ブラジリアン柔術の道場。
英雄たち門下生は、久しぶりに、まっとうな柔術の練習に励んでいた。
「それじゃあ、乱取りしましょう」
英雄が主導して練習を仕切る。
それを師範が見回って、気にかかったところを指摘する。男たちが強さを求めて研鑽につとめている光景。15名ほどの男たちが、つかの間おとずれた平和の中で、練習に励んでいく。
「あれれ~、聡くん、どこに隠れちゃったのかな~」
びくんっ。
その声だけで英雄の体が震える。
道場のかたすみ。
そこで行われている凄惨な拷問。
英雄は、練習を継続しながらも、そちらをチラ見することがどうしても止められなかった。
「ふふっ、聡くんの悲鳴だけは聞こえるのに、姿が見えないですね~」
明日香。
彼女がニコニコ笑いながら仰向けに寝ころがっていた。ムチムチの太ももがガッチリと組まれ、閉じられている。さきほどから、「むううう」「ぐげえええ」という悲鳴がくぐもって聞こえてきた。
「どこかな~、どこに隠れちゃったのかな~」
おどけて言う明日香。
ニコニコしながら、ぎゅううう、ぎゅうううっと太ももに力をこめている。そのたびに、くぐもった悲鳴は大きくなった。
「ふふっ」
ニンマリと笑った。
明日香が手を伸ばし、自分の太ももの肉をかきわけるようにして、広げて見せた。くぱあああっと、太ももの皮下脂肪が広げられ、現れたのは涙と鼻水でぐじょぐじょになり、顔を真っ赤にさせた聡の顔面だった。
「あ、聡くん、こんなところにいたんですね」
両手で太ももの肉を広げながら、そこに埋もれた同級生の男子を見つめる明日香。
聡はもう息も絶え絶えといった様子だ。明日香のぶっとい太ももに頭部を挟み込まれ、ベギバギと頭蓋骨を粉砕されていく。
体格差があまりにも違いすぎるので、聡の頭部は完全に明日香の太ももの中に埋もれていた。顔面も、髪の毛すらも、すべて明日香のムチムチの太ももに包み込まれ、そのまま頭を潰されていく。
「ゆるちて……たすけて……ひゃだああああ……殺さないで……」
うわごとのようにつぶやく聡。
ぽろぽろと涙をこぼしながら、同級生の女の子に必死の命乞いをしている。かつて見下していた少女の太ももの中で、少年が完全に心を折られていた。
「ん~、聡くんの命乞い聞いても、明日香はぜんぜん興奮しないんですよね。やっぱり、師匠のを聞いちゃうと、ほかの人はぜんぜんというか」
「ひゃだあああ……ゆるしてください……あやまるから……今までのこと、ぜんぶあやまりますから……」
「ふふっ、別に謝らなくていいんですよ聡くん。そのかわり、聡くんのこともっとボコボコにさせてください」
ぎゅうううううッ!
「むっぐううううッ!」
膨張する明日香の太もも。
ぼごおっと筋肉が隆起し、またしても聡の顔が見えなくなる。完全に明日香の太ももの中に隠れ、埋もれてしまった。
「カヒュウウ―――ぐっぎいいい」
暴れている。
明日香と比べれば小さすぎる聡が、その体を必死に暴れさせて、明日香の締めつけに対抗しようとしている。
しかし、まったくの無駄だ。
体格差が違いすぎる。同い年の同級生だというのに、少年より少女の体のほうが圧倒的に上だった。
大きな体と小さな体。
たくましい少女の太ももに捕らえられ、締めつけられて暴れる少年は、虫かごの中で暴れる昆虫のようだった。
「苦しそうですね~、聡くん」
明日香が楽しそうに笑いながら言う。
「明日香、まだぜんぜん力こめてないんですよ? これで1割くらいですかね。それなのに、聡くんは悶え苦しんで、頭蓋骨バギバギ潰されていっちゃってます」
ニコニコ。
かつて自分のことを何度も締め落としてきた少年に、100倍返しをしていく明日香。
「ふふっ、よわいですね~。どうですか聡くん、昔は圧勝していた相手にボコボコにされて殺されていく気分は? くやしいですか?」
返答はできない。
少年は暴れることで必死だ。明日香がニンマリ笑った。
「次は胴体も潰しましょう」
獲物が一瞬解放される。
あくまでも一瞬。
明日香の太ももが俊敏な大蛇のように動き、獲物をからめとってしまう。
聡の胴体。
そこに狙いを定め、左右に開脚された明日香の長い足が、ゆっくりと閉じられていく。
「ほ~ら、丸飲みされちゃいますよ~」
ゆっくり。
見せつけるように。
仰向けに寝ころがった明日香の太ももが、真正面で座っている少年の胴体に迫っていく。
「あ、あ、あ、や、やめて」
それを聡は絶望と共に見つめていた。
ガクガクと震えながら、自分の胴体に迫ってくる二匹の大蛇に怯え狂っていく。それでも逃げることはできない様子だった。蛇を前にしたカエルのように、恐怖で腰がぬけ、身動きができなくなっている。
「あすか、やめてえええ……あすか、やめ、やめてええええ」
「ほ~ら、くっついていきます」
「やめてえええええッ! ひゃだひゃだひゃだあああああッ! 無理りいいッ! これ無理なののおおッ!」
情けない顔。
眉を下げてまさしく負け犬といった表情になった少年が必死に懇願する。
「はい、ぱっくん」
ぎゅうううううッ!
「ぐっげええええええッ!」
そんな命乞いも無駄で、明日香の太ももが少年を喰らう。丸飲み。聡の胴体が完全に明日香の太ももの中に埋もれてしまった。
少年の胴体の二倍ほどはあるかと思われる太い太もも。それが二本、貧弱な少年の胴体に巻きつけばどうなるか、見るまでもなかった。
「あはっ、聡くんの胴体埋もれちゃった」
寝ころがりながら、自分の太ももの中で捕獲した獲物を見上げて明日香が言う。
「暴れてる暴れてる。あ~、かわいそ~。この子、これから明日香の太ももで殺されちゃうんだ~」
ひとごとのように言う。
明日香の言葉どおり聡は暴れていた。
無駄とは分かっていても暴れないではいられないようだった。昆虫が人間の手につかまれて暴れるように、聡は明日香の太ももにつかまれて暴れている。
「ふふっ」
そんな聡のことを明日香はニンマリしながら眺めていた。まさしく支配者。昆虫で遊ぶ幼い少女がそこにはいた。
「2割」
ベギバギベゲエエエッ!
壊れていく音。
膨張した明日香の太ももと、そこでプレスされていく少年の胴体。明日香の太ももの間で幼い少年の体がギチギチに挟み込まれてペッチャンコにされていく。
「かっぎいいいいいッ!」
白目をむいて少年がじたばたと暴れている。
それでも明日香の締めつけは緩まない。そのまま、聡は同い年の女の子の太ももの中で気絶した。
「あはっ、よわ~い」
気絶した聡の顔をまじまじと観察しながら明日香が言う。
「明日香、まだ2割しか力こめてないのに、胴体潰されて気絶しちゃいました」
気絶した聡は白目をむいてピクピク痙攣するだけだ。
「でも、ちょっと物足りないですね~。やっぱり、全力で締めつけてもすぐには壊れない玩具で遊んだほうが楽しいかも」
ニヤリ。
笑った少女が聡を放り投げて、周囲を見渡した。
「それでは、次いってみましょうか」
その言葉に男たちがガクガク震えた。
明日香のまわり。
そこには、元キックボクシングジムの男たちが全裸で正座していた。
「明日香の全力の締めつけ、受けてみてください。ふふっ、3分間、気絶しないで耐えられたら、明日香のサンドバックから解放してあげてもいいですよ?」
笑う。
長身の高みから男たちを見下ろしながら、これから男たちを刈り取る太ももを見せつけていく。
「うううううッ」
はやくも泣き出し始めたサンドバックたち。
彼らは確信していた。
目の前。
そこで威圧的に鎮座しているムチムチの太もも。今から自分たちはこのぶっとい太ももによって締めつけられ、悲鳴を叫ばされて、締め落とされるのだ。
それが分かっている男たちは、しかし逃げることもできずにガクガク震えたままだった。道場から、男たちの悲鳴がやむことはなかった。
*
「あ、明日香」
明日香のサンドバック虐めをチラ見しながら英雄がつぶやく。
練習に身が入らない。
せっかく明日香が自分のことを締め落として遊ばなくなったというのに、練習に集中ができないのだ。気づくと、明日香が男たちをボコボコにしていくのを食い入るように見つめている。
「明日香……様……」
自分の中で芽ばえつつある気持ち。
締め落とされたい。
あの太ももで、容赦なく。
そんな気持ちに気づかないふりをしながら、英雄はいつまでも自分の肉棒を勃起させていった。
つづく