翌日。

 町田が眠りから目覚めると、既に優子の姿はなかった。

 どうやら、時刻は正午をまわっているようで、既に優子は部活に出かけたあとのようだった。


「ここは、優子ちゃんの部屋か」


 きょろきょろと周りを見渡した町田が一人つぶやいた。

 自分はいま、優子のベットの上でねそべっている。

 その事実に気づくと、自然に、昨日のことが脳裏に思い出された。


(昨日・・・・・・)


 町田はゴクリと唾を飲み込む。

 後輩の女の子に、ディープキスと匂い責めを繰り返され、快楽のあまり気絶してしまったこと。

 そのことを思い出すだけで、町田の脳は、昨日の快楽を思い出して、チカチカと麻痺してしまうようだった。

 昨日のあの責めが、体の中に刻みこまれてしまっている。

 あの柔らかくて大きな胸。そのフェロモン全開の甘い匂い。

 それが体の中で再現されて、一瞬、なにもされていないのに、町田は快感でビクンと体を痙攣させた。


(うううッ、しゃ、射精したい)


 快楽が積み重なった結果、自然と町田の思考はその一点に集中した。

 ふつうならば、自分の股間には、尋常ではないほどに固くなった一物があるはずだった。

 しかし、今の自分の股間にあるのは、冷たい金属の壁に囲いこまれて、縮こまっている柔らかなもの。

 そこに、自分の男としての権利が奪われてしまっているように感じて、町田は何故か、全身が痙攣するほどの快感を得た。

 自分の射精。

 自分の雄槍。

 それを支配し、生殺与奪の権利をもっているのは誰か。

 それを考えるたびに、町田は危険なほど、優子に心を奪われていくのを感じた。


(ゆ、ゆうこちゃん)


 あの優しいそうな微笑み。

 女子ソフト部の部活でも、けっして自分のことをいじめてこなかった天使のような存在。

 そんな彼女が、こうして、ひたすら快楽責めをして、自分のことを責めなぶってくる。

 そのことを自覚すればするほど、町田の脳裏には優子の存在しかなくなっていった。


「ううッ、ゆうこちゃん。射精させてええ」


 声に出し、射精を懇願する。

 それすら許されず、町田は涙目になってしまう。

 そして、ちらっとベットの上の枕を見た。


「優子ちゃんの・・・・・枕」


 つぶやくと、夢遊病のようにフラフラしながら町田がベットの上を這っていく。

 優子の枕。

 それを目の前にして、町田は一瞬だけ生唾を飲み込んだ。

 そして、


「優子ちゃんんッ!!」


 勢いよく、顔面を枕に突っ伏す。

 そのまま深く、深く、枕に残った優子の残り香を嗅ぎ始めた。


「すううはあああ! すううはあああ!」


 半狂乱に陥ったように、町田は枕を自分の顔面で潰さんがごとく押しつけ、その匂いを嗅ぐ。

 そのたびに、町田は優子の残り香を感じた。

 あの甘い匂い。

 フェロモン全開の男を虜にしてしまう危険な芳香。

 その魅力の前に、町田はビクンビクンと体を痙攣させ、半分白目になりながら、一心不乱に優子の匂いを嗅ぐ続ける。

 薬が切れた中毒者のように。

 町田はただひたすら、優子の匂いをもとめて、枕に顔を突っ伏していた。


「すううはあああ! すうっはあああ!」


 何度も何度も。

 町田は、優子の残り香を嗅ぎ続けた。


 *


「ただいま帰りました。先輩、いい子にしてましたか・・・・・・と」


 夕方。

 優子が自室に入ったとき、自分のベットの上にのたうつ男の姿を見た。


「あらあら、先輩ったら。今日一日、ずっとそうしていたんですか?」


 ベットの上。

 そこには、枕に突っ伏して、年下の女の子の体臭に夢中になっている男の姿があった。

 すうはああっと、枕に顔をつっこんで、何度も何度も深呼吸を繰り返している男。

 最初、優子の存在に気づかないほどに、町田はその行為に夢中になっていた。

 何時間も何時間も、町田は優子の匂いを嗅ぎ、自ら性感を高めてしまっていたのだった。

 町田の限界はとうに越えてしまっていた。


「ゆ、ゆうこ・・・・ちゃん・・・・」


 彼はようやく枕から顔をはなした。

 虚ろな眼で、優子の存在を確認する。

 彼は、緩みきった表情をさらに破顔させて、優子のことを見上げた。

 そして、


「ゆ、ゆうこちゃああんん!」


 町田が、優子に近づこうと、ベットの上から転がり落ちる。

 そして、地べたをはうようにして優子の足下へと迫った。

 そのまま、優子の脚にすがりつくように、その大きな脚を抱きかかえて、言った。


「優子ちゃああん!! 射精させてくだしゃあいいい! おねがいしましゅううう! 射精させてえええ!!」


 恥も外聞もなく、下級生の女の子に懇願する男。

 顔は必死の形相で、唾を飛ばしながら射精を懇願してくる。

 優子は、その滑稽な様子を、高身長から見下ろし、優しく微笑んで言った。


「だめですよ、先輩。まだまだ練習の続きなんですから」

「ひゃだあああ! 射精させてええええ! おかしくなるううう!」

「だめです。そんなに射精したいなら、きちんと宣言してください。先輩は私のおっぱい奴隷になるって。千鶴先輩のことは忘れますって。そうしたら、嫌っていうほど、びゅーびゅー射精させてあげますよ」

「いやあああ! 射精させてえええええ!」

「もう、聞き分けの悪い子はこうですよ」


 言うと、優子は町田の顔面を抱えた。

 そのまま町田のことを立ち上がらせると、勢いよく、


「えい♪」


 自分の爆乳で、町田の顔面を潰した。


「だjsぎsじじょkそあぁあ!!」


 町田が悶絶する。

 柔らかい感触と、その匂い。

 枕とは比べものにならないほどの感触に、町田はすっかり夢中になってしまった。


「ふふっ」


 ぐいぐいと、優子がリズムをつけるように、町田の顔面を自分の胸にこすりつける。

 確信をこめて、男の顔面を柔らかい凶器で潰していく優子。

 彼女は、最後に名残おしそうに、ひときわ力をこめて町田の顔面を胸に押しつけてから、町田を解放した。


「はい、脳味噌溶ちゃいましたね」


 優子が町田の顔面を真正面からのぞきこみながら言った。

 彼女の言葉のとおりだった。


「あああんん・・あああ・・・・・ンンっ・・・・・」


 町田は白目をむいて、鼻水と涎を垂れ流していた。

 たった数秒の行動で、町田は優子にノックアウトされてしまったのだった


「ふふっ、それでは、昨日の続きをしますね」


 優子が天使の笑みを浮かべて言った。


「今日は、先輩の乳首を開発しちゃいます」

つづく