詩織との戦いから数日が過ぎていた。

 その間、レッドが夜の見回りをすることはなかった。魔力がほとんどなくなっており、詩織だけでなく、魔王軍の残党と出くわしても危険だったからだ。代わりにしていたことといえば、自分のスマフォを眺めることだけ。スマフォを眺めて、通知が来るのをそわそわしながら待ち続ける。そして、ピコンッという音に反応してすぐにアプリをひらくのだった。

「う」

 声が漏れる。

 グループチャットに新たな写真が投稿されていた。その写真を食い入るように見つめてしまう。

「で、でけええ」

 おっぱい。

 スマフォの画面には、アップで撮影された詩織の爆乳がうつっている。

 ブラジャーも装着せず、手ブラの状態で撮影された写真の破壊力はすさまじかった。レッドの股間がすぐに勃起し、そして記憶がよみがえってしまう。

(このおっぱいに完敗したんだ。手も足も出ずにトロトロにされて、乳首までいじられた・・・・・)

 思い出すだけで体がビクンと痙攣した。

 それと同時に体の底から魔力が生まれてくるのを感じた。ここ最近はこの繰り返しだ。詩織から写真が送られてきて、それを見ては勃起し、魔力が体の底からわきあがってくる。あれだけ搾りとられた魔力が少しづつ回復している。それは、グリーン以外のほかのメンバーも同じだった。

「みんな、すぐに既読がつく」

 グループチャットで、詩織が投稿した写真には、戦隊の残りメンバーである3人分の既読がついていた。

 みんなコレを見ているのだ。

 そして、なぜか魔力を回復させてしまっている。詩織が語ったとおりになって、レッドは訳が分からないまま、スマフォを凝視する。そしてまたピコンッと音が鳴って、写真が送られてくる。それだけでさきほどの疑問が消えて、レッドが詩織のおっぱいに夢中になってしまった。その時、

「お兄ちゃん?」

 その声でビクンと震える。

 部屋の入り口で、妹の比奈が心配そうにレッドを見つめていた。

「なにしてるの、お兄ちゃん」

「い、いや、なんでもないよ」

「・・・・・もうそろそろ、ミーティングの時間なんだけど、ほかのみんなも集まらないの。お兄ちゃんから号令をかけてもらってもいいかな」

 病弱な妹に心配をかけている。

 さきほどまでおっぱいの写真に夢中になっていたことが罪悪感となって襲ってくる。けれどそんな罪悪感は、比奈の胸を見ただけで霧散した。

(大きい)

 あらためてそう思う。

 まだ初等部なのに、比奈のおっぱいはデカかった。露出のない洋服でも隠せない巨乳。妹の胸のふくらみから目が離せなくなってしまう。

「お兄ちゃん?」

 怪訝そうな声に反応してレッドが我にかえった。

「あ、ああ、わかったよ。準備があるから、先に行っておいてもらえるか?」

「・・・・・うん」

 比奈が去っていく。

 レッドは勃起した一物をなんとか静めようと必死だった。

 そんな彼をあざ笑うかのように、ピコンッと音がして詩織から写真が送られてくる。見ちゃダメなのに見てしまう。そしてまた勃起してしまうのだ。比奈のおっぱいまで脳裏に浮かんでしまい、勃起が収まるまでかなりの時間が必要になった。



 *



 戦隊基地のメインルームには回復した仲間たちの姿があった。

 少し非道な所もある一匹狼のブラック。

 知的で優しげな糸目を浮かべたブルー。

 人好きのする後輩キャラのイエロー。

 意識不明の重体が続くグリーン以外のメンバーが魔力を回復させた状態で勢揃いしていた。

「対策をねる必要がある」

 レッドが言った。

 対策―――それは詩織への対策に他ならなかった。

「でも、どうやって戦えばいいんッスか? あの子・・・・・・俺たちの魔力も吸収して、ますます強くなってるッス」

 イエローが言う。

 その言葉に戦隊メンバーたちがうなだれてしまった。

「よろしいですか?」

 優しそうな笑顔を浮かべながらブルーが声をあげた。

 音大で声楽をやっているだけあって、その声には人を安心させる力があった。

「これまで、我々は彼女に各個撃破されてきました。なので、策としては単独行動は控えたほうがいいかと」

「全員で戦えば、勝機はある、か」

「ええ。それしかないでしょう」

 レッドは押し黙った。

 ちらりと、ブラックのほうを向く。

「ブラック、それでもいいか?」

 独断専行しかしてこなかったブラックに問いかける。

 集団行動を好まず常に一人で戦ってきた一匹狼。それが許されてきたのは確かな実力があるからだった。そんな冷酷無比な戦闘マシーンの回答をほかの戦隊メンバーも固唾をのんで見守っていた。

「・・・・・仕方ないだろう」

 影のある男がつぶやく。

「あいつを倒すまでの話しだ。それまで単独行動は控えよう」

「決まりだな」

 方向性が決まった。

 あとは実行あるのみだ。

 夜の町を4人の戦隊メンバーが連なって歩いて行く。

 この4人ならば勝てる。これまでは一人づつ戦って負けてきたが、戦隊メンバー全員で戦えば勝利は確実だった。そんなふうに考えていたレッドたちは、すぐに地獄に叩き落とされることになる。



 *



「は~い、おっぱいに完全敗北で~す」

 嬉しそうに詩織が言った。

 言葉どおり。制服姿の少女の足下には、4人の男たちがアヒアヒ言いながら倒れてしまっていた。

(こ、こんなはずじゃ)

 レッドが焦りながら思う。

 既にスーツ姿に変身して臨戦対戦はばっちりだったはずだ。油断もなかった。深夜の町をパトロールしていたところ路地裏に彼女が現れて、すぐに戦いが始まった。4人全員で一人の少女に攻撃をしかけたのだ。それなのに、

「ふふっ、はい」

 ぽろんッ!

「「「「ひいいいいいいい」」」」

 制服のシャツがはずれ、おっぱいが現れる。

 ブラジャー姿になった敵のおっぱいは明らかに大きくなっていて、その視覚情報だけでレッドたちの脚が止まってしまった。

「こちらからも攻撃しますね?」

 詩織が宣告する。

 始まったのは、おふざけみたいな攻撃だった。

 おっぱいを凝視したまま茫然自失としている男たちの体に、ぐんにゃりとおっぱいを押しつける。ただそれだけ。殴ったり蹴ったりなんてせずに、少女が自慢の爆乳を男の体に押しつけるだけで勝負は終わってしまった。

「あひいいんんんッ!」

 ガクガクガクッ!

 男たちは例外なく脱力してガクガクと痙攣を始めた。おっぱいの柔らかさの前に腰が抜け、すべての戦意が砕け散ってしまう。一人残らず膝から崩れた男たちが、低身長少女を見上げて、アヘ顔を浮かべていた。

(こ、こんなはずじゃなかったのに)

 レッドが呆然としながら思う。

 体にまったく力が入らなかった。おっぱいを見せつけられ、おっぱいを押しつけられただけで体が屈服してしまった。

「ううううッ!」

 さらに周囲を見渡してみれば、アヘ顔を浮かべて、うめき声をあげる仲間たちがいた。

 爽やかな音大生も、人なつっこい後輩も、そして孤高の影のある男も、少女のおっぱいを見上げて凝視していた。フェイスガード越しでも分かるとろけきった顔。おっぱいに完全敗北してしまっている。それが分かった。

「フェイスガードが邪魔ですね。少し吸収します」

 そう言って詩織がレッドの頭部をがしっと掴んだ。

 なにをされるか分かったレッドが逃げようとするのだが、目の前に迫った爆乳の光景で身がすくんでしまった。肉食動物を前にした草食動物のように体が動かなくなってしまったレッドの視界に、大迫力の爆乳が迫り、捕食された。

「はい、ぎゅううううッ!」

「むうううううッ!」

 パフパフ。

 Lカップおっぱいの柔らかな谷間に頭部全体を挟み込まれてしまう。レッドの後頭部にまわされた詩織の両手が、情け容赦なくレッドの顔面を乳肉地獄に押し込んでいた。レッドの体がビクンビクンと痙攣していく。

(ぎ、ぎもじいいいッ!)

 脳裏にはおっぱいの感触だけ。

 柔らかくて、張りのあるおっぱい様に悶絶狂い、防御力がゼロになってしまう。匂いを嗅ぐとフェロモンで頭を壊される。すぐにレッドの体がダランと脱力して、ぴくぴく痙攣するだけになった。

「吸収開始です」

 キュインンンッ!

 レッドの体が赤く明滅して、その光が詩織のおっぱいに吸収されていく。魔力が奪われているのだ。それなのにレッドは性的快感でピクピク跳ねるだけ。泰然自若としてニッコリと笑う少女が、おっぱいだけで成人男性を圧倒していく。

「はい、フェイスガードが維持できなくなるくらいに手加減して、魔力を吸収しました」

 詩織がレッドの顔面だけをおっぱいから解放してやる。

 現れたのは素肌をさらしたレッドの顔面だった。はやくも白目をむいて、半開きになった口から涎を垂らしながら悶える男がそこにはいた。

「いい顔になりましたね、レッドさん」

「あひん・・・ひい・・・・」

「ふふっ、ほかの方たちにも同じことをしますね。見ていてください」

 詩織が繰り返していく。

 少女の大迫力の爆乳を見つめただけで屈服し、無条件降伏してしまった男たちを一人づつ血祭りにあげていく。

 男たちの顔面をおっぱいで捕食し、フェイスガードがたもてなくなる程度に魔力を吸収してしまう。上品なブルーも、愛くるしいイエローも、そして硬派なブラックまでもが、詩織のLカップおっぱいの餌食になって、アヘ顔をさらしてしまった。

「ふふっ、順調に魔力もたまっていますね」

 魔力を吸収した詩織がニッコリと笑いながら言う。

「仕上げをしましょう」

「ひい・・・あひ・・・・・」

「みなさんには、もっと魔力をためてもらいますね」

「ひいい・・・ああん・・・」

「誰にしましょうか」

 詩織が「う~ん」と悩む。

 そして、人差し指で一人づつを指さしながら、「ど・れ・に・し・よ・う・か・な」と始めてしまう。「天の神様の言うとおり」、とつぶやき終わった時、詩織に指をさされていたのはブルーだった。

「うん。それではブルーさんを調教しますね」

 死刑宣告。

 絶望の表情を浮かべたブルーをてきぱきと調理してしまう。

 逃げ出そうとしても、おっぱいで腰を抜かした男の抵抗なんて動きがのろいカメみたいなものだった。あっという間にブルーの背後にまわった詩織が、ぎゅううっと抱きしめてアヘ顔男を羽交い締めにしてしまう。そのまま地面に座り、スカートから伸びる自分の脚をブルーの脚に絡ませて逃げられないようにする。そして、詩織の両手がブルーの胸板に伸ばされた。

「乳首責め、いきます♪」

 カリカリカリッ!

「いっぎいいいいいッ!」

 少女の人差し指がブルーの乳首をひっかく。

 たったそれだけでブルーの体は面白いように痙攣した。背後から少女の体によって磔にされた男が、乳首をカリカリされただけで断末魔の悲鳴をあげていた。

「きもちいでしょ?」

「あひいいいいッ!」

「レッドさんには言いましたけど、わたし得意なんです。反抗期になった弟のこともこれで骨抜きにしてあげました。おっぱいを押しつけながらやると効果的で、すぐに防御力がゼロになってしまうんですよね。その状態で乳首をいじめると、すごい快感を与えることができるんです」

 カリカリカリッ!

 詩織の指が躍動する。

 効果は抜群で、ブルーがトロトロに溶けたアヘ顔を浮かべて完全に脱力してしまった。その口から、「あ、あ、あ」と甘い声が漏れ始める。

「いい鳴き声です」

「あ、あ、あ、あ」

「確かブルーさんは音大に通ってるんでしたね。だから喘ぎ声も、いい音で心地良いです」

 にっこりと笑った少女が残酷に、

「それでは、マゾ楽器にしてあげますね」

 カリカリカリッ!

「あひいんんッ!」

 詩織の指使いが変わる。

 これまで手加減してきたのだ。彼女の指がブルーの乳首の奥底に眠っていた快感ポイントを重点的に責めていくのが分かる。その快感の衝撃がすさまじいことは、ブルーの体が電気ショックでもくらったみたいに痙攣しているのを見れば分かった。アヘ顔を浮かべ、ついには白目になった男が、乳首の快感で死にそうになっている。

「こうして、まずは本気乳首責めで自我を破壊します」

「あひいいいいいッ!」

「こうすれば効率的にマゾ楽器にできるんですよね。弟で実証済みなので、間違いないです。自分が人間であることすら忘れさせて、頭をバグらせちゃう。それが効率的に男性をマゾ楽器にするコツなんです」

 詩織がレッドたちに説明していく。

 その間もブルーに対する本気の乳首責めは継続。レッドたちの前で、仲間の一人が乳首責めで壊されていく。

「うん、ころあいですね」

 詩織が言った。

「演奏開始です♪」

 カリッ、カリッ、カリッ。

 一定のリズムを刻んで詩織の人差し指が動き出した。ただ人差し指を動かして、乳首を一定間隔でカリカリしていくだけ。単調な動き。けれど効果は絶大だった。

「アッ♡ アッ♡ アッ♡」

 ブルーの口から甘い声が漏れ始めた。

 声は詩織の指使いにあわせてあがった。人差し指が乳首をひっかくと喘ぎ声があがるのだ。それはまさしく演奏だった。

「はい、マゾ楽器の完成です」

「アッ♡ アッ♡ アッ♡」

「とってもいい音色ですね」

「アッ♡ アッ♡ アッ♡」

「ね、みなさんもそう思いませんか?」

 にっこりと笑って詩織が問いかけてくる。

 彼女の視線を受けたレッドたちは、「う」と呻くしかなかった。

(ブルーの奴、あんなに気持ちよさそうにして)

 ブルーの顔に苦痛の表情は一切浮かんでいなかった。

 さきほどまでの苦痛に悶えた顔ではなく、トロトロに溶けた幸せそうな顔。そんな無防備な表情をさらして、詩織の指が動くたびに甘く「アッ♡」と喘ぐ。その様子を見ていると、レッドの股間がイヤでも反応してしまった。

(な、なんで)

 目の前で仲間が犯されている。

 背後から抱きしめられ、羽交い締めにされて、乳首をカリカリされてしまっているのだ。助けないといけない。それなのに動けない。ブルーが犯され、甘い喘ぎ声を聞いているだけで、頭が麻痺してしまった。しかも、

(ぼ、勃起しちゃダメなのに)

 勃起している。

 仲間が犯されているのを見て興奮しているのだ。それと同時に魔力がわきあがってきていた。さきほど詩織に吸収された魔力がすぐに回復している。怒りをパワーに変えたわけではないことはレッドが一番分かっていた。いったい、自分の体はどうなってしまったのだろうか。

「ふふっ、不思議そうな顔してますね、レッドさん」

 詩織がブルーの演奏を続けながら話しかけてくる。

「魔力、回復したんでしょ?」

「くっ」

「不思議ですよね。目の前で仲間が犯されてアンアン喘いでマゾ楽器にされているのを見て、なぜか興奮しちゃう。そして魔力も回復してしまう。それがなぜなのか分からなくて混乱しているんですよね」

 教えてあげます。

 詩織が笑って、

「男性は、マゾ快感で悶えると、魔力を生み出すんです」

「は?」

「被虐の快感で頭をバカにしてしまったら魔力が生まれるんですよ。こんなふうに」

 カリッ、カリッ、カリッ。

「アンッ♡ アンッ♡ アンッ♡」

 乳首責めがさらに増してマゾ楽器が悶える。

 さらに甲高く音程を調整されて演奏されている。

 そのブルーの体が青く明滅していた。それは魔力が生まれている証拠に他ならなかった。

「ね? ブルーさんったら、乳首責めでマゾ楽器にされて、マゾの快感に浸って、魔力を生み出してしまっています」

「そ、そんな」

「大発見ですよね。魔王さんたちもこのことには気づいていないみたいなんです。この前、レッドさんと戦った時に、偶然分かったことなんですよ、これ」

 カリカリカリッ!

 乳首責めが継続される。ブルーがさらに喘ぐ。それを見せつけられて、確かに自分の体の奥底から魔力がみなぎってくるのが分かった。自分の体が赤く明滅して、魔力が溜まっていく。

「う、嘘だ」

 信じられない。

 信じたくない。レッドが絶望の表情を浮かべて詩織を見つめる。しかし、その絶望すら被虐の快感になってしまう。レッドの魔力がさらに増大し、それを見た詩織が「くすり」と笑った。

「レッドさんだけじゃありませんよ? ほら、見てください。ほかのお仲間さんたちを」

 詩織の言葉に反応してレッドが後ろを振り向く。

 そこには、同じくアヘ顔を浮かべて、それぞれの色の光で明滅するブラックとイエローの姿があった。

「うううううッ!」

「しゅ、しゅごいいいッ!」

 もはや二人に理性はなかった。

 目の前の詩織と、乳首責めされて悶えるブルーに意識のすべてを持っていかれている。自分が責められているわけではないのに、被虐の快感で悶えて、魔力を生み出してしまっているのだ。そこに、戦隊員としてのブライドなんてどこにもなかった。

「見ているだけでマゾの快感で悶えちゃう」

「あひいッ!」

「マゾで気持ちよくなって魔力をつくりだす」

「ひいいッ!」

「便利でいいですね、レッドさんたちって」

 くすりと笑った。

 詩織の顔には嗜虐的な笑みが浮かんでいた。

 明らかにレッドたちを下に見て、バカにした笑顔だ。それは一瞬のうちになくなり、いつもの優しそうな笑顔になるのだが、彼女の本能の中にあるサディストの片鱗に触れたレッドたちは、さらにマゾ性癖を刺激されて悶えてしまうのだった。

「ふふっ、ブルーさんったら、魔力が完全に回復しそうですね」

 マゾ楽器を演奏しながら詩織が言う。

「あれだけ吸収したのに、もう魔力がいっぱいに充填されました」

「アッ♡ アッ♡ アッ♡」

「まあ無駄なんですけどね」

 詩織が笑った。

 そして喰らった。

 肉食動物が獲物に襲いかかる俊敏さで、巨大乳房がブルーの顔面を捕食してしまった。

「むうううううううッ!」

 おっぱいの谷間に生き埋めになったブルーが呻いている。自分の頭部よりもデカい乳房二つに挟まれてしまい、ブルーに生存の道が残されていないことは明らかだった。

「吸収開始♪」

 キュイイインンンッ!

 すぐに詩織がブルーから魔力を吸収し始める。

 明滅した青色の光が、勢いよく詩織のおっぱいに吸収され、奪われていく。

「ふふっ、せっかく魔力を溜めたのに、残念でしたね」

 ぐりぐりと乱暴にブルーの顔面をおっぱいで潰しながら詩織が言う。

「魔力を溜めて、わたしと戦おうとしていたのに、逆に奪われてしまいました。かわいそう。ブルーさんも、レッドさんたちも、みんな、わたしに魔力を提供するためだけに生きてるみたいなものですね」

 くすりと詩織が笑った。

 その顔には妖艶な笑顔が浮かんでいた。

「はい、吸収完了です」

 詩織がブルーの顔面をおっぱいから引き抜いてやった。

 現れたのは土色に変色した老人のような男だ。戦隊スーツも維持できず、全裸になった男の体も、同じように萎んでしまっていた。

「ふふっ、少し搾りとり過ぎてしまったみたいですね。魔力以外の生命力も、おっぱいで吸収してしまいました」

 詩織がブルーの髪の毛をわし掴みにして持ち上げ、鑑賞しながら言う。

 そんな乱暴なことをされているのに、亡骸みたいになったブルーはアヒアヒと悶えるだけだった。

「まあ、マゾ性癖を刺激すれば、すぐに回復するんですけどね」

 にっこり笑って、少女がブルーの髪の毛を放す。

 自分で立つこともできなかった男が地面に仰向けで倒れて、ビクンビクンと痙攣していく。そんな男の顔面めがけて、詩織のローファーの靴底が炸裂した。

「むううううううッ!」

 踏み潰されてブルーが悶える。

 年端もいかない少女の、制服のスカートから伸びるムチムチした太ももに筋肉の筋が浮かび上がっている。そんな魅惑的な脚で踏み潰され、屈辱と苦痛を感じるはずの男の体が、青く明滅し始めた。

「はい、マゾ性癖を刺激されて魔力をつくりだしましたね」

 詩織がぐりぐりとブルーの顔面を踏み潰しながら言う。

「これならすぐに魔力を回復できそうです」

「むううううううッ!」

「まあ、回復してもすぐにおっぱいで奪ってしまうんですけど」

 くすりと、バカにしたように詩織が笑って、

「男性のマゾ性癖を刺激するのなんて簡単ですね。弟をかわいがっていた頃から思っていたんですが、男性ってみなさん心の奥底ではマゾなんじゃないですか? いじめられて悦ぶ変態。ふふっ、正直幻滅ですね」

 笑った少女が踏み潰しを継続しながら、チラリと視線を横にやった。

 そこには、仲間が踏み潰されるのを見ながら、一歩も動けず、ハアハアと息を荒くしているレッドたちがいた。例外なく全員、その体をそれぞれのカラーで光らせている。

「ほ~ら、簡単」

「あひんんッ!」

「仲間がいじめられているのを見て、マゾの快感で興奮して、魔力をつくってしまっていますね」

「ひいいいッ!」

「ふふっ、順番にこのおっぱいで吸収してあげますからね。その間、ほかの仲間がボコられていくのを見て、勝手に興奮していてください」

 踏み潰しが終わる。

 少女が近づいてくる。

 そして、レッドの目の前でぴたっと止まった。

「まずはあなたですよ、レッドさん」

「ひいいいいいッ!」

「ブルーさんと同じようにマゾ楽器にして、演奏してから、奪ってあげます」

「ああああああッ!」

 レッドが悶える。

 逃げることもできない。目の前の威圧的なおっぱい様に対する恐怖と興奮で一歩も動けない。少女の爆乳から目が離せなくなってしまっている。そんな情けない自分を自覚してマゾイキし、レッドの体がさらに明滅していく。

(こ、こんな女に・・・・俺たちは・・・・・)

 絶望の表情を浮かべてレッドが悶える。

 屈辱感でマゾ性癖が刺激され、何もされていないのに魔力を生み出していく。

 それを見て、詩織が「ふっ」と鼻で笑った。

「本当にマゾって便利ですね」

「あひいいいいッ!」

「これなら、マゾ楽器にしなくても十分そうです」

「ひゃ、ひゃめでええッ!」

「はい、ぱっくん」

 抵抗すらできなかった。

 レッドの頭部が詩織のLカップおっぱいに捕食されてしまう。さらに大きくなった乳房で完全に生き埋めとなり、首無し死体ができあがった。

「むうううううううッ!」

 レッドの体がビクンビクンと跳ねる。

 顔面に伝わってくるおっぱいの柔らかさでレッドが悶絶する。感触だけでもダメなのに息を吸えば凶悪フェロモンで自由意志も奪われてしまう。怒りも抵抗心もドロドロに溶かされたレッドが、完全脱力してされるがままになってしまった。

「吸収開始♪」

 にっこりと笑った詩織が捕食していく。

 レッドの体が赤く明滅し、それがおっぱいに吸収されていく。すべて搾りとられるまで、そう長くはかからなかった。



 *



 あっという間だった。

 詩織はあっという間に、戦隊全員の魔力を吸収してしまった。

「ふふっ、あっけなかったですね」

 少女が仁王立ちしながら怪しく笑う。

 その足下には、萎んでしまった男たちが、ピクピクと痙攣するだけになっていた。レッドも、ブルーも、ブラックも、イエローも。全員例外なく、魔力を完全に搾りとられてしまったのだ。

(こ、こんなはずじゃ)

 レッドが地面に倒れ少女を見上げながら思う。

 こんなはずじゃなかった。戦隊全員で挑めば必ず勝てるはずだった。こんな年下のアルバイトごときに負ける自分たちではない。魔王軍を壊滅一歩手前まで追い込んだ俺たち全員の力をあわせれば、必ずこいつに勝てる。そう思っていたのに、

(手も足も出なかった)

 少女のおっぱいに完敗してしまった。

 今もはだけた制服からボロンとこぼれてしまっている爆乳。その肌色の暴力を視界におさめただけでビクンと体が痙攣してしまう。そして、体の底から魔力が生まれ、体が明滅するのを感じた。

(なんで・・・・・なんでこんなことで魔力が・・・・・)

 ほかのブラックたちも同じだ。

 ピクピク震えながら少女を見上げ、魔力をつくりだしてしまっている。少女が語ったこと―――マゾ性癖を刺激されると魔力を生み出す。それが真実であることが分からされてしまう。

「ふふっ、みなさんまた魔力をつくり出しましたね」

 男たちの魔力製造工程を見下ろしながら詩織が続けた。

「実は魔王さんと交渉して、みなさんから吸収した魔力に応じて報酬を受け取れるようになったんです。1立方メートルあたり100円なんですが、これがけっこうな報酬になるんですよ」

 100円。

 俺たちの魔力の価値が100円。そんなはした金のために魔力を奪われている。缶ジュースも購入できない価格で自分たちの魔力が取引されているのだ。まさにとるに足らない存在。自分たちの価値が貶められている。そう思うと屈辱でレッドたちの体がビクンと震えた。そして―――さらに魔力を作り出してしまう。

「ふふっ、本当に便利」

 詩織が妖艶に笑った。

「証拠写真も残しておきますね。みなさんのことをここまで追い込んだという証拠を撮影します」

 にっこり笑った姿は普通のJKだ。

 友達と談笑しながら記念撮影をしようとしている。しかし普通のJKとは違い、彼女はミイラのように萎んだ男たちの髪の毛を片手でつかんで持ち上げ、頬と頬をくっつけて自撮りを始めてしまった。

「はい、チーズ」

 カシャッ!

 まずブルーが撮影される。

 ブラックも、イエローも。仲間たちが荷物みたいに扱われて、抵抗もできずに持ち上げられ、自撮り写真の餌食になっていく。にっこりした笑顔の詩織と、魔力を吸収されシワシワになって苦悶する男たちの顔が写真となって固定化されていく。

「最後はレッドさんですね」

 そして仕上げが始まる。

 詩織が同じようにレッドの髪の毛を片手でつかんで、持ち上げる。ひょいっと、軽い荷物を扱うように。体重すら魔力となって吸収されてしまった男を扱うのは簡単らしい。詩織がニンマリ笑った。

「軽~い」

「あひんッ!」

「レッドさんも吸収されちゃいましたね」

「ひいいいッ! ひいいいッ!」

「魔王さんたちが恐れていた最強の戦士も、わたしのおっぱいにかかればこのザマ。魔力をせんぶおっぱいで吸収されて、軽い荷物みたいに扱われてしまっています」

 詩織がレッドを真正面から鑑賞しながら言う。

 じいいいっと穴があくほど凝視されて、耐えきれずレッドが視線をそらした。

 宙づり状態のままうなだれてしまった男と、

 そんな負け犬を勝ち誇った笑顔で鑑賞したままの少女。

 どちらが【上】で、どちらが【下】なのか―――一目瞭然の光景だった。

「写真撮りますね」

 詩織が自分の顔をレッドの顔に近づけ、スマフォを持った手を伸ばしながら言う。

 さらには、

「笑ってください、レッドさん」

「ひいいッ!」

「ほら、記念撮影なんだから笑わないと。一緒に笑顔で撮影しましょうよ」

 にっこりと笑顔の少女が、レッドの髪の毛を片手で掴んで持ち上げながら、お前の感情を差し出せと命令する。

 怯え狂った男が、体を強く明滅させていった。

「ふふっ」

 確信した詩織が、一言、

「笑え」

「ひいいいいッ!」

「わ・ら・え」

「あひいいいッ!」

 耐えられるわけがなかった。

 絶望と恐怖の中でレッドが笑った。

 それはみすぼらしい笑顔だった。シワシワになった顔で、眉は負け犬のように八の字になっているのに、口角だけがあがってなんとか笑顔の表情になっている。自分の精神状態と違う表情を強制される。それだけでレッドの体がさらに光った。

「はい、チーズ」

 カシャッ!

 そして撮影される。

 無常なシャッター音が響く。

 詩織がスマフォを確認して、にっこりと笑った。

「うん、よく撮れてますね」

「あひん・・・ひいい・・・」

「ほらよく見てください。レッドさんったら、すごく情けない表情で写ってますよ」

 詩織がレッドの眼前にスマフォの画面を向ける。

 そこには怯えながら無理矢理笑う男の姿があった。そんな自分の姿を客観的に見せられて、今度こそレッドが深いマゾイキで痙攣してしまった。

「あひいんんんッ!」

 ビクビクッ!

 ビクンビクンッ!

 体が明滅して、大量の魔力が生まれていく。快感でレッドの脳がトぶ。そんな様子を間近で詩織から鑑賞され、さらにレッドがマゾイキしていった。

「ふふっ、優秀ですね」

「ひいいいいッ!」

「今日はこの辺にしておいてあげます。あまり吸収し過ぎて壊れてしまっても困りますからね」

 ドサッ!

 詩織が解放し、レッドの体が地面に転がった。ぴくぴくと痙攣しながら魔力を生み出し続ける男。そんな男の顔面に、詩織のローファーの靴底が炸裂した。

「ふふっ、グループチャットにみなさんの写真を送りますね」

 レッドを踏み潰しながら詩織がスマフォを操作していく。すぐに、レッドたちの端末からピコンピコンと音が鳴り出した。

「写真を見て、マゾイキして、いっぱい魔力を溜めておいてください」

「あひい・・・・ひいん・・・・・」

「次会ったとき、またこのおっぱいで搾りとってあげますから、ね?」

 ぐりぐりッ!

 最後に詩織がレッドの顔面を力強く踏み潰してから解放してやる。

 さんざんに調教された男はもはや虚ろな表情を浮かべて、「うううッ」と呻くだけだった。そんな姿がツボだったのか、詩織がごく自然とスマフォを向け、カシャッと撮影してしまう。そしてまたしてもレッドたちの端末からピコンという受信音が響くのだった。

「今日も魔王さんには、最後にみなさんが決死の力を振り絞って逃走したと報告しておきますね」

 にっこりと笑って、

「やっぱり、このアルバイトは時給がいいですし、成功報酬も貰えるようになったので長く続けたいんです。これからもよろしくお願いしますね、みなさん」

 深々とお辞儀をする。

 そんな礼儀正しい少女の足下では、男たちがアヒアヒ悶えながら倒れていた。

「それでは失礼します」

 詩織が去っていく。

 その足取りは軽やかだった。

 それとは反対に地面に倒れた男たちはうなだれて一歩も動こうとしなかった。遊ばれ、魔力を奪われ、そしてアルバイトの継続というふざけた目的のために見逃された。そんな屈辱で傷つき、戦意を奮い立たせようと無駄な努力をしている。けれど、そんな男たちの体は、いつまでも明滅したままだった。


つづく