残された時間は少なくなっていった。

 事態を重くみた戦隊協会は、世界最強戦隊の派遣を決めていた。

 地球の最高戦力による視察が間近に迫っている。

 それまでに少しでも成果をあげなければならない。

 あげられなければ第13戦隊は解散となり、レッドたちの行く場もなくなってしまうのだ。

 地球のため―――自分たちのため―――そしてレッドにとっては愛しの妹を養うために、負けるわけにはいかなかった。



 *



 しかし、

 現実はあくまでも非常だった。



 *



「首が締まっていきます。苦しいですか?」

 エイファが淡々と聞いた。

 いつもの廃ビルだ。深夜帯の静まり返った廃墟。そこでは今日も獲物の悲鳴が響きわたっていた。

「かぎゅううううッ!」

 レッドが仰向けに倒され首を絞められていた。

 その背中ではエイファの大きすぎる爆乳がぐんにゃりと潰れている。胴体にはムチムチに育ったエイファの脚が絡みついていた。胴締めチョークスリーパー。エイファの大きな体の上に乗せられ羽交い締めにされたその姿は、まな板に乗せられた魚と同じだった。

(こんな・・・・・エイファにも・・・・・勝てない・・・・・)

 勝負は一瞬にして終わってしまった。

 ティファに敗北した翌日、またしても詩織から呼び出された。

 そして予告どおりに今度はエイファの練習台になった。

 詩織の合図と共に戦闘が開始した瞬間、エイファの体が消えた。あっという間に背後をとられ、エイファの両腕がレッドの首に絡みつく。とぐろを巻くようなエイファの両腕によって首を絞められ、胴締めチョークスリーパーが完成してしまったのだ。

(苦しい・・・・・くる・・・じ・・・い)

 首に巻きついた両腕は酸素を完全にシャットアウトしている。

 じたばたと暴れても無駄で、ティファの大きな体の上から脱出することもできない。体の自由が完全に制御されてしまっていた。

「エイファ、打撃技より絞め技のほうが好きなんです」

 エイファがレッドの耳元で語る。

「獲物の息が少しづつ消えてなくなっていくのを見るのがとっても好きです。今も、あなたの命がエイファの腕で少しづつ消えていくのを実感できて、満たされたキモチになります」

 ぎゅうううううううッ!

 さらに締めつけが強くなる。

 エイファの柔らかそうな両腕が、レッドの首に「ぐんにゃり♡」と食い込んでいった。

「頸動脈を絞めるとあっという間に気絶してしまうので、気道だけを締めつけます。こうすると長持ちして便利なんですよ。獲物が苦しむ様子を長い時間堪能できますから」

 にっこりと笑うエイファだった。

 そこに邪心も何もなかった。幼いサキュバスが自分の好きなことを語っている。しかし、それを聞かされる獲物はたまったものではなかった。

(逃げ・・・・逃げないと・・・・)

 死の恐怖を感じたレッドが暴れる。

 無駄と分かっていても体が生きるためにジタバタを繰り返す。しかしエイファの大きな体に乗り上げてしまっているせいで、どんなに暴れても逃げられなかった。地面にたどり着くことすらできずに、エイファという大陸から脱出することもできなかった。

「無駄ですよ」

 獲物の耳元でエイファが言う。

「エイファ、絞め技が極まってから獲物を逃がしたことないんです」

「おえええええッ!」

「この体勢になったらティファお姉ちゃんだって脱出できないんですよ?」

「かぎゅううううッ」

「あなたはここで死ぬんです。かわいそうですね」

「おえっ・・・ひっぎ・・・」

「弱いって、ほんとうに惨め」

 ぎゅううううううッ!

 締めつけが強くなる。

 レッドの顔が赤を通り越して紫色になっていく。眉を八の字にして顔を歪めさせて苦しんでいく。その体が「びくんびくん♡」と痙攣を始める。限界が迫っていた。

「ん、もうダメそうですね」

 エイファが淡々と、

「一回目、気絶してください」

 きゅっ。

 力なんて必要なかった。ただ少し腕の角度を変えただけ。頸動脈への致命的な一撃。それだけで手品のようにレッドが気絶した。少女の両腕に包まれたまま白目をむいて、息の根をとめられてしまったのだ。

「よわっ」

 吐き捨てるようにエイファが言う。

 彼女は気絶したレッドを「ぎゅっぎゅっ♡」と締めつけて遊ぶと、獲物が完全に死ぬ直前で解放してやった。すぐに片手で獲物の髪の毛をつかみ、持ち上げ、立ち上がってしまう。

「・・・・・・・・・」

 無言で見つめる。

 自分の視線の高さまで持ち上げてじっくりと鑑賞する。

 レッドの足は地面についていない。ぶらぶらと死体のように揺れている。幼いサキュバスから鑑賞物にされた男が、白目をむき、口からダランと舌を出して、見るも無惨な姿をさらしていた。



 *



「エイファの絞め技、あいかわらずエグいわ~」

 一部始終を鑑賞していたティファが言った。

 彼女は自分の父親を椅子にしていた。全裸に剥いた旧魔王を四つん這いにさせ、その背中に容赦なく腰かけて、エイファの処刑を見つめていたのだ。ティファの長い足が組まれて、そのムチムチしていながらも鍛えられた美脚が強調されている。その足先にはイエローがいて、ぺろぺろとティファの足を舐め続けていた。獲物たちの体がずっと輝き続けている。

「よくそんなに自由自在に堕とせるわね」

「けっこう簡単だよ?」

「う~ん、ティファは殴ったり蹴ったりのほうが好きだな~」

 楽しそうに語るティファとエイファだった。

 そんな二人を見て、詩織が満足そうに笑っている。

「ティファちゃんもエイファちゃんも、それぞれ自分の好きなように強くなればいいんだよ」

「「はい」」

「レッドさんは頑丈だから、どんどん使っていいからね」

 詩織の言葉を受けて、エイファがニンマリと笑う。

 幼いサキュバスが、「じいいいいっ♡」と宙づりにしたレッドを見つめた。

「起きろ」

 ぎゅうううううッ!

 エイファの両手がレッドの首をわし掴みにした。

 首の骨が「ゴギゴギ♡」と軋むほど握り潰され、その衝撃でレッドが目覚めた。目の前のエイファの笑顔を見て、レッドが「ひい♡」と悲鳴をあげた。

「今からまた絞め落とします」

 死刑宣告のようにエイファが言う。

「両手で握り潰すだけで気絶させます。エイファがその気なら頸動脈を握り潰して一瞬で意識を奪うこともできますが、それだと面白くないですからね。だからこうやって、また」

 ぎゅうううううううッ!

「気道だけ潰して失神させます」

 気道だけを狙い撃ちにした絞めつけが開始する。

 酸欠での失神という死の危険性が高い絞め方。顔色一つ変えずに絞め落とそうとしているエイファの姿は、どこまでも残酷なものだった。

「ぐげえええええええッ!」

 気道を潰されたレッドは悶えるしかない。

 強烈な締めつけによって顔がすぐに赤く染まる。耐えることなんてできない。逃げようとしても宙づりにされて足が地面についていないので無駄だ。絶望したレッドが、宙づりになったままジタバタと足を暴れさせていった。

「うふっ、惨めなパタパタ運動を始めましたね」

「おええええええええッ!」

「首を絞められているのに両足をジタバタさせることしかできない。身長差があり過ぎて足が地面につかなくて、宙づりにされながら首を絞められちゃう。地面を求めて足をパタパタさせて恥ずかしいですね」

 煽るようにして言う。

 ぎゅっぎゅっと両手の力に緩急をつけながら獲物をいたぶり楽しんでいく。おっとりとしたみかけとは裏腹なサディストが、レッドの反応から最適な言葉責めを選択し、獲物の新しい扉をひらき始める。

「こんなに体格差があるなんて情けないと思いませんか?」

「ぐええええええええッ!」

「あなた大学生なんですよね? とっくの昔に成人してる。それなのに年下のサキュバスに身長で劣って、恥ずかしくないんですか?」

 バカにしたように言う。軽蔑しきった笑みでレッドを見つめながら、

「エイファはまだ2歳です」

「ぐええええええええッ!」

「まだ生まれたばかりのサキュバスに、お前はボロ負けして、身長でも勝てないで、足をパタパタさせてるんですよ」

 絶望と羞恥に染まった獲物の顔。

 それに満足したエイファが、まだあどけないその顔をレッドの耳元に近づけ、そして、

「チ~~~ビ」

「あひッ!」

 妖艶な囁き声でトドメを刺した。

 チビ煽りを受けたレッドがフル勃起してしまう。首を絞められ命を奪われようとしているのに、チビ煽りをされただけで勃起してしまったのだ。その体が赤く輝いていく。

「うふっ、チビであることをバカにされて興奮しちゃいましたね」

「アヒインッ!」

「2歳児サキュバスに身長でも体格でも負けて、マゾ性癖を刺激されて勃起してしまいました」

 耳元で自分がどんなに情けない存在なのかを脳髄に刻まれていく。エイファの言葉が発せられるたびにレッドの体がビクビク震え興奮していった。

「お前もあっという間にチビマゾ家畜になりましたね」

「ぐええええええッ!」

「エイファこれ得意なんです。絞め技と同時にチビ煽りするとオスはチビマゾ家畜になるんですよ。この前はパパのことをチビマゾ家畜にしました。いつも偉そうだったパパが、エイファに身長でも体格でも勝てなくなって、チビであることをバカにされたらあっという間にチビマゾ家畜になっちゃいました。ふふっ、自分の娘にチビであることをバカにされて、マゾにされちゃうなんて情けないですよね?」

 ニンマリとエイファが笑う。

 チビ煽りがさらに続いた。

「201センチ」

「グッボオオッ!」

「それがエイファの身長です」

「ガッボオおッ!」

「詩織お姉ちゃんが209センチで、ティファお姉ちゃんが204センチなので、エイファが一番小さいですけど、お前らオスよりは断然背が高いですよね」

 その数字を聞いたレッドがさらに体を輝かせてしまった。エイファがニンマリ笑う。

「具体的な数字を聞いて興奮しましたね?」

「ぐえええええええッ!」

「チビマゾはみんなそうなんですよね。具体的な身長の数値を聞いただけで興奮するんです。具体的な数字で聞くとエイファとの格差が強調されて屈辱感が増すんですかね? ふふっ、見て分かれよって話しなんですが、頭もバカなチビマゾでは仕方ないのかもしれません」

 徹底的にバカにする。チビマゾの尊厳を奪っていく。2歳児でしかないサキュバスが、チビマゾ男の生態を完全に理解して、執拗なチビマゾ調教を施していく。

「オスはみんなマゾなんです」

「かぎゅうううううッ!」

「身長でも体格でもメスに勝てないと分からされたオスは、チビであることをバカにされただけで興奮して魔力をつくっちゃう。本当に滑稽ですよね」

 ぎゅうううううううッ!

 力の差を分からせるために両手の力をさらに加える。その首の骨が「ペギイッ♡」と軋むほどの絞めつけで、レッドが一瞬で白目をむいた。

「チ~~~~~~~~ビ」

 チビ煽りの仕上げが始まる。

「チ~~ビ。チ~~~ビ」

「あひんッ♡ ひいんッ♡」

「チ~~ビ。チ~~~ビ」

「ぴぎょッ♡ ひぎんッ♡」

「2歳児サキュバスにも勝てないチビ。首絞められながら足パタパタさせるチビマゾ。まだ生まれて2年しか経ってない子供に身長でも体格でもボロ負けしちゃった劣等人種。ほんと終わってるよ、お・ま・え」

 ぎゅうううううううッ!

 ビクビクビックンッ!

 言葉責めの最後と、獲物の最後は同時だった。

 その脳髄にチビマゾの烙印を押された男が、2歳児サキュバスによって情け容赦なく絞め落とされてしまった。抵抗して暴れていたレッドの両腕両足がダランと垂れて、「ぴくんぴくんっ♡」と痙攣していく。

「この瞬間もエイファは好きです」

 気絶した獲物をなおも締めあげながら、

「気絶して脱力した相手を見ると満たされた気持ちになります。ああ、ちゃんとできたって思えるんです。だから止められない。もっともっと絞め落としたい」

 ぎゅっぎゅっと緩急をつけながら首を絞める。そのリズムにあわせて気絶して泡をふいている男が「ビクッビクッ♡」と痙攣して、エイファを楽しませた。

「チビマゾ調教をしながら、気絶させ続けますね」

 エイファが笑う。

「大丈夫。絶対に死ぬことはありませんから安心してください」



 *



 エイファはレッドを絞め落とし続けた。

 男がどんなに命乞いをしても絞め落としは終わらなかった。泣き叫び滑稽に暴れて逃げようとする獲物を容赦なく追いつめ、その首を狙い、絞める。エイファは様々な方法でレッドを絞め落とした。



「ほら、また宙づりにされながら首絞められちゃってますね」



 仁王立ちでのチョークスリーパー。

 背後からエイファの両腕がレッドの首を包みこみ、絞めあげている。

 身長差があり過ぎるのでレッドの足は地面についていない。

 まるで絞首刑が執行されているみたいな格好で、レッドが首を絞められていく。

 2歳児サキュバスの両腕の中で悶え苦しみ、顔を鬱血させ、白目をむいていく。

 身長差を分からされるような仁王立ちでのチョークスリーパーで、殺されていった。



「三角締めも完全に極まっちゃいましたね」



 真顔で淡々とエイファが言う。

 覚えたての三角締めが完璧に極まっていた。

 もちろんサキュバスの世界には三角締めなんていう技はなかった。けれどもエイファは地球の絞め技文化に興味をもったのか、古今東西のありとあらゆる絞め技を調べ、熟知し、本を読むだけでマスターしてしまったのだ。サキュバスのムチムチした長い脚に挟まれたレッドは土下座するみたいな格好で悶えるだけ。「かぎゅうううううッ♡」とマゾ声をあげ、マゾ顔をさらしながら絞められていく。レッドの胴体ほどに分厚い太ももで締められては逃げることなんてできない。ジタバタと暴れるレッドが何度も気絶して、また絞められていく。ギブアップなんてしても無駄で、気絶してもエイファは三角締めを解くこともせず、そのままムチムチ太ももで獲物を絞めあげて遊んでいった。



「ふふっ、足で踏み潰されて、首絞めされて、今、どんな気分ですか?」



 さらには純粋な力だけで首を絞める。

 仁王立ちになったエイファが、仰向けに倒れたレッドの首を踏み潰していた。

 大きな足裏がレッドの喉ぼとけを「ぐじゃああッ♡」と潰している。それによって気道がふさがれる形となったレッドは、踏み潰されているだけなのに強烈な首絞めを受けていた。激痛と苦しみが地獄のように襲いかかっているようで、レッドは両手でエイファのふくらはぎあたりを掴み、必死に暴れている。しかし強靭な美脚はビクともせず、レッドはピン留めされた昆虫みたいに地面に縫いつけにされるだけだった。踏み潰されるだけで何度も気絶し、目覚めても喉を踏み潰されたままで、また気絶させられる。何度も何度もそれが続いた。



「かぎゅうううッ! かぎゅうううッ!」



 ありとあらゆる方法で絞め落とされていく。

 そのたびにレッドはジタバタと暴れるのだが最後には落ちる。

 両手両足をダランと垂れさげて、無防備に殺されてしまう。命の危険のある連続失神。それでもレッドが命を落とさないのは、エイファのおかげだ。明らかに彼女は獲物の絞め落としに熟練していた。

「パパで練習済みですから絶対に殺すことはないです」

 エイファがレッドの首を片手で絞め、持ち上げながら言う。

「ティファお姉ちゃんがパパで遊ぶのに飽きてから、エイファがずっと絞め落としているので、もうオスの限界は熟知しています。どれだけ絞めれば落ちるのか、どれだけ絞めれば死ぬのか、完璧に理解できています」

 ニンマリと笑って、

「それに限界がきたらこうやって回復させればいいんです」

 レッドの首を締めていないほうの片手が伸ばされ、魔力がこめられる。ピンク色の輝きがレッドの体に充填され、酸欠によって深刻なダメージが残っていた脳みその破損が回復してしまった。

「ね? これなら永遠に絞め堕とせます」

「ぐええええッ!」

「墜ちろ」

 ぎゅっ。

 片手に少しだけ力がこめられる。

 それだけでレッドが簡単に気絶し、「ぐぼおおおッ!」と盛大なイビキをかき始めた。

「ほら、とっても簡単」

 生かすも殺すも自由自在。

 エイファが獲物を圧倒していく。

 彼女が満足するまで絞め落としが終わることはなかった。



 *



「ん、綺麗に土下座できましたね」

 エイファが淡々と言った。

 彼女の足下では、レッドが全裸で土下座をしていた。

(もうやだ・・・・もう絞め落とされたくない・・・・・)

 レッドが土下座のままガクガクと震える。

 自分の額どころか顔面全体を地面に押しつけ、ひたすらに頭を下げようと努力している。勝利のための努力ではなく、許してもらうための努力を必死に続けている。それもこれもエイファが恐ろしかったからだ。

(こ、怖い)

 とにかく怖い。

 すぐそばに立っている少女のことが恐ろしくて仕方ない。

(おっとりして・・・・・大人しそうで・・・・戦いが始まる前は勝てるかもって思ってたけど・・・・・とんでもなかった)

 目の前に立っている少女は異常者だ。

 徹底的なサディスト。どんなに相手が暴れようが命乞いをしようが関係なく、淡々と絞め落としていく。なによりも気絶する一瞬に少女が見せるうっとりとした表情が脳裏にこべりついて離れない。男を絞め落として楽しんでいる、悦んでいる、興奮している。それが明らかに分かるうっとりとした表情が何よりも恐ろしくて仕方なかった。

「うふっ、怯えてますね」

 ガクガク震えたまま土下座の体勢を崩そうとしないレッドにむかってエイファが言う。

「エイファに絞め落とされたオスはみんなこうなるんですよね。そんなに苦しいんでしょうか」

 笑いながらの言葉。

 エイファがごく自然に足を振り上げ、土下座したレッドの後頭部を踏みつけにした。「うっ♡」という呻き声があがるが獲物の土下座は続く。

「こんなにされても無抵抗のまま」

「ひいいッ」

「ほら、ぐりぐり~」

 エイファがぐりぐりと足を回転させてレッドの顔面を地面にねじこんでいく。ねっとりとした執拗な踏み潰し。それなのにレッドはやはりプルプルと震えながら必死に土下座を続けている。

「ん、完全屈服ですね」

 笑う。

「それでは食べましょう」

 エイファが踏みつけていた足の指を器用に動かしてレッドの髪の毛を掴む。そのままぐいっと持ち上げると怯えきった獲物の顔面が見えてきて、エイファが「くすり」と笑ってバカにした。

「ほ~ら、これで食べるんですよ」

 エイファの尻尾が艶めかしく動く。

 ティファと同じようにその尻尾を「くぱああっ♡」と開いて、その捕食口をレッドの眼前に近づけた。

「ひ、ひいいッ!」

 肉食獣の大きな口だ。

 それが目の前に迫ってレッドは生きた心地がしなかった。今からこれに食べられてしまう。口の中の内蔵じみた生々しい様子を見せつけられ、レッドの体が自動的に逃げようとした。しかし、

「動いたら殺す」

「ひいいいッ!」

「また最初からやりましょうか?」

「ゆるじで・・・・ゆるじでください・・・・」

「動いたら絞め落とす。ふふっ、最初からやり直しですからね」

 ニンマリとエイファが笑う。

 彼女は本気だ。レッドにはそれが分かった。むしろ絞め落としの継続を願っているようなエイファの表情に、レッドが戦々恐々として動けなくなる。

「うふっ、そんなに絞め落としは嫌ですか?」

「はひいいいッ! もう絞め落とされたくありませんんんッ!」

「そうですか。では何をお願いすればいいか、分かりますよね?」

 大人しそうな少女がサディストの視線でレッドを見つめながら、

「捕食か、絞め落としか、どちらかですよ?」

「ひいいいいッ!」

「ほら、お・ね・が・い、しろ」

 ガチガチとレッドが震える。

 昨日のティファによる捕食を思い出してしまう。捕食され、丸呑みされ、体全体がギチギチに潰されて、生き地獄を味わった恐ろしさで狂いそう。けれど今のレッドにとって選択の余地なんてないのだった。

「食べてええええッ! 食べてくださあいいッ!」

「なにを?」

「俺ですうううッ! 俺のこと捕食してくださいいいいッ! エイファ様のエサにしてくださいいッ!」

 叫ぶ。

 それほどまでにエイファの絞め落としが嫌だったのだ。捕食の恐怖を上回るほどの執拗で残酷な絞め落とし。それが嫌で嫌で仕方なく、自分から2歳児サキュバスのエサになることを選んでしまった。

「うふっ♡」

 エイファが笑う。

 ゾクゾクとその背中が快感で震えているのが見える。まだ幼いサキュバスが己の中にあった加虐性を解き放とうとしていた。

「お望みどおり、エサにしてあげます」

「ひいいいッ! ひいいいッ!」

「はい、ぱっくん」

 詩織やティファを真似ながら、エイファが捕食した。

 肉食獣じみた俊敏さで、尻尾の捕食口がレッドの顔面に食らいついた。

「んっむうううッ!」

 顔面全体を覆われたレッドは次の瞬間には自分の体が持ち上げられたことを自覚する。そして少しづつ―――蛇に丸呑みされるみたいに食べられていく。

「ひいいいッ! ひいいいッ!」

 粘着質な濡れた肉壁の感触。

 暗闇に染まっていく視界。

 狭いところに少しづつ引きずりこまれていく恐怖。

 それが恐ろしくて仕方なくて、レッドが暴れて助かろうとする。しかしそれを許すエイファではなかった。幼いサキュバスの声が、レッドの耳にくぐもって聞こえてくる。

「捕食が嫌なら絞め落としですよ?」

「むうううッ!」

「今からでも「ペっ♡」と吐き出して絞め落としの続きをしましょうか」

 そんなことを言われたらもうダメだ。

 食べられている―――殺されてしまう―――それが分かっていながらレッドの体が抵抗をやめてしまった。自分から生殺与奪の権利をエイファに譲渡してしまった。体をピンと伸ばしてきょうつけの姿勢を維持して、ガクガク震えながら、されるがままになってしまった

(な、なにやってるんだ・・・・・逃げないと・・・・・逃げないとダメなのに・・・・・)

 体が言うことを聞いてくれない。

 本能が抵抗することを拒否している。あの絞め落としが嫌で、大人しく捕食されて殺されることを体が選んでしまっているのだ。歴戦の勇者の姿なんてどこにもない。そこには、自分の体をサキュバスのエサとして捧げてしまったマゾ家畜の姿があるだけだった。

「うふっ、はい、完全丸呑み完了です」

 その言葉どおりだった。

 レッドの体が頭頂部から足先にかけて「すっぽり♡」と丸呑みされてしまった。サキュバスの尻尾によって完全に捕食されてしまっている。

(液体が・・・・・あふれて・・・・)

 さらにはネチョネチョした液体が体にまとわりついてくる。

 昨日も経験した消化液だ。それが怖くて暴れようとするのだが、完全丸呑みが完成した今となっては暴れたくても暴れられない。みっちりと尻尾内の柔らかい肉壁で圧迫されて、後は消化を待つだけになっていた。

「ふふっ、確かにあなたの魔力はおいしいですね」

 漏れてくるレッドの魔力を堪能しながらエイファが言う。

「パパのゴミクズ魔力よりも格段に味がいいです。お姉ちゃんたちが病みつきになってしまうのも分かる気がします」

 だから、と。

 エイファが楽しそうに言った。

「特別なやり方で、あなたのこと食べてあげます」

 ガッボオオッ!

「むううううううううううッ!」

 レッドの口に触手が突き入れられた。

 尻尾内の内壁から生えたグロテクスな触手が、情け容赦なくレッドの口内にねじこまれる。顎がはずれそうになるほど大きくて太くて固い触手に口の中を侵食されてレッドが悶えていく。

(ぐ、ぐるじいいいいいッ!)

 喉穴を埋め尽くすほどの触手の圧迫感で白目をむく。体を暴れさせようにも尻尾で体を絞めつけられているので身動きもとれない。しかも、

(ぐ、ぐるじいのに・・・・・きもちいいいいいッ♡)

 なぜか快感で体がビクンビクンと跳ねていくのをレッドは自覚していた。

 触手がねじこまれた口内が暴力的な快感で浸食されていくのが分かる。じわっと脳みそに広がる快楽物質。訳も分からずレッドは白目をむいて、体を痙攣させるしかなかった。

「エイファはサキュバスですからね。獲物を発情させて気持ちよくさせる物質を自由自在に生み出すことができます」

 種明かしをするようにエイファが続けた。

「触手も自由に出し入れできます」

「むうううッ! むううううッ!」

「だからこんなこともできちゃいます」

 グッジョオオッ!

 ぐっぼおおおッ!

「むうううううううううううッ!」

 レッドの体の穴という穴に触手がねじこまれた。耳穴、鼻穴、尿道―――そして尻穴。その穴のサイズにあわせて生えてきた触手が穴の中に侵入して快楽物質を放っていく。体中の粘膜という粘膜に快楽物質を塗りたくられてしまっては、どんな男でも発狂するしかない。

「開始♪」

 かけ声と共に触手が躍動を始める。

 レッドの穴という穴に差し込まれた触手が「ズボッズボッ♡」とピストン運動を開始してしまった。耳穴も鼻穴も口穴も尻穴も。全ての穴を例外なく犯され、同時に快楽物質を体内に注ぎこまれていくのだ。そんなことをされて男が耐えられるわけがない。

「ひっぎいいいいッ!」

 レッドが尻尾内部に閉じ込められながらガクガクと痙攣する。

 快楽地獄。体が電気ショックをくらったみたいに飛び跳ねようとするのだが、粘着質な尻尾肉壁に包み込まれて身動きもとれない。体をよじらせて快感を逃がすこともできず、触手によって犯されて、暴力的な快感で発狂しそうになる。

「しごいちゃいます」

 しかもそれで終わりではなかった。

 尻尾が脈動を開始する。みっちりとレッドの体を包み込んだ尻尾肉壁がレッドの体をもみくちゃくにしながら蠢き出した。

「いぎいいいいいいッ!」

 穴を犯されながら体全体も犯される。

 レッドの体が尻尾肉にこすりつけられていく。太くて肉厚な尻尾の中―――尻尾の先からエイファの尻にかけて、レッドの体が「グボっ♡ ぐぼおッ♡」と動かされていく。まるで腸の蠕動運動みたいだった。捕食された食物が腸の中で転がされて消化されていく。快感でレッドが白目をむいて狂わされていった。

「ふふっ、体全体を犯されてどんな気分ですか?」

「むうううううッ! むううううううッ!」

「まるで全身が男性器になったみたいでしょ? 体ごとまとめてシコってあげます。もちろん穴という穴にねじこんでピストンを続けている触手もそのままですから、安心してください」

 その言葉はレッドにはもう届かない。

 尻穴にねじこまれた触手が的確に前立腺を刺激してくる。ピストンが一回往復するごとに何十回もメスイキしている。それだけでも限界なのに体全体が尻尾肉で愛撫される。逃げたくても尻尾の中にとじこめられているので無理だ。身動き一つとれないという事実でマゾイキする。すぐにレッドは限界を迎えた。

「むうううううううううッ!」

 どっびゅううううううッ!

 びゅっびゅうううううッ!

 射精した。

 尻尾内に丸呑みされ、身動き一つとれない状態で圧迫されながらの惨めなお漏らし。サキュバスの尻尾内に自分の遺伝子情報を放ち、同時に大量の魔力を吸収されていく。

「ん、精子も上質です」

 エイファが頬を赤くしながら言う。

「魔力もやっぱりおいしいですね」

「むううううッ! むうううッ!」

「精液が空っぽになるまで続けます。あなたの精子も魔力も、ぜ~んぶ、根こそぎ奪って吸収してあげますから、覚悟してください」

 エイファが笑う。

 レッドが涙をぽろぽろ流しながら射精を続ける。急速にレッドの体が縮み、大量の赤い魔力がエイファへと吸収されていく。奪えば奪うほどに強くなるサキュバスと、奪われれば奪われるほど弱くなるオス。絶対上位存在者による捕食活動がずっと続いた。



 ●●●



「うん。エイファちゃんも、レッドさんの魔力を吸収してだいぶ強くなったね」

 詩織がニコニコとした笑顔で言った。

 その言葉を受けてエイファがにっこりと笑う。

「ありがとうございます。これも詩織お姉ちゃんのおかげです」

「え~、わたしは何もしてないよ~」

「そんなことありません。詩織お姉ちゃんに教えてもらえたからここまでできたんです。そうだよね、ティファお姉ちゃん」

 エイファの言葉にすぐティファが肯定した。

「もちろん。詩織お姉ちゃんのおかげでティファたち強くなったんだもん。あんなに弱々だったのにこんなに強くなった」

 ティファがニンマリ笑って、

「ま、これだけ強くなれたのは、こいつらから奪った魔力のおかげもあるかもだけど」

 ぎゅううううううッ!

 ティファがお尻をグリグリと動かして見せつける。彼女の大きな尻の下にはイエローの顔面があった。床に仰向けで倒れた男の顔面にティファが座っている。それは詩織とエイファも同じだった。

「レッドさんの魔力は上質ですからね」

「パパも味はまずいですが魔力量としては上位に入ると思います」

 詩織はレッドの顔面に。

 エイファは旧魔王の顔面に。

 それぞれ腰かけて少女たちは談笑しているのだ。即席の人間顔面椅子に座り、巨大で美しい少女たちが会話を楽しんでいる。

「どんどんオスはマゾ家畜にしていこう」

 詩織が言った

「ほかの世界の人たちも、オスは全員マゾにして魔力を生産させる家畜にしようね。全世界の女で男を支配しよう。こんな戦いばかりしてるような劣った奴らは家畜にして使ってやるのが一番だからね」

 詩織の辛辣な言葉に、少女たちが「は~い」と元気よく返事をしている。

 そんな幼い少女たちの巨尻の下では、男たちが顔面を座布団にされたままだった。搾りとられ、老人みたいに骨と皮だけになってしまった男たちが、生命力に満ち溢れた少女たちの巨尻に潰されていく。けれどそんな絶望の中にあっても、レッドだけは希望を捨てていなかった。

(俺たちじゃ勝てない・・・・・・だけど・・・・・・)

 レッドが思い浮かべるのは先輩のことだ。

 世界最強戦隊で活躍する憧れの先輩。

 彼ならばきっと詩織たちに勝利してくれる。

 自分たちのような弱い戦隊ではなく、戦隊協会においても最強の先輩たちならば、必ずや詩織たちに勝利してくれるはずだった。

(い、今のうちに調子に乗っていればいいさ・・・・・・世界最強戦隊なら絶対に勝ってくれる・・・・・・)

 それだけが残された希望だった。

 詩織の巨尻によって顔面を潰され、人間椅子にされたレッドが祈る。

 世界最強戦隊が勝利する光景を妄想し、希望を忘れまいと必死のレッドの体が、魔力を生み出し、点滅していった。


つづく