姫華物語 第1章



 神村姫華はギャルである。

 それは攻撃としてのギャルであり、防御としてのギャルでもあった。

 彼女は必然的にその鎧をまとわなければならなかった。幸運なことに、姫華にとってギャルという衣装はとても肌にあうものだった。だからこそ、コンプレックスを抱えながらも卑屈になることなく、毎日を笑って過ごすことができた。しかし、ギャルになる前の姫華は、自信がなく、いつもオドオドした少女だった。



 *



 小学生の頃から胸が大きかった。

 それが何よりのコンプレックスだった。

 低学年の頃。最初はふっくらとした胸の盛り上がりを見て、姫華は太ってきたのかなと思った。食べることは大好きだったし、確かに最近、食べ過ぎだと父親から注意されることもあった。だから、ちょっと太ってきたのかもしれない。ダイエットをしないといけないな、そんなふうに軽く考えていた。

 胸のふくらみはますます大きくなっていった。

 まるで怪物が自分の体の中で育っているような気がした。姫華は自分の体が恐ろしくて仕方なかった。ふくらみは次第に独立した固まりになっていくようで、明らかに自己主張を始めた。それは女としての自己主張だった。子供の体にあって胸だけが大人になっていく。その二律背反した体に混乱した。それがなぜそんなにも大きくならなければいけないのか理解ができなかった。

 相談をしたくても誰にも相談することができなかった。母親は既に他界しており、父親と兄しかいなかった。彼らに相談することはなぜか恥ずかしくてできなかった。ましてや自分の体の秘密を他人に話すことなんて論外だ。どうしていいか分からないまま胸だけが大きくなっていった。

 周囲の人間が自分を見る目も変わっていった。

 誰もが自分の胸ばかり凝視してくるようになった。彼らの視線はさりげなくはずされるのだが、すぐに自然そうな素振りで戻ってきた。やはり自分の体は変なのだ。化け物が体の中で育っているんだ。そう思うと怖くて仕方なかった。

「おまえのおっぱい、うちの母ちゃんよりでっかいな」

 ニヤニヤ笑ったクラスメイトの男子からからかうように言われた。姫華は訳が分からず問い返すこともできなかった。彼女は大人しい性格で、もともとは引っ込み思案なところがあった。

「すげえおっぱい。どうしたらそんなに大きくなるんだ」

「え、な、なにが」

「だからおっぱいだよ。そのおっぱい」

 男子に指をさしてきたのは自分の化け物が育っている場所だった。なにか恐ろしいことが起きているのだと思うと姫華は泣き出してしまった。

「あーあ、おっぱい星人が泣いたぞ」

「泣けばいいと思ってるんだ、このおっぱい星人」

「やーいやーい、おっぱい星人」

 クラスの男子からはからかわれ続けた。

 常に下をむいてやり過ごすだけの生活が始まった。下を向いていれば他人からの視線に苛まれることはなかった。だから姫華は教室の隅でじっと本を読んで堪え忍ぶようになった。転機が訪れたのは彼女が6年生の進級を間近に控えた春休みのことだった。



 ●●●



 夜にテレビをつけると、たまたまバトルファックの試合をしていた。

 父親からはバトルファックの試合をテレビで見ることは禁じられていた。ちょうどその日は父親と兄も家を留守にしていたのだ。悪いことをしているという自覚があったものの、テレビ画面にうつった光景を見て、姫華は一瞬にして心を奪われた。

 テレビでは褐色の女性が男性を圧倒していた。

 その光景が最初信じられなかった。姫華は男子のことが怖かった。いつも男子からからかわれて、いつも下をむいて日々をやり過ごしていた。それなのにどうだろう。テレビの中では褐色の女性が男性にのしかかって騎乗位で犯している。荒々しい腰使い。褐色の女性がニンマリと笑っているのがとても扇情的だった。下になった男性はもはや白目をむいて彼女のなすがままだ。あっという間に試合はその女性の勝利で終わった。

 姫華は時間を忘れてそのテレビを食い入るように見つめていた。

 試合が終わった後も彼女の目はその褐色の女性にくぎ付けだった。試合後のインタビュー。堂々とリングの上に立った女性はとても魅力的だった。木城カエデという名前もその時に初めて知った。こうして正面からまじまじと見ると、とても化粧が派手なことが分かる。髪の毛も金髪に近い色に染められていた。現実ではまだ見たことがないけれど、こういう人たちがギャルと呼ばれているのを姫華も知っていた。なぜかずっと探していたものをようやく見つけた時のような心臓の鼓動を感じた。

 それから先は早かった。

 木城カエデさんの情報をインターネットで漁りまくった。有名な選手らしく、プロバトルファッカーとして、年間女王に選ばれたこともあるらしい。生い立ちに迫ったインタビュー記事は何度も読み込んだ。

 いじめられていた子供時代。ギャルの格好をするとなぜか手を出されなくなったこと。それから自信をつけていき、バトルファックにも打ち込むことができたこと。そういった記事を姫華は何度も読んだ。

 自分もこうなりたいという強い気持ちが浮かんできたことに、姫華自身が一番驚いていた。



 *



 ギャルになるにはお金がかかる。

 幸いなことにお年玉を親にネコババされることはなく、親戚からもらったお年玉は全て貯めていた。とはいっても金額はたかが知れているものだった。だから最初は木城カエデさんが使っているようなハイブランドの品には手を出せなかった。インターネットで安上がりなメイクの方法を一生懸命に勉強して、近所のドラッグストアと100円ショップで道具を仕入れた。

 初めてメイクをしたとき、自分が変身したという実感を得たことを姫華は覚えている。

 鏡の中の自分は明らかに30分前の自分と違っていた。大人しい女の子なんてどこにもいなかった。その女の子が男子からからかわれるなんてことは絶対にないと感じられた。胸の鼓動が生まれ変わりを祝福しているように響いていた。

 今から思うとその時のメイクはギャルというよりヤマンバで、辺境の先住民族たちの戦闘化粧みたいなものだった。父親には驚かれて、泣かれたが、ぜったいにギャルになるという気持ちに変わりはなかった。

 姫華は止めようとする父親を振り切り、積極的に外に出て肌を焼いた。

 もちろん、木城カエデさんのように褐色のギャルになるためだった。運動不足で体がブヨブヨしていたのでそれも解消する必要があった。褐色ギャルは引き締まった体でいないとダメなのだ。あの木城カエデさんみたいに引き締まった体でないと、あの強さは身につかないものと盲信していた。

 父親はますます泣いたが、どういうわけか兄が味方になってくれた。

 運動するならスポーツブラをつけろとブラジャーをプレゼントしてくれた。その戦闘民族の顔面化粧みたいなものをするのが好きならそれでもいいけど、せめてマシなメイクを覚えてからにしろと女性雑誌を差し入れてくれたのも兄だった。

 兄とはそこまで仲が良かったわけではなかったから驚きだった。兄は女の子によくモテたし、交友関係も派手だった。大人しい自分とは正反対で、ぜんぜん会話も成立しなかったくらいなのだ。どうして自分の味方になってくれるのかと尋ねた時の兄の回答は明白だった。

「妹ちゃんよお、俺っちが、がんばってる奴を応援しないわけないだろ」

 たぶん妹でなかったら惚れていたかもしれない。

 とても嬉しかった姫華は「ありがとう、アニキ」と木城カエデの口調を真似て言った。「アニキはやめろ。お兄さまと呼べ」と照れる兄はどこか可愛かった。

 男性のことを可愛いと思えたことが姫華には新鮮だった。

 ギャルになれば口調も変わる。口調が変われば性格も変わる。性格が変わればいじめられることもない。木城カエデさんが言ったとおりだと、姫華はますますギャル道に邁進していった。



 *



 5年生の春休みはギャルになるための努力で毎日24時間を使った。

 一番手間取ったのは自分の肌を焼くことだった。毎日の運動は続けていたものの、なかなか全身の肌を焼くことができなかった。熟考の末、姫華は自宅のベランダで日光浴をすることにした。もちろん全裸だった。仰向けとうつ伏せを交互に2時間づつ。一度、熱中症で倒れて救急車で病院に運ばれた。父が泣き兄が笑ったが努力は続く。水分補給をしろと兄がスポーツ飲料を差し入れてくれるようになったのでそれを飲みながら飽きもせず肌を焼いた。毎日の運動とベランダでの全裸日光浴によって、姫華は理想の小麦色ボディを手に入れることに成功した。

 肌も褐色になったし毎日の運動のおかげでちょっと引き締まった体になった。

 おっぱいは相変わらずに大きかったし、腰まわりが細くなったせいでますます大きさが強調されることになっていたけれど関係なかった。褐色巨乳ギャルはステータスだ。自分は特別な人間なんだ。あれだけコンプレックスだった胸が今ではトレードマークに変わったことを姫華は実感していた。周囲になんと言われようとも、姫華はギャルを止めるつもりはなかった。



 ●●●



 6年生の始業式。

 褐色巨乳ギャルの爆誕だった。

 学校までの通学路でも周囲の目が自分に注目していることに姫華は気づいていた。姫華の姿はどこに出しても恥ずかしくない正当派ギャルそのものだった。アイシャドウは多め。眉だって全剃りの上でばっちり書き込みをしてある。短い時間だったが勉強と研究を重ね、少ない資金でもって完成させたギャルメイクだった。

 しかも服装もド派手でエロかった。お金もなかったのでTシャツを短く切ってヘソ出しにした。大きな胸がすさまじく自己主張をしながら歩くだけで揺れている。なけなしのお小遣いで買ったジーンズ柄のデニムから伸びるムチムチの太ももも褐色。まさにセクシーマシーン。身長が低いこと以外で彼女が小学生であることを見抜ける人間などいないだろう。

 教室でも驚きをもって迎えられた。

 姫華が教室に入ったとたん、急にあたりがシーンと静まりかえった。内心どきどきしながら自分の席に座り、がばっと脚を組む。誰にも屈してはならず、ギャルたるものバカにされようがなにをされようが決して己を曲げてはならないのだ。そんなことを思いながら周囲の視線に耐えていると、ずっと姫華をからかってきた男子が近づいてくるのがわかった。

「おまえ、姫華だよな、なんだよその格好ww」

 バカにしたような含み笑い。

 ヘラヘラと笑いながら姫華の目の前の席にドガンと腰をおろしてきた。そのまま、姫華の変身ぶりをじろじろと見渡して「ぷぷぷっ」と笑っている。そんな彼に従うようにとりまきの男子たちも姫華を取り囲んだ。

「おっぱい星人がギャルになったぞ。受けるんだけど」

「おまえ、自分がどんな格好してるかわかってんの? よく恥ずかしくないな」

「似合ってねえよそれ(笑)。イッショウケンメイ努力したんだろうけどさー、豚のおっぱい星人がどんだけ努力しても豚は豚だぞ。肉はみ出てない?」

 あれだけ嫌だった男子を前にして姫華の体は震えそうだった。

 おそらく5年生の頃の自分なら泣き出していたことだろう。しかし、今の姫華は違う存在だった。ギャルは誰にも屈してはいけないのだ。

「うるさいんだけど」

 姫華がドスのきいた声で言った。

「その油ぎったニキビ面こっちに近づけないでくれる? ブサイクがうつったら困るからさ」

 男子たちが戸惑った表情を浮かべる。

 彼らはまさか姫華が反抗してくるとは思っていなかったようだ。それ以上口を開くこともできずにオロオロしている。姫華は仕上げとばかりに立ち上がった。そのまま仁王立ちで男子たちをジロっと見下ろす。

 姫華の体は男子の体と比べて厚みがあった。おっぱいの迫力だけで男子たちを圧倒していた。男子たちは目の前に迫った姫華の巨乳にたじたじとなる。丈の短いTシャツでは隠しきれない褐色の下乳が目覚め始めた男子の性をボコボコにぶん殴る。彼らの意識が姫華のおっぱいだけに集中して、反抗できなくなったのは男子の方だった。

「消えろよ。とっとと。はやく」

 ドスのきいた声で言う。

 うっと呻いた男子たちが「行こうぜ」と言ってそそくさと去っていった。姫華は「ふん」と吐き捨ててからどかっと椅子に座って、脚を組み、目をつむった。

 遅れてやってきた心臓の爆音が姫華にも感じられるようになる。椅子に座っている状態でも足がぷるぷる震えていた。今になって恐怖がやってきて、とてもではないが目を開けていられない。姫華はじっと目をつぶりながら、達成感と緊張で神経を高ぶらせていた。

 自分はやったのだ。

 ギャルに変身をして男子たちを撃退した。あれだけ苦手だった男子たちに一泡ふかせてやった。それが嬉しくて胸がポカポカしたことを姫華は覚えている。ギャルになってよかった。姫華は心底そう思った。



 *



 それからというもの、全てはうまくいった。

 友達もできた。

 どのクラスにも必ずいるメイク好きの女の子が集まったグループだ。姫華のメイクを見て、道具はなにをつかっているのかとか、メイクのやり方などの情報交換をしている間に仲良くなっていた。

 そのグループは学級カーストの中でも上位に入るグループだったので、その中に入った姫華にちょっかいを出してくる男子はいなくなった。もとより容姿の整った姫華はそのグループの中でもあか抜けた存在となり、屈託なく教室の中でも笑えるようになった。

 男子たちはそんな姫華のことを遠くから見つめることしかできなくなっていた。

 そんな男子たちのうちの一人に福田がいた。

 今まで姫華をからかっていたクラスのリーダー的存在だ。彼は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべながら姫華を睨んでいた。下に見ていた女子が変わったことを認められない男子というのはどこにだっているものだ。

 ある日、姫華は福田から呼び出しを受けた。



 *



「おまえ、調子にのってるんじゃねえぞ」

 姫華の目の前で福田がオラつきながら言った。

 校舎裏。

 姫華は福田と二人っきりで対峙していた。

 姫華が朝、学校に登校するとげた箱に手紙が入っていた。「放課後、校舎裏に来い」。シンプルな記載にビクンと震えた姫華だったが、逃げるわけにはいかなかった。ギャルは誰にも屈してはならないのだ。

「なんか調子こいてメイクなんてしてよ。おまえみたいな豚がそんなことして許されると思ってんのか? なに様のつもりなんだよ、おまえ」

 睨みつけてくる。

 その体がわなわなと震えているのが見える。姫華は怖くて仕方なかった。ひょっとしたら殴られるかもしれない。髪の毛を引っ張られて、引きずりまわされるかもしれない。もっとひどいことだってされるかも。

 周りには誰もいない。助けを求めることはできない。

 それでも屈することはできなかった。

 ギャルは誰にも屈してはいけないのだ。

 負けるもんか。

 姫華はそう思って、精一杯の虚勢をこめて、目の前の福田を睨みつけた。

 効果は抜群だ。

 福田は驚いてきょどきょどし始めた。視線を最初にはずしたのも彼だった。福田はまさか二人っきりの状態で姫華に反抗されると思っていなかったのだろう。彼の睨みつける視線はどんどん弱くなる。

 しかも、彼の視線はとある場所を反復して見つめ始めた。すぐにその場所から視線がはずされるのだが、すぐに戻ってくる。

 福田は姫華のおっぱいをチラ見していた。

 褐色の下乳が惜しげもなくさらされてる露出の高い姫華の格好。Tシャツの丈はますます短くなり、大きく開かれた胸元からは谷間が見える。

 その野生動物みたいな迫力をもったおっぱいの魔力に、福田はあらがうこともできない様子だった。

「なあんだ」

 姫華がバカにしたように笑った。

 福田の視線に気づいた姫華は、すべてを知った。男子というのはバカなのだ。こんな状況ですらおっぱいを見つめないではいられない。こんな奴にギャルが負けるわけがない。姫華はさらに追い打ちをかけることにした。

「おい、どこ見てんの?」

「な、なにが」

「ウチのおっぱい、そんなに好きなんだ」

 ニンマリと笑ってやる。

 両手で左右のおっぱいを挟み込み、ぐんにゃりとその谷間を強調した。それだけで男の意識のすべてはおっぱいに集中した。間抜けな面で蠱惑的に歪曲した褐色おっぱいにくぎ付けになり、姫華が近づいてくるのにも気づかない。

「ほら、食べてあげる」

 姫華の巨乳が福田の顔面を捕食した。

 彼女の手が男子の後頭部を抱きしめて、自分の胸にその顔面を押し込む。谷間の中に埋もれてしまった男子が「むっふううううッ」と声にならない悲鳴をあげる。さらに姫華がぎゅうううっと抱きしめ、福田の頭部は巨大なおっぱいに食べられてしまった。

「パフパフって技だよ。バトルファックの。耐えられるかなー」

 おどけたように言った。

 木城カエデさんの試合を思いだしながら、姫華は初めてのバトルファック技を繰り出す。初めてでなにをどうすればいいのかわからない。しかし、胸の中に拘束された福田は暴れることもなく体を脱力させるだけだ。しかも彼はフガフガと滑稽に鼻を荒くしていた。吸っているのだ。姫華のおっぱいの匂いを一生懸命に吸っている。息を吸うたびに福田の体がビクンビクンと震えてさらに脱力していくのを姫華は感じていた。

「あれれ~、なんか力なくなってきてるんですけど~」

 姫華が笑って言った。

 ぐいぐいと福田の顔面をおっぱいですり潰しながら初めての言葉責めをする。

「ねえねえ、おまえは今、おっぱいに食べられてるんだよ? はやく逃げないと大変なことになるのに、なんで抵抗もしないでおっぱいのにおいに夢中になっちゃってるわけ?」

 姫華がぷぷぷっと笑った。

「でも仕方ないか~。おっぱいには勝てないもんね~。おまえが吸ってるのはフェロモンってやつだよ。それ吸うと男子は体ビクンビクンさせて痙攣しちゃうの」

 バトルファックの試合で解説をしていた言葉を思いだしながら姫華が言う。

「これくらったらもうダメだよ。ぜったいにおまえはウチに勝てない。おっぱい奴隷になって、命令には絶対服従のマゾになるの」

 姫華の言葉にも福田は反応しなかった。

 ビクンビクンと震えるだけ。くすりと笑った姫華が久しぶりに福田の頭部をおっぱいの谷間の中から引きずり出した。そのまま、とろけきった男子の顔面を至近距離から見つめる。

「おまえは今からウチの手下だから。いいな?」

「う、ああああッ」

「おい、どうなんだよ。手下になるんだよね? まだ足りなかったら、もう一回いっとこうか?」

 少しだけ福田の顔面をおっぱいの中に押し込めた。

 それだけで男子はよく怯えてくれた。青ざめた表情を浮かべた彼が滑稽に叫んだ。

「はい、姫華さんの手下になります」

「聞こえないんだけど」

「今日から僕は姫華さんの手下です!」

「ふふっ、よし」

 許しを与えてから、姫華が福田を放してやった。おっぱいの中でフェロモンをかがされて悶絶していた福田は、自分では立っていることもできずにドサッと地面に倒れ込んだ。

 女の子座りのように力なく地べたに座った福田。そんな男子のことを姫華はニンマリ笑いながら見下ろしていた。手を腰にやり、仁王立ちのままで、自分の足下で膝まづいている男子のことを見下ろす。

 ギャルの勝利だった。自分は勝者で目の前の男子が敗者だ。ギャルがクラスのリーダー的存在を打ち負かしたのだ。それは姫華にとってすごい自信になった。


つづく