翌日。
練習相手がみつかったと報告すると、部長の岸田先輩は気持ちよく笑った。責任感という名の相当な重荷を背負っていたらしく、血走っていた瞳も希望に輝いていた。
「ありがとう、よく見つけてくれたね」
岸田先輩が言った。
「もうダメかと思ったよ。最後の総体まで、基礎練習だけでぶっつけ本番、あたって砕けるしかないと」
「でも純菜は素人ですからね。技量だってあるわけじゃないし、体力だってないですから」
「分かってる分かってる。無理はしないよ。逃げられたらそれこそジ・エンドだからね」
そう言ってカっと目を見開いて自分の手で首を切るマネをする岸田部長。
こんなエキセントリックな性格をしている男が部長だから、入部してくる女子もいないのではないのかと、何度目になるか分からない疑念を持つ俺だった。
「とにかく夢野くんが練習相手を辞めようなんて思わないように、手厚く面倒を見てやってくれ」
「分かりました」
「うむ。とりあえず、手始めにこれを渡しておいてくれるかね」
そう言ってガサゴソと自分の鞄を荒らす岸田先輩。長いこと探し続けて、ようやく「あったあった」とつぶやきながら取り出したのは大きな紙袋だった。
「なんですか、これ?」
「バトルファック用の競技水着だよ。一式買っておいたから、彼女に渡してくれ」
手渡された紙袋の中身を見てみると、そこには包装された新品の競技水着が入っていた。競泳水着ではなく競技水着。純白の布面積の狭いビキニだ。それ自体に問題はないが、その数が大問題だった。
「部長、なんでこんなに買ったんです?」
「愚問だな。胸はAカップからIカップまで。尻だって全てのサイズを網羅するため、全種類コンプリートしておいた」
「なぜ?」
「愚問。そりゃあ、夢野くんのサイズが分からんからだろうが」
「いや、それなら純菜に聞けばいいんじゃないですか」
岸田部長が敵を凍らせようとしているかのごとく盛大なため息をついた。
「君はバカか? どこの世界に、入部もしていないバトルファック部の男に自分の体の秘密を教えてあげようという女性がいるんだ」
「そうかもしれないですけど」
「そうに決まっている」
「いやでも、ぜんぶ買う必要もないでしょう。純菜にはこの一番小さなAカップからBカップ対応のものだけで大丈夫だと思いますよ」
俺は純菜の小さな胸を思い出していた。
中等部1年のときの記憶。あの頃だって平均より小さな膨らみだった。制服の上からだが、今もそこまで大きくは見えなかった。
「まあ、準備しておくことに間違いはあるまい。それでは放課後、頼んだよ」
立ち去っていく岸田部長。俺は大量のバトルファック用競技水着を持ったまま、途方にくれるのだった。
*
放課後になり、部活の時間になった。
別クラスの純菜と待ち合わせて、練習場に向かう。俺の後を少し離れて歩いてくる純菜はどこかよそよそしかった。
顔を赤くさせて、胸の前でお守りのようにバトルファックの教科書を抱えている。挙動不審のように落ち着かず、彼女の中で葛藤が生まれていることが分かった。
「なあ、大丈夫か?」
俺は後ろに振り返って純菜に話しかけた。
「え、な、なにが?」
「いや、挙動不審すごいぞ」
「そ、そんなことないよ。平気平気」
そう言って、ぎゅうっと胸の前の教科書を抱きしめる純菜だった。俺はその大事そうに抱えられた本を指さしながら言った。
「その本、ひっぱり出してきたのか」
「え? あ、うん。中等部のときの教科書。物置にしまってあったんだけど、なんとか見つけて」
「もう4年も前になるんだもんな。なんだか、だいぶ昔のように感じるよ」
「そう、だね」
そう言って純菜は押し黙った。彼女はぱらぱらと教科書をめくってその字面を読み返し、少し落ち着いたのか、こちらを見返しながら言った。
「大丈夫だよ。復習もちゃんとしたし、バトルファックをやること自体には不安とかないの」
「そうなのか?」
「そう。不安というか、は、恥ずかしいのは、自分の体を見られること…………なんだよね」
どういうことだと疑問に思うヒマもなく、純菜は思いを断ち切るように笑って続けた。
「でも大丈夫だよ。健ちゃんの頼みだもん。わたし、がんばるね」
そう言って笑った彼女は、小学生の頃よく遊んだときの純菜のようだった。そのことがなぜか嬉しくて、俺まで笑顔になってしまった。
*
部室に到着して女子更衣室の前。
そこで新品の大量の競技水着が入った紙袋を純菜に渡した。
一瞬だけ体を硬直させた純菜。
おそらく、競技水着の布面積の小ささにびびってしまったのだろう。
体を見せることが恥ずかしいと純菜は言っていた。その彼女にこの水着を着てもらうことは申し訳なかったが、こればかりは仕方のないことだった。
バトルファック中は、当然お互いの体液で体が汚れることになる。お互いに責めやすくするためにも、服を着たまま競技をするわけにはいかないのだ。
「それじゃあ、着替えてくるね」
顔を真っ赤にさせながら、純菜が女子更衣室に消えていった。
俺はヒマをもてあましながら、ドアの前で待つしかなかった。
いつまでたっても純菜は現れなかった。女子更衣室の中をのぞくわけにもいかず、俺はどうしたものかと途方にくれてしまった。やはり、競技水着を着用することが恥ずかしいのだろうか。それとも、どうやって着ればいいのか分からないのだろうか。そんなことを思いながら待っていると、ようやく女子更衣室の中から声がした。
「あの、健ちゃん?」
「おお、どうした。大丈夫か?」
「うん。大丈夫なんだけどね」
言いにくそうに言葉をにごす純菜だった。
「なんだよ。どうやって着るか分からないのか?」
「ううん。そうじゃなくて…………あの、サイズってこれが全部だよね?」
「サイズ?」
「そう。このサイズしかないんだよね」
その言葉の意味がよく分からなかった。
サイズが合わなかったということなのか? いや、岸田部長は全サイズをコンプリートしたといっていた。そうだとすると、合わないサイズなんてないと思うのだが。
ひょっとすると、あまりにも胸がなさすぎてビキニを着用するのが難しいとか、そういうことがあるのだろうか。それなら、背中のサイズ調整でなんとかなるかもしれない。
「もしかすると、背中の奴で調整できるかもしれない」
「ほ、本当?」
「ああ。やってやるから、出てこいよ」
「…………」
沈黙が返ってきた。
もう一度説得しようとしたところで、女子更衣室のドアがギイっと開いた。ゆっくりと扉が開いていく。その女性を見て、俺は驚愕した。
「ご、ごめんね健ちゃん。ちょっとこのサイズだと、ちっちゃ過ぎるみたいで」
純菜が言った。
現れた女性は純菜だ。それは当然だ。でも、今にもはちきれそうな巨乳は純菜ではなかった。
自分でも何を言っているのか分からない。口をパクパクさせて、言葉にならない。俺の視線は純菜の大きな胸に吸い込まれて、目を離すことができなくなってしまった。
大きな、大きな巨乳。
布地の小さな白いビキニではおさまりきらないその果実は、競技水着から今にもこぼれてしまいそうだった。重力に負けることなく前に突き出ている。張りとみずみずしさが段違いで、冗談抜きで輝いて見えた。生命力にあふれている。まるで野生動物の活力の塊のような爆乳。なぜか頭がクラクラした。
「健ちゃん、どうしたの?」
顔を真っ赤にした純菜が心配そうにこちらを見ていた。
彼女が少し前かがみになっただけで、その爆乳も揺れた。途端に、俺の分身が勢いよく勃起してしまった。純菜の胸に屈服するように、俺も前かがみになるしかなかった。
「あ、ご、ごめんな。今すぐやるから」
幼なじみの体で勃起した恥ずかしさを隠すように、純菜の背後に回り込む。そして、競技水着のサイズ調整をするベルトに手を伸ばそうとした。しかし、
(う、後ろからもこぼれてる?!)
規格外のデカさを誇るその巨乳は、背後から見ても純菜の胴体に収まりきらずにあふれていた。柔らかそうな体。競技水着の背中のベルトがぎちぎちに純菜の柔肌に食い込んでいるのもエロかった。それだけで、彼女の体の柔らかさが感じられるようだった。
俺は震える手で純菜の競技水着をつかむ。純菜の体に触れた俺の指から腰にかけて電流が走った。あまりの柔らかさ。それだけでガクンと腰が抜けそうになるのをなんとか耐えて、調整ベルトをマックスにした。
「ど、どうだ純菜」
「うん。ちょっと楽になった。これなら大丈夫そう」
笑って、感謝の言葉を口にしてくれる純菜。
しかし、その言葉は俺の意識に届かない。俺はありったけの意思の力を使って、純菜の爆乳から目をそらすしかなかった。純菜の体が視界に入らないようにそっぽを向きながら、俺は口を開いた。
「でも、もっと大きなサイズあったんじゃないか? わざわざ小さなサイズ使わなくてもよかっただろう」
俺の疑問に純菜が答えた。
「ううん。これが一番大きなサイズだよ」
「そ、そうなのか?」
「うん。きついのは慣れてるんだけど、この小ささだとこぼれちゃいそうで、困ってたんだ。ありがとうね、健ちゃん」
「お、おう」
純菜の言葉がうまく頭に入らない。
一番大きなサイズ。それでもきつい。調整ベルトもマックスにした。Iカップでもおさまらない爆乳ということだ。そんなおっぱい、先輩たちですら見たことないぞ。
俺は思わず純菜の巨乳をチラっと盗み見してしまった。谷間がどこまでも深い。脂肪というにはあまりにも力強すぎる。エロい。やばい。そのど迫力に、ますます俺の勃起は固くなってしまった。
「そ、それじゃあ、行くか」
俺は前頭葉にフル回転を命じて本能に打ち勝った。
競技場のほうへと早足で歩いていく。それでも俺の脳裏から純菜の爆乳が離れることはなかった。
*
よく来てくれた。
そんな岸田部長の歓迎の言葉は途中で尻すぼみになった。部長の意識は全て純菜の巨乳に吸い取られてしまっている。
それはほかの男性部員も同じだった。副部長も、先輩たちも、同級生の男子生徒だって、皆、純菜が競技場に現れた瞬間、彼女の爆乳に意識をもっていかれてしまった。
(そりゃあ、無理もないよな)
彼女は変わらずに童顔で地味で真面目そうな女の子だった。長い前髪で、大きな黒縁メガネをかけたやぼったさも相変わらずだ。
しかし、その大きな胸だけは男たちの視線をくぎ付けにする魅力を放っていた。
この巨乳を前にすれば、道ばたを歩く男ども全員が二度見をすることは必至だろう。競技場にいる男子部員10名全員が、純菜の巨乳に心を奪われてしまっていた。
「…………あ、あの」
あまりの視線に顔を真っ赤にした純菜が、もじもじとして体を隠そうとしている。
その言葉に、ハっと我にかえった岸田部長が「ゴホン」と咳払いをしてから言った。
「よくきてくれたな。私がバトルファック部の部長の岸田だ。よろしく頼むよ」
「はい。よろしくお願いします」
「今日は手始めに君の実力をみたい。無理をさせるつもりはないのでね。君の力を知っておく必要がある。そうだなあ、とりあえず、こちらからは手を出さないので、君から責めてみてくれないか」
いきなり試合をやるとかそういう無茶なことはしないらしい。
岸田部長の言葉に、純菜は緊張して顔をこわばらせながら「分かりました」と返答した。部長と純菜が競技場中央にあるリングの上へと移動していく。
リングは、ボクシングやプロレスのものを思い浮かべればわかりやすい。少し高い位置に周囲をぐるりとロープで囲われた空間がある。そこに、部長と純菜二人だけが立っていた。
「それでは、15分間、責めてみてくれ」
部長が言った。
純菜はあわあわと戸惑っていた。何をすればいいのか分からないのだろう。棒立ちの部長を前にして動けずにいた。
「純菜、まずは体を密着させて、キスだ」
俺はリングの上の純菜にむかって声をかけた。
バトルファックの基本。
正攻法の試合スタート形式だった。別にルールとして定められているわけではないが、たいていの試合は男女が抱き合い、互いに唇を奪い合うところから始まることが多い。
「う、うん」
純菜が意を決して部長に近づいていく。
歩くだけで胸が揺れている。あの生命力に満ちた爆乳が、わずかの振動で大地震を起こしていた。それに目を奪われた部長は、経験者らしくもなく、興奮した眼差しで対戦相手の武器となる胸を凝視していた。この後待ち受ける地獄を想像することすらできず、岸田部長は鼻の下を伸ばすだけだった。
「い、いきます!」
正面から、純菜が部長に抱きついた。
弱々しい抱擁。力強く抱きしめるわけではなく、体と体が触れているという程度の接触。
しかし、それだけで岸田部長の膝がガクンと墜ちた。
「な、なんだ、これは」
部長が戸惑いの声をあげた。
純菜の体に触れただけで腰が抜けそうになってしまっている。どう見ても、その原因は、部長の体にかすかに触れている純菜の爆乳だった。
「純菜! もう少し強く抱きしめろ!」
俺が叫ぶ。
純菜は「う、うん」と弱々しくつぶやくと、死刑執行人となって、自分の巨乳で部長の胴体を潰した。
ぐにゅううううッ。
「ひゃ、ひゃあああッ」
女みたいな悲鳴があがった。
純菜の大きな胸が部長の胴体を浸食してしまっている。ギチギチという音が聞こえてきそうなほどに、肉のかたまりが男の体に押しつけられ、その身動きを奪っていた。そのグンニャリと歪曲した胸の形は、それを見るだけで快感を脳に送り込まれたみたいになるほど凶暴だった。周囲の男子部員たちも、驚愕と共に勃起し、前かがみになっている。
「あ、な、なんだこれ。ひい…………あ、動かさないで」
弱々しい声が部長から漏れる。
力任せにぐいぐいと力を入れて抱きしめる純菜のせいで、さきほどから爆乳が部長の体で縦横無尽に暴れ回っていた。
「…………」
純菜は無言だ。
目をつむって、一生懸命に男を抱きしめようとしているだけ。ただそれだけなのに、岸田部長は早くもグロッキー状態になった。
「あ、だ、ダメだ…………腰が…………」
ついに立っていられなくなった部長が地面にずり落ちそうになる。部長の体が倒れていく。その絶妙のタイミングで純菜の目が偶然開き、獲物を発見してしまった。
「次は、キス」
「あ、だ、ダメっむっふうううッ」
勢いよく純菜の唇が部長の唇を奪った。
ディープキス。中等部時代の彼女の得意技だ。童顔に似合わない純菜の長い舌が、部長の口内を犯していくのが見える。エロい肉厚の舌が、じゅぱじゅぱと音を立てながら暴れ回っている。
「あ、あひいん…………アア……」
そのディープキスに対して、部長は反撃もできずにされるがままになっていた。
既に体からは力が抜けてしまっており、純菜に抱きしめられてかろうじて立っているだけだった。
その結果として、純菜の爆乳がさらに部長の体に押しつけられてしまっている。その状態でディープキスをされっぱなしになれば、勝負の行方は明らかだった。
「じゅ、純菜、手でしごくんだ」
俺がリングの下から指示をした。
ディープキスをしながらコクンと頷いた純菜が、ゆっくりと部長の競技パンツをおろして、その一物を外気にさらす。
純菜の爆乳の感触と卓越したキスの技術によって、その一物はこっけいにも勃起していた。それは、弱点をさらけだしているようにしか見えない、哀れな勃起だった。
純菜が戸惑いながらそれを握った。おずおずと慣れない手つきでしごく。限界はすぐに訪れた。
「ひゃああああッ!」
どっびゅうううう!
白い液体が部長の分身から吐き出された。
それと同時に、部長の体がビクンビクンと痙攣した。それを抵抗と感じ取ったのか、純菜は男が暴れないようにさらに抱擁を深めてシコり続ける。しかし、彼女の手に精液がかかるにあたって、ようやく純菜も事の顛末に気づくことになった。
射精させてしまったのだ。
バトルファックの素人が、バトルファック部の部長を瞬殺してしまった。開始からまだ5分もたっていなかった。
「え?」
ようやく男を解放してやった純菜が、呆けた声をあげた。
自分の手についた部長の精液を呆然と眺めている。今の状況が信じられないのか、純菜が手の平で男の精液をぐちゃぐちゃとまぜあわせて、その感触とにおいを確かめ始めた。
純菜の童顔とあいまって、その光景は男の精液で遊ぶ童女のようで、蠱惑的な雰囲気がリング上に広がることになった。
「うそ。射精しちゃった。ほ、本当に?」
純菜が戸惑いと共に口を開いた。
彼女はゆっくりと、自分が抱きしめている男を見下ろした。
「あひい……ああ……」
もはや部長に意識はなく、白目をむいて気絶していた。その情けない顔。それを見下ろす純菜の顔にも驚きの表情が浮かぶことになった。
その驚きは、リング下の男子部員たちも同じだった。
目の前の光景が信じられない。まさかこのような結末になるとは誰も思っていなかった。岸田部長はそれなりの実力者で、秋の大会では県でベスト16に入るほどの強豪だった。
それが、たとえ部長から責めることはしないルールだったとしても、バトルファックの素人に瞬殺されるなんてことは誰も想像すらできなかった。
「つ、次は僕が相手だ」
皆がハっと息を飲んだ。
声をあげたのは副部長の藤山先輩だった。すらっとした長身で、物腰も柔らかい人格者。エキセントリックな部長を陰から支える頼れる先輩が、リングの上にあがった。
「部長は少し体調が優れなかったらしい。もう一度、君の実力を見させてもらいたい。いいかな?」
「は、はい。よろしくお願いします」
バカ正直に答えておじぎをする純菜だった。
その動きと共に彼女の爆乳が揺れ、谷間がさらに強調されることになった。その光景をまじまじと見てしまった藤山副部長が「うっ」と呻き声を漏らし、フル勃起して競技パンツにテントをつくってしまう。
おじぎからなおって顔をあげた純菜も、その勃起に気づき、驚いたように副部長の顔を見た。その視線に耐えられず下を向いた副部長がさらに純菜の爆乳を凝視してしまい、その一物がビクンと跳ねた。
きまずい雰囲気が流れるリング上。
さきほどと同じように、藤山副部長からは責めないルールのもとで、バトルファックが開始された。
「あひいんんッ!」
まるでさきほどのリプレイを見ているかのようだった。
副部長は純菜に抱きしめられて、それだけで腰が抜けてしまった。
防御力ゼロになった副部長の口内を純菜のディープキスが暴れ回って蹂躙し、すかさずの手コキですぐに副部長は射精した。
開始から5分もたっていなかった。
年下の素人女子生徒に、何年もバトルファックの修練を積んできた男たちが瞬殺されてしまった。
「こ、こんな簡単に……」
やはり呆然とした純菜がつぶやく。
手にべっとりついた精液をネチョネチョと弄びながら、自分の勝ち取った成果を確認していく。ちらっと彼女が視線を落とせば、そこにはリング上で気絶した全裸の男が地面に横になっていた。それを純菜が立ったまま見下ろしている。その構図はまさに勝者と敗者そのものだった。
*
そこからは、予定調和のように同じことが繰り返された。
混乱した男たちが目の前の光景を信じられず、次々とリングにあがり、強制射精させられていった。
皆、彼女の胸に抱きしめられたら、何もできなくなってしまった。
大人と子供の差。
プロとアマチュアの試合だってここまで一方的な展開にはならないだろう。
彼女の胸の感触に悶絶し、ディープキスで唇を犯されて、つたない動きの手コキで射精させられる。
俺をのぞいた全男子部員、9名が全て、強制射精の上で失神した。最後のほうは純菜も慣れてきたらしく、手コキの動きもこなれたものになっていた。まるでベルトコンベアーに乗せられた商品を検品するかのように、同じ手順で男たちを射精させてしまった素人バトルファッカー。
最後には、リング上に立っているのは純菜だけになった。
男たちは彼女の足下でうめきながら痙攣を繰り返すだけ。
リングの上に立っている純菜の全身は精液まみれだった。まるで戦場で敵の返り血を浴びた屈強な戦士のような立ち姿。俺はリングの下から、彼女の勇姿を見上げるしかなかった。
*
部活の終了時間となった。
俺は最後の一人をリングから立ち上がらせて、そいつに付き添って部室まで連れて行ってやった。
部室の中では、ぐったりとしたままの9名の男子部員たちが呻いていた。
もうろうとしながらも意識を取り戻している男子部員たちは、しかし腰にきていて、一人では立つことすらできない有様だったのだ。おそらく、歩けるようになるまでもう少し時間がかかるだろう。
男たちが腰を抜かすほど精液を絞りとってしまった純菜。
俺はますます驚きを禁じ得なかった。
バトルファックの素人がここまでの成果をあげられた理由。
それは、どう考えても、あの育ちきった爆乳のおかげだろう。
中等部の時に肌を重ねたときにはなかった彼女の武器。その生命力に溢れた大きな胸に、ほかの男子部員たちは精液を根こそぎ絞りとられてしまったのだ。
(すごいな。ちゃんと練習すれば今の純菜なら全国大会までいけるかもしれない)
うちのバトルファック部は弱いというわけではないが強豪でもなく、全国大会に出場する選手なんてここ10年出ていなかった。
今の純菜だったら、それもできるかもしれない。俺たちの練習相手なんかじゃなくて、きちんとした部員として練習に励めば。
そんなことを考えながら競技場に戻ると、当の本人が必至にリングの上を掃除していた。
「悪いな純菜。練習に付き合ってもらっただけじゃなく、掃除までさせちまって」
俺もリングの上にあがりながら言った。
純菜は簡単に体を洗い流した後、リングの上にこべりついた精液をブラシでこすりながら掃除してくれていた。
「ううん。大丈夫。それに、こんなに汚くしちゃったのは私だから。掃除くらいはさせてよ」
そう笑いながら言って、彼女はブラシでリング上の精液を洗い流していった。
男たちの敗北の証である大量の精液が、彼女のブラシによって無惨にゴミとして捨てられていく様子は、どこか背徳的でエロかった。
しかも、純菜はまだ競技水着姿だった。その小さな布面積からこぼれそうになっている爆乳も相変わらずそこにあって、彼女の動きにあわせて蠱惑的に揺れていた。
(しかし、どうすればこんなにデカくなるんだ?)
俺は、ここまでの成長を見せた爆乳に腑に落ちないものを感じていた。
いくらなんでも、大きくなりすぎではないか。中等部1年の3学期からなにがあればこんなにデカくなるのか。俺は思わず純菜に質問していた。
「なあ、純菜。お前の胸、いつからそんなにデカくなったんだ?」
「い、いきなり何?」
「いや、気になってさ。だって中等部の頃は、そんな大きくなかったじゃんか」
顔を真っ赤にさせて動きを止めてしまった純菜。
彼女は何か覚悟を決めたようにこちらを向くと、少し怒った表情で言った。
「中等部1年の3学期からだよ。最後の体育の授業が終わってから少しづつ」
「は? それって」
「そうだよ。健ちゃんとバトルファックの試合をした後から、急に大きくなっていったの」
ドクンと心臓が脈打った。
それと同時に、あの時の純菜の姿と喘ぎ声が脳裏によみがえってきた。
「健ちゃんのせいなんだからね」
「な、なにがだよ」
「こんなに大きくなったのは健ちゃんのせいなんだから」
やはり怒ったように言う純菜だった。
「だから、健ちゃんとはバトルファックの練習もやりたくないの。これ以上大きくなったら大変だもん」
「いやでも勘違いじゃないのか? なんで俺とバトルファックしたらお前の胸が大きくなるんだよ」
「し、知らないよっ」
さらに怒ってそっぽを向いてしまった純菜。
俺は言った。
「でも、その胸は大きな武器だと思うぞ」
「え?」
「だから、バトルファックではすごい武器になるってことだよ。さっきの力試しだって、その胸があったからこその成果だからな」
「そ、そうだよね。さっきのってやっぱり」
純菜が自分の大きな胸を見下ろしながら言った。
片手で胸を下から持ち上げ、その重量を確認している。その動きだけで俺の愚息が反応したが、天をあおいで神に祈りを捧げることでなんとか耐えた。
「変だと思ったんだ。素人の私の手コキくらいで、あんなに簡単に射精しちゃうなんて。やっぱり、みんな、私のこの胸に興奮してたの?」
「そうだよ。みんな、お前の胸に触れただけで骨抜きになってただろうが」
「う、うん。なんか変な声あげて、体から力がすぐになくなっちゃった」
「だからそれが大きな武器なんだって。お前、才能あるよ」
俺の言葉に顔を真っ赤にさせる純菜だった。
胸が大きいというだけであれだけの結果が生まれるわけがない。どういう理屈か知らないが、純菜の巨乳は男の反抗を根こそぎ奪い取るだけの魅力があるのだろう。それが才能でなくてなんなのだろうか。
「でも、こんなに大きいと気持ち悪くない?」
「どういうことだ?」
「だって、不自然というか、みんな変な目で見てくるし……だらしなく見えるって言うのかな」
不安そうにつぶやく純菜。
俺は断言した。
「そんなことない」
「え?」
「そんなことないぞ」
俺は確信と共に言った。
「どう考えたって胸が大きいことはバトルファックでは武器だ。プロの女子選手にだって胸が大きい人はたくさんいるだろ? その人たちが大きなおっぱいを武器に男子選手を圧倒する光景なんて、格好いいの一言だろうが」
「そうかな」
「そうだよ。だから、お前はもっと自信をもて」
俺の言葉に純菜は優しく微笑んだ。
言葉なんて必要なく、それだけで彼女が俺に感謝をしていることが分かった。
つづく