懸命、女の子の足に舌を這わせていく。唾液音だけが深夜の公園に響いていった。

「ふふっ」

 そんな惨めな男たちを見下ろして詩織がスマフォを構える。レッドたちの足舐めご奉仕を動画で撮影していく。それも下ごしらえの一環だった。

「すぐにグループチャットにあげますね」

 笑いながら少女が撮影を続ける。

「みなさんの情けない姿をあまさず撮影して、その動画を見てもらいます。ふふっ、すぐにマゾイキしてしまうでしょうね」

 笑ってサディストの笑顔を浮かべた少女が、

「ほら、もっと舐めろ」

 冷酷な命令。

 心をバギバギに折られている男たちが必死に舐めていく。勢いを増した舌舐めが続く。ベンチに一人座った高身長少女と、その足下で膝まづき少女の足をぺろぺろと舐めていく男たちの図。詩織が満足するまで、それはずっと続いた。



 ●●●



 成長した詩織に完敗する毎日。

 基地に戻ったレッドたちはすぐに自室に戻り、スマフォを凝視してしまう。グループチャットにアップロードされた写真や動画を食い入るようにして眺める。

 詩織のおっぱいに食べられている自分の写真。

 足舐めご奉仕をしている動画。

 さらには顔面騎乗で座布団にさせられた写真などを見て、レッドは「う」と呻いてしまった。

「見ちゃ・・・・見ちゃダメなのに・・・・・」

 それが分かっていながらも見てしまう。

 そしてマゾイキして魔力を溜めてしまうのだ。

「どうしちゃったんだ、俺は」

 つぶやき、それでもスマフォの画面から目が離せない。レッドの体が赤く明滅していった。

「・・・・・お兄ちゃん」

 その時、妹の比奈が声をかけてきた。

 レッドは慌ててスマフォ画面をOFFにして妹のほうに振り返る。兄としての威厳を保とうと、いつもの頼りがいのある男を演じようとして、

「う」

 妹の姿を見た瞬間にすべて無駄になった。

 おっぱい。

 小柄で病弱な体とは正反対に実った大きなおっぱいから目が離せなくなる。最近、ますます大きくなってきた気がする。パジャマのようなゆったりとした服装なのに、その胸部では明らかに乳肉が自己主張をしていた。頭が麻痺したみたいになって、ビクンと体が震えてしまう。

「・・・・・お兄ちゃん?」

 怪訝そうな声に我にかえる。

 レッドが取り繕うようにして言った。

「あ、ああ。悪い。それで何か用か?」

「・・・・・うん。あのね。敵のアジトを発見したの」

「アジト?」

「そう。魔王のいる場所を、ついに突き止めることができたんだ」



 *



 比奈は病弱ながら魔力探知の才能があった。

 だから彼女は基地内に留まりながらも、魔王の居場所を探していたのだ。そして、郊外の廃墟となったビルに、魔王軍の親玉が潜伏していることを突き止めたのだった。

「これはチャンスだ」

 レッドがミーティングルームで告げた。

 ブラックとイエローを前にして作戦概要を伝える。

「魔王が潜伏している廃墟ビルに急襲を仕掛ける。そこで魔王の首を討ち取る。それで俺たちの勝ちだ」

 魔王さえ倒してしまえば終わりなのだった。

 魔界と繋がるゲートを破壊してしまっている現状では、魔王さえ倒せば勝利が確定する。魔王の娘や、その他の残党もいるのだろうが、そんな奴らはいつでも蹴散らすことが可能だった。なによりも、

(そうすれば詩織がアルバイトをすることもできなくなる)

 雇い主である魔王がいなくなるのだ。

 そうなれば詩織が戦う理由もなくなる。彼女はあくまでもアルバイトの報酬目当てで俺たちのことを蹂躙してくるのだ。そのアルバイトを解雇されれば、もう詩織が敵になることはないはずだった。

「しかし、どうやってアイツの目をかいくぐる?」

 ブラックだ。

 その言葉に比奈が怪訝そうな表情を浮かべているが、レッドには彼の言葉の意味が分かった。

(詩織に気づかず、どうやって魔王と接敵するか)

 それは作戦立案において一番重要な検討事項だった。当然、抜かりはない。

「昼間だ。昼に仕掛ける」

「昼間だと?」

「そうだ。その時間、アイツは学校のはずだ。当然、魔王軍のアジトにはいない。その隙を狙うんだ」

 鼻からアイツに勝てるとは思っていない。

 なんとか彼女の目をかいくぐって魔王を倒す。ブラックもイエローもコクンと頷いて賛同してくれた。明日の昼間。最後の戦いが始まろうとしていた。



 *



 作戦は順調に進んだ。

 魔王が潜伏するアジトに侵入しても、アイツが現れることはなかった。

 廃ビルの壊れたドアやガラスからは容赦なく太陽の光が差し込んでくる。こんな場所に住まなければならないほど、魔王は追い詰められているのだ。アイツさえ現れなければとっくの昔に魔王を討ち取って、第13戦隊が勝利を納めていたことだろう。

(だが、それも今日で終わる)

 レッドたちが廃ビルを進んでいく。

 そして魔王と邂逅を果たした。

「な、なぜこの場所が」

 青年といって良い顔立ちの男が驚いて言った。

 若いながらもこの男が魔王だった。その頭には大きな二本の角が生えている。瞳は赤色に染まっていて、冷酷な光しか発していなかった。漆黒のローブを着用しているが、その服には所々汚れがある。怜悧な風貌も若干やつれていて、瞳の下にはクマがあった。なぜかは分からないが、魔王は戦う前から消耗しているのだ。それが分かった。

「お前を倒す。それで俺たちの勝ちだ」

 レッドたちが変身する。

 スーツ姿になったレッド、ブラック、イエローが魔王と相対した。

「く、よりにもよってこんな時に」

 魔王が焦ったように顔を歪める。

 戦闘態勢になったレッドたちを前にしても、なぜか魔王の体からは魔力の残滓すら感じなかった。これはチャンスだとレッドたちが意気込んでいると、魔王が片手を振り上げた。

「ティファ! エイファ! この身を守れ!」

 苦渋の顔で魔王が告げると、暗闇から二人の少女が現れた。

 人・・・・・ではない。

 その頭には魔王と同じく角があり、お尻からは尻尾が生えていた。背中の黒い羽はまだ小さく、彼女たちが成熟していない個体であることが分かる。

(魔王の・・・・・娘か?)

 おそらく詩織が言っていた奴らだろう。

 まだ幼く、小学生くらいの身長しかない。

 ティアと呼ばれた魔物は黒髪のつり目がちの瞳で、エイファはピンク髪で垂れ目がちの瞳をしていた。将来は絶世の美女になることは間違いないことが分かるほどの美貌。魔王の娘なのだから相当強く成長するだろう。けれど今はただの幼い魔物に過ぎなかった。戦う力なんてないことが明らかな魔物が二匹―――魔王を背にして立ち塞がっている。

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

 ティファとエイファと呼ばれた魔物は無言だ。

 キっと睨みつけるような顔でレッドたちを見つめている。しかし、それが精一杯の威嚇であることは明らかだった。その足はガクガク震えていて、尻尾が地面に垂れてしまっている。怖がっているのだ。おそらく戦闘にも慣れていないのだろう。そんな幼い魔物を見てレッドが魔王を睨みつけた。

「ひ、卑怯だぞ魔王」

 レッドが叫ぶ。

 目の前の魔物の姿が、妹の比奈と重なって仕方ないのだ。こんな小さな、戦闘力もない魔物と戦うことなんてできない―――そう思ってレッドが拳を落とした瞬間、隣のブラックが突進していった。

「はあああああッ!」

 気合いをこめた蹴り。

 それがティファにめりこみ、そのまま吹き飛んでいった。すぐさま反転したブラックが、何がなんだか分かっていないエイファの腹に同じく蹴りをめりこませ吹き飛ばす。

「うううッ」

「きゃあああッ」

 ティファとエイファが廃ビルの壁に激突した。

 背中を強打して一瞬呼吸すらできなくなり、断末魔の表情を浮かべた幼女たちが苦しみ悶えている。それはあまりにも残酷な光景だった。

「お、おいブラック。なにしてるんだ」

「なに、とは?」

「いや、だって不意打ちなんて卑怯だろ」

「敵を殲滅する。それだけだ」

「だ、だけど、こんな小さな子供相手に」

「おまえこそ何を言っているんだレッド」

 ブラックが怒ったように、

「一刻もはやく魔王を倒さなければならない。そうだろう?」

「そ、それは」

「これは時間との勝負だ。そうだったな?」

「う」

「時間をかけずに敵はなぎ払うべきだ。そうしないと、」

 その言葉の途中だった。

 いつの間にか廃ビルの中に人が増えていた。その少女―――成長した大柄な女性が、不意打ちのように言った。

「そうしないと、どうなるんですか?」

 ビクっとその場にいる男たち全員が震えた。

 なぜか魔王までガクガクと震えている。

 全員が暗闇から現れた女性を見て、呆然としていた。



 *



「まったく、魔王さんは、またティファちゃんとエイファちゃんを捨て駒にしようとして、ひどい人ですね」

 レッドたちには目もくれない。

 現れた少女―――詩織は、とがめるような視線を魔王に送った。それだけで魔王が「あ、あ、あ」と口ごもってしまった。さきほどまでの強気な様子なんて、どこにもなくなっている。

「「お姉ちゃんッ!」」

 男たちと対照的なのがティファとエイファだ。

 ブラックに蹴られ傷ついた幼女が二匹、詩織の足に抱きついている。満面の笑顔になっているティファたちを見れば、彼女たちがどれだけ詩織のことを慕っているのかが分かった。

「よくがんばったね二人とも。偉いぞ~」

「ごめんなさい、わたしたち、負けちゃった」

「気にしない気にしない。すぐに強くなれるからね」

「ほんと?」

「ほんとだよ。とっても簡単ですからね」

 詩織がティファとエイファを撫ででいく。

 姉が妹をかわいがっている―――そんなほほえましい光景の中、詩織が顔をあげ、「それにしても」と声を向けた。

「魔王さん」

「ひ、ひいッ!」

「こんなかわいい子たちを盾にしようとするなんて、魔王さんにはお仕置きが必要ですね」

 にっこりと笑いながらの言葉。その恐ろしい笑顔を受けた魔王は、「あ、あ、あ」と声を発することもできなくなってしまった。

「ふふっ」

 詩織が魔王に向けて片手を伸ばした。

 人差し指だけが伸ばされ、その指先が魔王に向けられている。

「反省してください」

 くいっ。

 詩織の人差し指が上を向く。ただそれだけの動作。それなのに破壊力は満点だった。

「ぐっぐッギャアアッ!」

 ドッゴオオンッ!

 詩織の人差し指の動きにあわせて魔王の体が浮かび、勢いよく天井に叩きつけられた。廃ビル全体がミシッと軋むほどの勢い。パラパラと天井からコンクリートの破片が落ちてくる。

「どんどんいきますよ~」

 くいっ。

 詩織が笑顔のままで、今度は人差し指を下におろした。それだけで天井にめり込んでいた魔王の体が床に叩きつけられ、廃ビルに地震が起こる。悲鳴すらあげられなかった魔王がピクピクと痙攣するだけになった。

「反省、反省」

 くいっ。

 くいっ。

 詩織が連続で人差し指を動かしていく。

 指を一本動かしているだけ。残った左手で交互にティファとエイファの頭を撫でながら、右手の人差し指を上へ、下へと動かしていく。

 ドッゴオンンッ!

 ドッスウンんッ!

 そのたびに魔王の体が天井にめりこみ、床に叩きつけられていく。それが連続して続く。あまりにも速すぎる動きで魔王の体が見えなくなっていった。詩織が指一本で魔王の体をボロ雑巾にしていく。

「ふふっ、いい顔になりましたね」

 さんざんに指一本で魔王を痛めつけた後で詩織が言った。

 魔王の体を空中で制止させて展示している。ボロボロになり、着ていた衣服すら千切れてしまうほど痛めつけられた魔王の体が脱力して宙に浮かんでいた。そんな情けない魔王のことを詩織が「くすり」と笑い、鑑賞していく。

「魔王さん。最後はこれですよ?」

 まだ終わりではないらしい。

 詩織が両手を自分の胸の前で合わせた。右手が上、左手が下。手の平同士があわせられただけ。それなのに、魔王が、

「ひゃ、ひゃめでえええッ!」

 怯えきった表情で懇願を始めた。

「たじゅげでええッ! それはダメですううッ!」

「え~、でも魔王さんが反省できなかったのがいけないんですよね?」

「あ、あやまりますからああッ! ティファとエイファを盾にしたことなら、あやまりますからああ」

 謝罪している。

 あのプライドの塊みたいだった魔王が、はるか年下の人間の少女に向かって命乞いをしているのだ。魔王軍で一番強い男の懇願はあまりにも惨めだった。

「だ~め」

 ぎゅうううううッ!

 詩織の両手が握られた。両手の平がこすりあわせられる。ねちっこく、妖艶な動きで手の平と手の平がこすりあわされていく。それだけで、

「ぎゃあああああああッ!」

 ベギバギベッギイッ!

 魔王の体が潰れていった。

「ふふっ、両手で潰しちゃいますね」

 詩織が自分の両手をすり続ける。

 ねっちこく、執拗に―――それは続いた。それにあわせて魔王の体が、

「ひっぎゃあああッ!」

 潰れていった。

 バギベギと肉と骨が砕ける音が響き続ける。ねっちこい詩織の手の動きにあわせて潰れる。笑顔の詩織と激痛で悶える魔王。それが繰り返される。

「ひいいいッ! ゆるじでええええッ!」

 激痛で魔王が白目をむいてじたばたと暴れていた。

 暴れるだけの身体的自由を詩織は許しているのだ。その結果、魔王は無駄と分かっていながらも体をじたばたさせるしかない。宙に浮かんでいる魔王が、両手両足を暴れさせてなんとか逃げようとしている。その姿はまるで、

「ふふっ、虫みたい」

 お気に召したようで、詩織がさらに両手の平をすりあわせて魔王を潰していく。悲鳴がさらにあがって、詩織の笑顔が強くなった。

「それにしても弱いですね、魔王さん」

「た、たじゅげでえええッ!」

「わたしは両手をすりあわせているだけなのに、それにあわせて魔力で潰されちゃってる。これって、レベル差がないとできない技ですよね。魔王さんがよくティファちゃんやエイファちゃんにやっていた技ですもん。魔王さんなら分かりますよね」

 ぎゅうううううッ!

 手と手を力強く握る。魔王の両手両足がピンと伸びて胴体と一体となる。今、詩織の手の平の中で、魔王の体が握られているのだ。

「魔王さんとわたしのレベル差、すごいことになっちゃいましたね」

「ひいいいいッ! ひいいいいッ!」

「まあ、あれだけ搾り取れば当然ですけど。ふふっ、男性のみなさんは全員、わたしに魔力を提供する家畜さんです」

 ぎゅううううッ!

 さらに手と手を握る。

 詩織の両手が握り拳になるほど力がこめられていく。バギバギバギっと、肉食動物の強靱な顎が、草食動物を骨ごと砕いて喰らう時の音が轟いていった。

「さ、謝罪してください」

 詩織が両手で魔王を潰しながら言う。

「ちゃんと「ごめんなさい」しろ」

「ひいいいッ! ひいいいッ!」

「ほら、やれ」

 詩織の命令。

 魔王に選択の余地などない。

「ご、ごめんなさいいいいいッ!」

 謝った。

 滑稽に、小学生の子供が素直に謝るみたいにして、魔王が空中で潰されながら謝罪を始める。

「なにを謝っているんですか?」

「盾ええええッ! 盾ですううッ!」

「盾とはなんでしょう」

「娘を盾にしたことおおッ! 謝りますううッ! ごめんなさいいいいッ! すみませんでずううッ! ごめんなさいでしたあああッ!」

 じたばたと暴れようとして、それでも体すら動かせずに魔王が繰り返す。彼が自由にできることは言葉を発することだけ。そのように手加減がされている。生殺与奪の権利を完全に奪われた魔王が、はるか年下の人間の少女にむかって命乞いを続ける。

「ごめんなさいいいッ! ごめんなさいいいッ!」

 必死の懇願。

 そして信じられないことに魔王の体が明滅し始めた。漆黒の光が魔王の体を包み込んでいく。それはレッドたちと同じ反応だった。魔王が詩織にいじめられて魔力を製造してしまっている。

「はい、よくできました」

 ぱっ。

 詩織がおどけたように両手を放した。指を開いてパーをつくってそれを魔王に見せつける。すぐに魔王の体が力尽きたように床に落ちて、ぴくぴくと痙攣するだけになった。

「う、ううう」

 全身の肉と骨を砕かれた魔王がそれでも這い始める。行く先は詩織の足下。ナメクジみたいに地面を這いつくばって、少女の足下にたどり着いた魔王が、命令もされていないのに詩織の足を舐め始めた。

「あ、ありがとうごじゃいましゅううッ」

 お礼を言いながら舐めていく。

 地面に這いつくばりながら顔だけ動かして舐める。それを長身爆乳少女である詩織がニンマリと見下ろしていた。

「うんうん。きちんとお礼が言えて偉いですよ」

「じゅぱあ・・・ジュルルっ」

「ちゃんとお礼ができなかったらまた一からやろうと思っていたのですが、それも必要ないみたいですね」

 笑う。

 それはティアとエイファも同じだった。詩織の足下で這いつくばっている父親のことをニンマリと見下ろしている。少女たちが魔王軍で一番強い男を玩具にしていた。

「ティファちゃんもエイファちゃんも、パパのこと許してあげてね」

 詩織が優しい笑顔になって言う。

「こいつはとっても弱いから、ティファちゃんたちの力を借りないとダメだったの。弱いパパのこと許してあげて」

 ぐじゃあああッ!

 足を舐め続けていく魔王の後頭部をもう片方の足で踏み潰しながらの言葉。ローファーの足裏がぐりぐりと魔王の頭部を潰す。すると幼女たちが、

「うん、ティファ、パパのこと許す」

「エイファも~」

 無邪気な子供のようにティファとエイファが言う。

 そんな中でも魔王は詩織の足を舐め続けていた。お許しが出ていない以上舐め続けなければならないのだ。そんな魔王の頭を踏み潰しながら、「偉いぞ~」と詩織がティファたちと談笑を続けていった。



 *



「な」

 なんだこれは。

 レッドたちは目の前の光景を見つめて呆然としていた。

 あの魔王が。魔王軍最強の男が、今、はるか年下の少女から踏み潰されながら、その足をぺろぺろと舐め続けている。手も足も出ていなかった。それどころか、魔王が詩織の革靴を舐めれば舐めるほどに、その体が漆黒に輝き、魔力を生み出してしまっている。その姿はまるで・・・・・。

「そうですよ。みなさんと同じです」

 詩織の声にレッドたちがビクンと震えた。

「魔王さんもマゾになってしまったんですよ。というか、わたしがマゾにしてしまったんですよね」

 笑いながらなんでもないように詩織が続けた。

「魔王さんは、ティファちゃんとエイファちゃんの扱いがひどかったんです。なんでもティファちゃんたちは妾のサキュバスに産ませた子供みたいなんですよね。魔王さんの世界ではサキュバスはかなり地位が低い魔物さんみたいで、だから魔王さんはまるで奴隷みたいにティファちゃんたちを扱っていたんです。それをわたしが注意したんですよ」

 ふっと詩織が鼻で笑った。

「そうしたら魔王さんってば自分がバカにされたと思ったのかわたしに勝負を挑んできたんです。自分のほうが強いって勘違いしていたんでしょう。わたしはもうその頃にはレッドさんたちの魔力を吸収して強くなっていたので、返り討ちにしてあげました。そうしたら、一発で魔王さんはマゾになって、自分で魔力を生み出す家畜になっちゃったんです」

 笑えますよね?

 そう言って笑う詩織を見て、レッドたちは背筋が凍ってしまった。魔王すら手玉にとってしまう強さ。制服姿の女子学生が、魔王を圧倒してしまっている。どんな魔物よりも不気味な強さをもった少女を前にして、レッドたちが一歩も動けなくなってしまった。

「紹介しますね。こっちの黒髪の女の子がティファちゃんで、こっちのピンク色の髪の女の子がエイファちゃんです」

 詩織がにっこりとした笑顔で紹介してくる。

「ティファちゃんがお姉さんで、エイファちゃんが妹ちゃんなんですよ。かわいいでしょ?」

 紹介されたティファはお辞儀もしないでじっとレッドたちを見つめたままだった。エイファは怯えたように詩織の背中に隠れようとしている。

「怖がらなくていいんだよエイファちゃん、この人たちもすっごく弱いの。おっぱいにも勝てないザコ。ぜんぜん怖くないからね」

「ほ、ほんとう?」

「本当だよ。証拠を見せてあげるね」

 詩織が足下で這いつくばっている魔王を蹴り飛ばしてどかす。魔王の体が壁に激突してそのまま動かなくなった。そんな残酷なことを無造作にやってのけた詩織が、レッドたちを見下ろした。

「さ。おっぱいの時間ですよ~」

 制服の胸元のボタンがはずされる。

 大きな果実が二つ、ぼろんとこぼれ落ちてきた。詩織の爆乳。それが目の前にさらされてしまった。

「あ、ああ、、あああ」

 レッドたちが言葉も喋れなくなって悶絶していた。

 彼ら全員が詩織のおっぱいに夢中になってしまっていた。ド迫力で迫ってくる乳肉の暴力。その健康的な張りのある肌と、豊かな谷間の前で無条件降伏してしまい、ただその存在を仰ぎ見るだけになっている。ここがどこかも、自分たちが何をしなければならないかも忘れて、詩織のおっぱいに夢中になってしまった男たちに勝ち目なんてあるわけがなかった。

「はい、どうぞ」

「「「ひいいいいいい」」」

 レッドたちが猿のように詩織に飛びかかる。

 攻撃のためではない。もはや心をバギバギに折られてしまっていたレッドたちは、戦うことすら放棄して、自ら詩織の爆乳に顔を埋もれさせてしまった。レッドが右乳房、イエローが左乳房―――それぞれの顔面が底なし沼みたいな乳肉にぐんにゃりと沈み込んだ。おっぱい争奪戦に敗れたブラックだけが絶望した表情を浮かべて一人立ちつくしている。

「「むうううううッ!」」

 そしてレッドとイエローがすぐに射精する。

 体を輝かせて魔力を生み出しながら、おっぱいに顔面を埋もれさせて敗北お漏らしを繰り返してしまう。猛毒じみたフェロモンを嗅ぎながら、自分の顔面をさらに乳房に押しつけて、魔力を吸収されてしまっていく。勝負にすらなっていなかった。

「は~い、またわたしの勝ちですね~」

 バカにしたように詩織が言う。

 彼女は両手を腰にやって仁王立ちになっているだけだ。男たちが勝手におっぱいに顔面を突っ込んで、射精し、魔力を捧げてくる。詩織はただ待っているだけでいい。家畜が自分から魔力を出荷してくれるのだ。余裕の表情で詩織がニンマリと笑った。

「レッドさんもイエローさんも、すごく堪能してくれてますね~」

「「むうううううッ!」」

「でも、仲間はずれはいけませんよね。あぶれてしまったブラックさんにも、ちゃんとおっぱいしてあげなと」

 詩織の視線がチラリと動く。

 その先には乳房争奪戦に敗れたブラックが「あ、あ、あ」と悶えながら立っていた。

「ブラックさんのことも、こんなふうにおっぱいで魔力吸収してあげないとですよね」

 詩織が、じいいっとブラックを見下ろしながら、見せつけるようにレッドたちの魔力吸引を始めた。

 レッドとイエローの体がさらに輝き、生命力を変換した魔力が詩織のおっぱいへと吸収されていく。ドグンッドグンッと血液みたいに吸収され、詩織の体やおっぱいがまた大きくなっていく。それを見せつけられたブラックが「あ、あ、あ、あ」と絶望した表情を浮かべた。

「そうだ。ブラックさんの魔力吸収は、ティファちゃんとエイファちゃんにやってもらいますか」

 詩織がたった今思いついたアイディアをさっそく実行に移すことにしたらしい。

「ティファちゃん、エイファちゃん、ブラックさんをダブルパフパフで潰してみようか」

「「え?」」

「ティファちゃんたちのおっぱいで、ブラックさんの顔面をサンドイッチにしてみてよ。それで、この前教えてあげた魔力吸収で、ブラックさんの魔力を奪っちゃおう」

 なんでもないように言う詩織だった。

 けれどティファとエイファは自信がなさそうにモジモジするだけだった。

「大丈夫。ティファちゃんとエイファちゃんならできるよ」

「で、でも」

「大丈夫大丈夫。そんなに大きなおっぱいしてるんだもん。自信を持ってやってみよう」

 その言葉にブラックが反応する。

 詩織の爆乳に慣れすぎていたせいで気づかなかったこと。ブラックがちらりとティファたちの胸部を見つめると、確かにそこには巨乳といっていい乳房のふくらみがあった。

「う」

 呻き声をあげてしまう。

 幼く身長の低い魔物の、おっぱいだけが年不相応に大きくなっている。おそらくそれがサキュバスとしての能力なのだろう。男を発情させるために進化した存在。そんな魔物を前にして、おっぱい中毒者になっているブラックが我慢できるわけがないのだ。ハアハアと荒い息を漏らして、ティファたちのおっぱいを凝視してしまった。

「あ、嘘」

「こ、興奮してる?」

 ティファとエイファがブラックの痴態に気づく。変化は一瞬だった。もじもじとして自信なさげだった幼女たちが妖艶に笑う。そして自ら胸を張って、その大きな胸をブラックに見せつけた。

「ひいいいいいッ!」

 おっぱい。

 幼女の・・・・・それでいて大人顔負けの大きなおっぱい。詩織ほどではないものの明らかに人間離れした乳房の迫力を前にして、ブラックが怯えて逃げようとした。その瞬間、

「逃げるな」

「ひいいいいいいッ!」

 詩織の冷酷な声が響く。

 それと同時に彼女の片手がブラックに伸び、虚空でぎゅううっと拳を握ってしまった。それにあわせてブラックの両手両足がピンと伸びて拘束されてしまう。片手一本の魔力だけで、詩織はブラックの体を握りしめて拘束してしまったのだ。

「逃げたら殺す」

「あ、あ、あ、つ、潰れ、」

「わたしの力なら簡単だよ? お前なんて片手で握り潰せちゃう」

「や、やめ・・・・たじゅげ・・・・」

「口から自分の内蔵吐き出したくないなら、そのまま動くな。いいな?」

 冷たい視線を受けながらの言葉。

 ブラックは怯え狂って「あひあひ」言いながら首を縦に振ることしかできなかった。

「ん。それじゃあ、ティファちゃん、エイファちゃん、やってみようか」

「「は~い」」

 自信をもらったティファたちがブラックの左右に立つ。

 ごく自然と、体格差をなくすためにブラックを膝立ちさせる幼女二人。勝ち気な様子のティファの顔にははやくもニンマリとした笑顔が浮かんでいる。控えめなエイファも好奇心をおさえられないような輝きに満ちた瞳を浮かべていた。

「は~い、ぱっくん」

 詩織をマネした言葉。

 それと同時に、ティファとエイファが人間離れした爆乳をブラックの頭部に押しつけた。左右から4つの大きな乳房が押しつけられ、ブラックの頭部が爆乳の中に埋もれてしまった。それだけで、

「むうううううううッ!」

 どっびゅうううううッ!

 ぶっびゅうううううッ!

 射精した。

 サキュバスの子供おっぱいで一瞬にして射精させられてしまったのだ。膝立ちしたブラックの足元に白い液体の水たまりができていく。

「うわっ、もう射精した」

 ティファが吐き捨てるように言って侮蔑の表情を浮かべる。その間もおっぱいによるサンドイッチは継続。さらにブラックの頭部を挟み潰しながら、ティファが言う。

「こんなにザコなのに、さっきはよくもやってくれたね」

 言葉づかいすら格下相手のものになる。

 格闘戦で実力が上だったブラックのことを、ティファははやくも格下に見ているのだった。

「まじでザコ。エイファもそう思うでしょ?」

「う、うん。男の人って、こんなに簡単に射精してしまうんですね。エイファ、おっぱいを押しつけているだけなのに」

 ぎゅううううううッ!

 控えめなエイファもさらにおっぱいを押しつける。ティファとエイファの爆乳地獄。その間で挟み潰されてしまったブラックが痙攣しながらビュッビュと射精をたれ流していく。

「ほら、ティファちゃんたちなら簡単だったでしょ?」

 詩織がにっこりと笑いながら言う。

 その乳房には矮小なチビ男たちがすがりつき惨めにぶら下がっている。

「ティファちゃんたちの実力なら、ブラックさんごときじゃ相手にならないんだよ。ティファちゃんもエイファちゃんも、すごいおっぱいしてるもんね。確か人間の大きさで言うとKカップなんでしょ?」

「そうだけど・・・・サキュバスの中では小さいほうだよ」

「詩織お姉ちゃんみたいに、大きくもないし・・・・・・」

 意気消沈したように押し黙る二人。

 詩織がニッコリと笑いながら、

「そんなことない。わたしよりティファちゃんたちのほうがすごいよ」

「え?」

「だって、わたしの胸が大きくなったのって小学校の高学年からだもん。ティファちゃんたちくらいの頃にはそんなに大きくなかったよ?」

 ティファとエイファが驚きの表情を浮かべた。

「本当に?」

「そうだよ。だから自信をもってやってみてね」

 それが何よりの自信になったようだ。ティファとエイファが堂々としながらブラックの頭部をおっぱいで潰し始める。二人の幼女の顔に愉悦が浮かぶ。それを見て、詩織がにっこりと笑った。

「それじゃあ、魔力吸収してみようか」

「「は~い」」

 確固たる自信を身につけたティファたちに不可能はなかった。男を格下に思うこと。それこそが魔力吸収において必要不可欠だったのだ。ティファとエイファが集中し始める。

「ええと・・・・こう?」

「こう、かな?」

 キュイイイインッ!

 一瞬だった。

 簡単にブラックの体が明滅し、その輝きがティファとエイファのおっぱいへと吸収されていく。男の生命力が、まだ幼いサキュバスのおっぱいに奪われ、食べられていった。

「あ、できた」

「こ、こんな簡単に」

 ティファとエイファが困惑したような声をあげた。ブラックから魔力を吸収できたことに、彼女たち自身が一番驚いているようだった。

「ね、簡単でしょ?」

 詩織が満足そうに笑いながら言う。

「ティファちゃんたちに足りなかったのは自信なの。それを魔王さんったら、ティファちゃんたちの実力が足りないとか見当違いのことを言ってたよね。自分の指導力が足りないからって、ティファちゃんたちのせいにしてた」

 ニンマリ笑った詩織がくいっと人差し指を上にあげる。意識を失って倒れていた魔王の体が浮かび上がり、詩織の足下に転がった。

「反省してもらわないと、ね?」

 ぐっじゃあああッ!

 仰向けに倒れた魔王の顔面に詩織の足裏が炸裂する。そのままグリグリと踏み潰しを開始。それと同時にレッドとイエローの顔面を乳房で吸収していく。

「こんな簡単なこと、ティファちゃんとエイファちゃんに指導できないんだから、魔王さんにはしっかり反省してもらわないと」

 ぐりぐり。

 力強く魔王の顔面が踏まれる。

 そのまま両手を腰にやって巨大なおっぱいをデンと突き出す。それだけでレッドたちがさらなる乳肉地獄に落としこまれて悶絶する。雄3匹の体から魔力が輝き、それが詩織の体にむかって吸収されていった。

「ね、男をマゾにして魔力を吸収するのなんて、こんなに簡単なんだよ」

 片手前程度の動きで男たちから魔力を吸収しながら、幼いサキュバスたちに指導していく。

「ティファちゃんも、エイファちゃんも、自信をもってやろうね。ブラックさんのこと、絞り殺すつもりで吸収してみよう~」

「「は~い」」

 詩織の指導を受けてティファとエイファが覚醒する。

 その人間離れしたおっぱいでさらにブラックの頭部を挟み潰し、呼吸をできなくさせて悶え苦しめていく。窒息ギリギリまで追い込んだ後で呼吸を許し、サキュバスの猛毒フェロモンで男を亡き者にしていく。

「あひいい・・・・ひいんん・・・・」

 そうされると男はマゾになる。

 こんなに簡単に男を圧倒できるということをティファとエイファは学習してしまった。

「本当にかんた~ん」

「この人、弱いです」

 ティファとエイファが男を格下に見て、さらなるエナジードレインを繰り返す。格上だったブラックの魔力を吸い尽くしていく。それは、ブラックの魔力が完全になくなるまで、ずっと続いた。



 *



「ん、ティファちゃんもエイファちゃんも、しっかり魔力吸収を身につけられたね」

 廃ビルの中。

 凄惨な食事が終わった後で、少女たちが満足気に笑いながら談笑をしていた。

「お姉ちゃんのおかげだよ。ありがとうっ」

「ありがとうございます。お姉ちゃん」

 ティファとエイファが交互に感謝を口にする。

 再び詩織の足に抱きついて尊敬のまなざしで見上げた幼女たち。そのおっぱいはブラックの魔力を吸収したおかげでさらに大きく成長していた。

「ううん。わたしの力は関係ないよ。これはティファちゃんとエイファちゃんの実力」

 詩織がティファたちの頭を撫でながら、

「これからも、もっともっと魔力を吸収していこうね。ティファちゃんたちなら、すぐに魔王さんより強くなれると思うよ」

 師弟関係のほほえましい光景。

 しかし、そんな少女たちの足下では、ひからびた人間3匹と、魔物1匹が倒れていた。

 詩織とティファとエイファに絞り尽くされて干物みたいになった残骸が、廃ビルの地面でピクピクと痙攣している。それとは正反対に、詩織たちの体は生命力で満ちていた。男たちの魔力を奪い、吸収し、栄養にして強くなっていく少女たち。詩織だけでなく、ティファとエイファも、その体をさらに強くしていく。もう彼女たちに勝つことはできない。その場にいる雄の誰もがそう実感していた。


つづく