けっきょく、元部長は壊されて捨てられてしまった。その末路を僕は知らない。元部長の安否を心配する余裕なんて僕にはなかった。今日も僕は犯される。
「首絞めると、まだ少しはできそうだね」
佑梨ちゃんが笑って言った。
寝室のベットの上。
いつものようにさんざんに騎乗位で犯され、最後には勃起することもなくなった僕のことを叱咤するように、佑梨ちゃんが首締めファックを始めてしまった。
「動かすね」
パンパンパンッ!
僕の首を両手でわし掴みにして締め上げながら、乱暴に腰振りを開始する。酸欠の息苦しさで僕の体がじたばたと暴れる。しかし、彼女の圧倒的な肉体から逃れることなんてできないのだ。
僕は首を締められ、生命の危機に陥りながら、子供をつくるためのセックスを強要されていった。
「ふふっ、翔太くんのち●ぽ、大きくなったね」
「かぎゅううッ! ぐげえええッ!」
「首絞められて興奮しちゃったね。あ~あ」
バカにしたように笑い、首締めと腰振りを継続する。僕は白目をむきつつ、頭上で笑う佑梨ちゃんの残酷な猫のような笑顔でさらに興奮してしまう。
「なさけないね~。みじめだね~。彼女に首絞められながら犯されるなんて、人間おわってるよね~」
「ギュウウッ! グッボオオッ!」
「ほら、わたしの両手が翔太くんの首にがっちり食い込んでるよ? このまま殺されちゃう。それなのに、翔太くんはとっても興奮して勃起するだけ。殺されてるのにきもちい~、もっともっと犯して~、そんなふうに自己主張しながら、されるがままになっちゃった。本当に無様な姿だね」
にっこりと笑う佑梨ちゃん。
虫の息になった僕を見下ろしながら彼女が続ける。
「でもやっぱり翔太くん体力なさ過ぎだよね。クンニもいつまでたってもうまくならないしさ。もっとがんばってくれないと、困るんだけどな」
ぎゅううううッ!
パンパンパンッ!
締め付けが強くなる。
腰が盛大な殴打音を響きわたせる。
佑梨ちゃんが頭上で笑った。
「イけ」
どっびゅううううッ!
びゅっびゅうううッ!
生命力を射精にかえたみたいにして僕はイった。
目の前がブラックアウトする。
その最後の瞬間に、落胆したように顔をくもらせる佑梨ちゃんが見えた。
「あ~あ、これじゃあ新しいの探さないとダメか」
●●●
佑梨ちゃんに犯されるだけの毎日。
それはとても刺激的で興奮する毎日だったけれども、逆に僕は不安になっていた。
(僕も元部長みたいに捨てられるんじゃ・・・・)
彼女を満足させられていないという実感。
それが不安になって、僕の心を苛んでいた。
佑梨ちゃんは優秀な人間だ。僕よりも頭がいいし、肉体的にも優れている。そんな人間は一度見切りをつけた人間にはどこまでも辛辣になれる。いずれ、自分も彼女に捨てられてしまうのではないか。そう思うと、とても不安で、目の前が真っ暗になるような気がした。
「佑梨ちゃんを満足させなくちゃ」
今みたいに犯されてばかりじゃダメだ。
それじゃあいつか自分は捨てられる。
僕も佑梨ちゃんを気持ちよくさせてあげたい。僕は自分の決意を彼女に伝えることにした。
*
「え、正常位でヤりたい?」
寝室でいつものように強制クンニをさせられた後のことだ。
いつものように僕を押し倒そうとした佑梨ちゃんにむかって、僕は待ったをかけた。そして、「今日は正常位でセックスしたい」と、そう言ったのだった。
「・・・・・・別にいいけど、どうしたの?」
佑梨ちゃんが怪訝そうな表情を浮かべる。
僕はごにょごにょと要領を得ない言葉を発することしかできなかった。
「・・・・・・」
じいっと、佑梨ちゃんの瞳が僕を見下ろす。
その視線を前にすると自分の考えがすべて見透かされているように感じられてならなかった。すぐに本当のことを言いたくなる。捨てられたくないからできるだけ対等な立場でいたい。受け身になるだけじゃなくて、積極的に佑梨ちゃんと交じりあいたい。そんな言葉が口から出ていきそうになる。
「うん。まあ、ころ合いかな」
佑梨ちゃんがニッコリ笑った。
彼女の言葉の意味は分からなかったけれど、僕の希望を聞いてくれるようだった。彼女が自分からベットに仰向けで横たわる。すべてを受容するような包容力に満ちた笑顔を浮かべている佑梨ちゃん。僕は満ち足りた気持ちになった。
(よ、よし。やるぞ)
もともとセックスは苦手ではないのだ。
これまで付き合ってきた彼女たちのことも満足させることができていた。それに、僕の肉棒は平均よりも大きい。優しく、いたわるように、挿入した肉棒を動かして、中でイかせたことだって何度もある。
「佑梨ちゃん、いくよ」
ゴクリと唾を飲み込む。
彼女の足の間に体を入れる。
「来て、翔太くん」
見えてくるのは寝転がった佑梨ちゃんの姿だ。
美しい。
強くて優秀な肉体。
その大きなおっぱいが寝転がることによって谷間が強調されることになっている。タレ目がちな瞳が僕のことを上目遣いで見つめているのが分かる。そのすべてがとても美しくて、綺麗で、僕の心が簡単に奪われてしまっていることが分かった。
(は、はやく、佑梨ちゃんの中に入りたい)
興奮は最高潮に達する。
ハアハアという荒い息。
視界には彼女の姿だけが入ってくる。
僕は勃起した肉棒を・・・・肉棒をいれようと・・・・・。
「え?」
その時、はじめて気づいた。
僕の分身は、まったく反応していなかった。
普段と同じようにただただそこにあるだけ。極上の女体を前にしているのに、まったく勃起していないのだ。
「な、なんで」
焦る。
こんなことは初めてだった。
今まで佑梨ちゃんのそばにいるだけで興奮して勃起していた一物がまったく反応していない。勃起していなければ挿入することなんてできない。彼女の密壷を前にして、矛を断たれた肉棒が力なく下を向いているだけだった。
「くすっ」
笑い声が聞こえ、体が震える。
僕の体の下。
犯されるのを待つだけの女の子が、すべてお見通しという視線でもって、僕のことを見つめていた。
「ねえ、勃起できないんでしょ?」
「う」
「挿入しようとしたのに、ち●ぽ勃起できなくて、なにもできないんだよね」
くすくす。
上品そうな女性がバカにしたように笑う。
その口から、信じたくない現実が発せられる。
「ねえ翔太くん、なんで勃起できないか、分かる?」
ニヤニヤと。
サディストが笑いながら、
「翔太くんが勃起できないのは、君が、マゾになっちゃったからだよ」
マゾ。
そこだけ強調して佑梨ちゃんが言う。
「女の子に虐められないと興奮できない重度のマゾ症状。ノーマルな正常位なんかでマゾが興奮できるわけないでしょ? 翔太くんはマゾなんだから、女の子に虐めてもらえなきゃ、勃起することだってできないんだよ?」
なんでそんなことも分からないのかな~。
バカにしたように勝ち誇って言う佑梨ちゃんだった。僕は顔面を蒼白にして、わなわなと唇を震わせるだけだった。なんとか勃起させようと下半身に力をこめる。けれど全くの無駄だった。僕の肉棒はぴくりとも反応しなかった。これでは女を犯すことなんて、ぜったいにできない。
「ち、違う・・・・こんなの・・・・僕はマゾなんかじゃない」
「ん~?」
「マゾなんかじゃない。違うよ。絶対に違う」
現実を受け入れたくなくて必死に言う。
それは懇願に近かった。
マゾなんかじゃない。そんなこと信じない。僕の焦った顔を見て、佑梨ちゃんがニンマリと笑った。
「証拠、見せてあげるよ」
がしっ!
力強く、佑梨ちゃんの両手が伸びてきて、僕の首をわし掴みにした。ぎゅううっと締め付けられる。下からえぐりこむようにして締め付けられて息苦しさに顔が歪む。至近距離に迫った佑梨ちゃんの笑顔を見て、僕は興奮してしまった。
「ほ~ら、簡単に勃起した」
言葉どおりだった。
あれだけ反応がなかった僕の一物が、簡単に勃起してしまっていた。首を締められているのに、さきほどまでピクリとも動かなかった肉棒がこれ以上ないくらいに固くなってしまったのだ。
「ね? 翔太くんはマゾなんだよ」
首を締めながら佑梨ちゃんが言う。
「女の子に首絞められて虐められただけで勃起しちゃう変態マゾ野郎。もう二度とノーマルなんかに戻れない重度のマゾ。わたしに犯されて、翔太くんはマゾになっちゃったの」
ニヤニヤ笑う。
彼女は起きあがって、反対に僕を押し倒してきた。ベットに仰向けに倒れる。すぐに馬乗りになってきた佑梨ちゃんが上から押さえつけるみたいにして僕の首を両手で締めてきた。
「は~い、立場ぎゃくて~ん。いつもの体勢になっちゃった」
「あひいい・・・・・・ぐええええッ!」
「仰向けに倒れて犯される体勢になったら、また興奮しちゃったね。体は正直でいいよね~。もう君の体はマゾであることを認めてるよ? わたしに犯してもらえると思って、すっごく興奮しちゃってる。みじめだね~」
「カッギュウウッ・・・・ぐげええええッ!」
「ほい、挿入♪」
盛大に勃起した一物が食べられる。
犯される。
虐められる。
それだけで体に電流が走ったみたいに快感が生まれた。びくんと跳ねてしまった自分の体の反応を前にして、僕は誰よりも驚いていた。
「マ~ゾ」
僕の耳元で佑梨ちゃんがささやく。
「女の子に虐められて興奮する変態マゾ野郎。正常位でセックスできないマゾ。情けないね~、惨めだね~、本当にザコなマゾ野郎だね~」
「あひん・・ひいん・・・・」
「今もわたしにマゾ呼ばわりされて興奮してるね。耳元で囁くたびに、君のち●ぽがびくんびくん痙攣してるのが分かるよ。本当にどうしようもないマゾだね、君は」
耳元でひたすら囁かれる。
甘い脳髄を溶かすような声で。
「マ~ゾ♪ マ~ゾ♪ マ~ゾ♪」
「あひん! ひいんんッ!」
「マゾであること認める?」
「ひいいいいッ! ひいいいいッ!」
「女の子に虐められて興奮するマゾだって認めるのかな?」
ぎゅううううううッ!
パンパンパンッ!
締め付けが強くなる。
腰が打ち付けられて乱暴に犯される。
それなのに自分の体はどうしようもなく興奮しているのが分かった。分からされた。僕はもうダメなのだ。ニヤニヤと笑っている佑梨ちゃんの笑顔を見てとてつもなく興奮してしまっている。僕は絶叫した。
「認めましゅううううッ!」
「なにを?」
「マゾですうううッ! 僕はマゾですうううッ!」
「マゾだって認めるんだ?」
「はひいいいいいッ! マゾです僕はマゾですうううううッ! 佑梨ちゃんにマゾに躾られちゃいましたあああああッ!」
言葉にするとそれだけで興奮した。
口から泡をふきながら叫ぶ。
目の前のサディストが「ふふっ」と笑った。
「よくできました」
バンバンバンッ!
「あひいいいいんんッ!」
「ご褒美に今日は乱暴に犯してあげるよ」
ニンマリと佑梨ちゃんが笑う。
「マゾの翔太くんにはそのほうがいいよね? 刺激たっぷりに、犯しまくってあげる」
巨尻が僕の下半身を潰す。
首を締められながらディープキスが始まる。
彼女の長い舌が僕の口の中で暴れまわり、息もできなくなる。首締めとベロチューと乱暴腰振りの三重苦で僕はダメになる。彼女の許しを待って必死に射精だけは我慢するだけの時間。僕は何度も失神させられ、射精しても許されずに犯されまくった。
「ゆ、佑梨さまああ! ゆるじでええええッ!」
彼女を様づけで呼ぶ。
それは自然と僕の口から出てきた。
佑梨ちゃんが笑っている。
満足そうに、彼女の嗜虐心が満ちていくのが分かる。それによって僕の被虐の壷がいっぱいになっていく。僕は殺されながら、体を痛めつけられながら、佑梨ちゃんと心も体もこれ以上ないほど密着し、一つに交じりあっていった。
*
朝が来る。
寝室ではまだセックスが続いていた。
挿入しっぱなしで腰を振ってきた佑梨ちゃんが、小休止とばかりに、ごくごくとペットボトルから直で水を飲んでいる。体力お化けの佑梨ちゃんの顔に汗が浮かんで、その髪をぬらしているのがどこまでもエロかった。
「翔太くん、生きてる?」
馬乗りになってペットボトル片手に問いかけてくる佑梨ちゃん。僕はアヒンアヒンと悶えるだけだ。
「水、飲ませてあげるね」
再びペットボトルを口にしてから、彼女が僕の唇を奪った。そのまま、口移しで水をのませてくれる。親鳥からエサをもらうように、僕は彼女から与えられる命の水をゴクンゴクンと飲み干していった。
「最高だったよ、翔太くん」
満ち足りた表情を浮かべた佑梨ちゃんが僕の頭を撫でながら言う。
「本当に大満足。やっぱり翔太くんと付き合えてよかったよ。とっても幸せ。体の相性もばっちりだもんね、わたしたち」
佑梨ちゃんが僕のことを抱きしめてくる。
その大きなおっぱいで顔面が抱擁されて、多幸感でおかしくなりそう。
「でも、なんでいきなり正常位でやりたいなんて思ったの?」
頭を撫でながら言う佑梨ちゃん。
僕はすべての心の壁を破壊されていたので、自分の心境を隠すことなんてできなくなっていた。僕は正直な気持ちを口にした。
「す、捨てられたくなくて」
「え?」
「ちゃんと僕も佑梨ちゃんを満足させたいって・・・・・そんなふうに思ったんだ・・・・・不安で・・・・・ごめんなさい」
たどたどしい子供みたいな言葉。
佑梨ちゃんがびっくりしたように瞳を丸くした。
「なんで? なんでわたしが翔太くんを捨てることになるの?」
「だ、だって、元部長も簡単に捨てて、処分しちゃって・・・・・・次は自分なんだって・・・・・この前も佑梨ちゃん、「新しいの探さなきゃ」って言ってたから、す、捨てられると思って」
「そんなことしないよ!」
慌てたように言う佑梨ちゃんだった。
彼女は僕のことを抱き起こして、真正面から僕の顔を見つめると、
「新しいのを探すっていうのは、ペットのことだよ。新しいペットを探さなきゃなって思ってただけ」
「え?」
「翔太くんのこと捨てるわけないじゃない。わたしだって、翔太くんのこと、大好きなんだよ?」
ちゅっと、優しく唇が奪われる。
それだけで、すべてが許された気持ちになった。
僕は佑梨ちゃんの胸の中で子供みたいに泣き始めてしまった。
「あ~、そんなに不安にさせちゃってたのか。ごめんね」
「う、うううううッ!」
「わたしも反省しなきゃだね。これからは、そこら辺もちゃんとするから。許して、ね?」
優しく頭を撫でられる。
僕が泣きやむまでそれは続いた。
*
「落ち着いた? 翔太くん」
ようやく僕が泣きやんでから佑梨ちゃんが言った。
ベットの上で添い寝をするみたいにして彼女が僕のことを抱きしめている。
「う、うん。ごめんね、佑梨ちゃん」
「大丈夫大丈夫。これからはちゃんと二人で話し合う時間をとろうね」
にっこりと笑った女神。
僕は一生、彼女についていこうと、そう思った。
「そうだ! 気分転換に、旅行にいこうよ」
佑梨ちゃんが元気いっぱいに言った。
「海が見える高級ホテル。1週間くらい連泊してさ、遊びに行こう」
「で、でも」
「大丈夫。お金だったらわたしが出すから。わたしのお詫びだと思ってさ。ね? いいでしょ?」
楽しそうに笑う佑梨ちゃんだった。
佑梨ちゃんの機嫌が良い証拠だ。彼女の機嫌が良い時には表情がコロコロかわる。今も、彼女は一転して妖艶な表情になると、
「それに、新しいペットもはやく見つけないとだからね。高級ホテルでよさそうなのがいたら、すぐに調教して持ち帰っちゃおう」
ニンマリとサディストの笑顔になって言う。
「そのときには、翔太くんにもちゃんと相談するから安心してね。翔太くんの気に入らない男はペットにしないからさ」
にこにことした笑顔。
このご主人様に逆らえるはずがない。
彼女の幸せが僕の幸せなのだ。
僕はコクンと力なくうなずいた。
「決まりだね。あ~、楽しみだな~」
さっそく旅行の計画を立て始める佑梨ちゃん。
僕はそんな彼女のことを眺めながら、犠牲になるであろう人のことを思って黙祷をささげる。けれど、ある意味でその人も幸せになれることは間違いなかった。佑梨ちゃんのペットになれば絶対に幸せになれる。一緒にこのご主人様に従う仲間。優しい人ならいいなと、そんなことを思いながら、僕は力尽きるようにして眠りについた。
完
「ブラック企業で体を壊した僕が高級ホテルで長身爆乳大学生のペットになるまで」に続く。
つづく