「師匠、ほら、もっと強く揉んでください」
ニコニコしながら明日香が言った。
いつもの道場。
彼女は今、気絶した師範の背中に座って、足を投げ出していた。その足先には、膝まづいた英雄の姿があった。
「ハアハアハア」
息を荒くした英雄が明日香の太ももを揉んでいく。
それはあの夜以来日課になったことだった。
彼女の逞しい足にご奉仕する。道場の練習中であっても変わらない。明日香は英雄を締め落とす前に、たっぷりとその足をマッサージさせるようになっていた。
「うん、だいぶうまくなってきましたね、師匠」
笑いながら、足下で膝まづく英雄のマッサージを評価する。支配者。それは支配者の態度だった。
「教えたことをちゃんとできてます。偉いですね」
「あ、ありがとうございます」
「ふふっ、よしよし」
明日香が体をかがめた。
そのまま英雄の頭を撫で始める。
ペットが披露できた芸をほめるように。年下の少女が師匠と慕う年上の男の頭を撫でる。
「ふ、ふああああ」
しかし、屈辱を感じるはずの男は、トロンとした瞳を浮かべるだけだった。もはや完全に支配されている。英雄は明日香に頭を撫でられ、とろとろに溶けた顔で彼女を見上げていた。
「じゃあ、やりましょうか」
マッサージを受けた明日香が元気よく言う。
「師匠のおかげで、他のみなさんを締め落とした疲れはなくなりました。これで心おきなく、師匠のことを締め落とせます」
道場中には、男たちの屍が打ち捨てられていた。
明日香がイスにしている師範だけではなく、何十人もの男たちが明日香に締め落とされている。
「は~い、まずは三角締めで~す」
元気よく言って、あっという間に技をきめる。
仰向けに寝ころんだ明日香の太ももの間に、すっぽりと埋まった英雄の頭部。その圧倒的な足に挟み込まれてしまえば、もはや逃げ道なんて一つもなかった。
「ぐげええええええッ!」
苦悶。
天国から地獄。
頸動脈はいっさい潰されず、気道だけをねらい打ちにした残酷な締め方。明日香にかかれば、三角締めでも気道だけを締めることが可能だった
「くるしそうですね、師匠」
他人事のように語り、ニコニコ笑う少女。
両手を頭の後ろにやって、自分の太ももの間で締められ死にそうになっている男を楽しそうに鑑賞している。
「師匠の苦しそうな顔、とっても興奮します」
ふふっ。
笑った彼女がまたしても撫で始める。
締め落としている男の頭を。慈愛をこめて、ゆっくりと撫でてやる。
「ぐげええええッ!」
しかし、さきほどトロンとした表情を浮かべていた男は断末魔の悲鳴をあげるだけだった。
それほどまでに、明日香の締めつけは規格外すぎた。そのムチムチの筋肉質な太もも。英雄の胴体ほどに発達した二匹の大蛇が、矮小な男の頭部を喰らい尽くしている。男に許されたのは、ただただ断末魔の悲鳴をあげ、捕食者を楽しませることだけだった。
「は~い、撮影タイムで~す」
ニコニコしながらスマフォを取り出す。
そして、容赦なく太ももの間で潰されている男を撮影し始めた。
「ん~、いいですね師匠の顔~。まさしく負け犬の顔って感じでとっても興奮します」
片手でスマフォをかまえ、英雄を撮影。
もう片方の手で英雄の頭を撫でる。
三角締めで潰されている男は、年下の少女に頭を撫でられながら、涙と鼻水と涎でぐしゃぐしゃになった顔をさらして、その一部始終を撮影されていった。
(ぐ、ぐるじいいい)
英雄は悶えていた。
明日香の太もも。
畏怖と羨望の対象。
そこに顔を埋もれさせ、挟まれ、潰される。
感触を楽しむヒマもない。
その凶悪な筋肉が、今も自分の気道と頭蓋骨を潰し、軋ませている。死ぬ。このままでは死んでしまう。それでもどうにもならなかった。
(たしゅけてえええええッ!)
声も明日香の足によって奪われている英雄ができることは、媚びた顔を明日香に向けることだけだった。
くうんくうんと負け犬のように泣きそうになっている顔を明日香に差し出して、許しを乞う。
たすけてください。
ゆるしてください。
殺さないで。
必死の思いをこめて、こびへつらった顔面をさらして命乞いする。それを容赦なくスマフォで撮影されていくのだ。
「あはっ、さいこうですよ師匠」
明日香がさらに嗜虐性を発揮する。
「じゃあ、少しだけ太ももの力を緩めてあげます。声がでるくらいに。ふふっ、どうするべきか、師匠なら分かりますよね」
少女が残酷さを発揮する。
ゆっくりと、凶悪な太ももの力が緩む。声が出せるようになった瞬間、英雄が絶叫した。
「ゆるじでくだじゃいいいいいッ!」
泣き叫ぶ。
唾を飛ばして、必死のお願い。
「おねがいじますうううッ! もう締めつけないでえええ……あしゅかしゃまの足、無理でしゅうううううッ!」
必死に。
心をこめて。
かつて妹弟子だった教え子に命乞いを続ける。
「死んじゃいましゅううう。たしゅけてえええ……殺さないでくださいいいい……もう太ももひゃだああああッ!」
これ以上ない情けない様子。
それをじいっと見つめ、スマフォで撮影していた少女が、頬を赤らめていく。
「あ~、さいこ~」
ニヤニヤ。
寝ころがって太ももの間に男を挟み込んで拘束した少女が、興奮して言う。
「ヤバいくらいにきもちいです。師匠、才能ありますよ。命乞いの才能がやばいです。明日香、すっごい興奮しました」
「たじゅげてええ……ゆるじでえええ」
「ほら、もっと命乞いですよ。がんばって明日香を満足させてください。そうでないと」
「あ、あ、あ、あ、し、締めないで……力、あ、あ、あ、あ」
「ちょっとづつ締まりますよ?」
「ひゃだああああああッ! ゆるじでええええ……あしゅかさま、あしゅかさま……あ、あ、あ、あ、し、しめ、あ、あ、締めないで……」
「はい、時間切れ」
ぎゅうううううううッ!
「ぐげええええええッ!」
またしても締めつけが開始。
命乞いのための言葉が奪われる。
英雄の頭部ががっちりと締めつけられ、凶悪な太ももの間に埋もれた。英雄の頬がひょっとこみたいに押し潰され、明日香の爆笑を誘った。
「このまま一度締め落としますね?」
やめて。
その言葉も奪われる。
たすけて。
その言葉を発する自由はない。
殺さないで。
懇願しても明日香が聞き入れてくれるわけがなかった。
「墜ちろ」
ぎゅううううううッ!
びくんびくんッ!
白目をむき、涙と鼻水でぐじょぐじょになった顔がさらに汚れ、英雄はそのまま気絶した。
女の子の太ももによって意識を刈り取られてしまったのだ。男の体が、びくんびくんと痙攣し、その一部始終を撮影されていった。
「いい動画とれました。あとでコレは使わせてもらいますね」
気絶した英雄の頭を撫でながら明日香が言う。
気絶しても許されない英雄は、明日香の太ももの中に埋もれたまま、いつまでも痙攣を続けた。
「それじゃあ、続けますね」
ニコニコ。
残酷な少女がさらなる締めつけを続けていく。
「今日もいっぱい締め落としてあげます♪」
●●●
毎日のように絞められる。
何度も何度も締め落とされた。
ぼおっとした意識で自分が誰かも分からなくなる。最後に明日香の大きく開かれた口を見た。
「いただきま~す」
ディープキス。
貪り喰らわれる。
立ち上がったまま抱きしめられ、宙づりにされる。ベアハッグで潰されて、口を奪われる。彼女の舌が英雄の口の中で暴れ回っていく。
喉の奥まで届く長く肉厚な舌。
息もできなくなるほどの過激な舌使い。締め落とされて意識が朦朧となってしまっている英雄が抵抗できるわけもない。苦しさと快感で頭がバカになって狂っていく。
(あしゅかしゃま……あしゅかしゃま……)
白目をむいて悶える男。
英雄は、体をダランと弛緩させ、締め落としとディープキスの拷問で身も心も明日香に売り渡してしまっていた。
自分よりも年下の少女に。
妹弟子だった教え子に。
体格でも体力でも技術でも性技でも完全に敗北してしまったのだ。
どっびゅううううッ!
っびゅううううううッ!
ビュッビュウウウウウウッ!
悲鳴も漏らさず、英雄が射精した。
びくんびくんと体が痙攣し、それすら明日香に抱きしられて、奪われる。なにもかも目の前の少女に奪われ、支配される。
「ふふっ、敗北お射精、お疲れ様でした、師匠」
「あひん……ひいん……」
「悶えているところ悪いんですけど、また首も絞めますね」
ぎゅううううッ!
再び明日香の大きな両手が英雄の矮小な首をわしづかみにする。
1ミリだって隙間なく、すっぽりと少女の両手の間に包み込まれてしまった人体の急所。そこを容赦なく締め上げながら、明日香が英雄の体を持ち上げる。
「首絞め宙づりの開始ですよ、師匠」
「ぐげえええええッ!」
「師匠の足がパタパタ動きだしましたね。チビな体を宙づりにされて、なんとか足を地面につけようって必死です」
言葉どおりだった。
少女に首を絞められ持ち上げられて、宙づりになった英雄は、地面を求めて滑稽なダンスを踊っている。しかし悲しいことに英雄の足は短すぎた。明日香の長くて太くて逞しい脚とは雲泥の差。男の小さくて貧弱な脚が、地面を求めてパタパタと暴れていく。
「ふふっ、チビが足をパタパタさせて暴れてる姿を見ると、とっても心が満たされます。チビすぎて足が地面に届かない。どんなに暴れても無駄。体の大きな女の子に宙づりにされて、絶対に願いは届かないって思い知らされながらも、地面を求めて足をパタパタさせてしまう情けない姿は、とっても明日香のツボです」
英雄の滑稽な抵抗を鑑賞しながら言う。
明らかな体格差。大きな体をした少女が、小さな男の体を持ち上げ、宙づりにしてしまっている。
「明日香、師匠のえづく姿も見たいな~」
ニコニコと笑いながら、
「1日に1回は師匠のえづく姿を見ないと気がすみません。ということで、いきますね?」
待って。
その静止の言葉すら明日香の大きな手によって物理的に潰されている。絶望の視線を浮かべた英雄のことを「くすり」と笑い、明日香がその両手に力をこめた。
「ゴオボボオッ! おえええええッ!」
途端にえづき始める男。
パタパタさせていた足がさらに勢いよく暴れていく。首を絞められて宙づりにされている男が、勢いを増したチビ男ダンスを踊り続ける。
「ふふっ、かわいい」
ぎゅううううッ!
容赦のない締めつけが英雄の食道を塞いでしまう。
頸動脈は決して締めず、ただただ食道と気道だけを押し潰し、永遠と英雄をえづかせていった。
「師匠の顔、とっても興奮します」
「おええええッ! ぐぼおおおッ!」
「顔を真っ赤にさせて死にそうになってる。負け犬の顔で涙と涎で顔をグジャグジャにしながら苦しんでる姿、とってもかわいいです。師匠の胃の中身が逆流してくるのが手につたわってきます。それを明日香の両手が無理やりふさいで通せんぼしてるんです。あ~、きもち~」
ギュッ! ぎゅっ! ぎゅうっ!
「ぼごおおッ! オエッ! ガボオオッ!」
明日香がさらに遊び始める。
英雄の首を一定のリズムで潰す。
そのリズムにあわせて英雄がえづき、明日香を楽しませた。
ギュウッ! ゴギュッ! グジャッ!
「かぎゅうッ! グゲエッ! おえッ!」
ギュウッ! ぎゅっ! ゴジュウッ!
「ぐげえッ! おぼおっ! ヒギッ!」
ぎゅッ! ギュギュッ! ギュウッ!
「オボオッ! グエッ! かぎゅうッ!」
残酷な少女による首絞め宙づりが長時間続いていく。首締めのリズムにあわせて英雄が一定間隔でえづく。それは演奏だった。明日香が、首締めえづかせマゾ楽器を演奏していく。
「絶対に気絶はさせません」
ニンマリと笑って、
「師匠のことをできるだけ苦しめて、えづかせたいんです。もっともっと惨めに悶えてください」
「がぼおおお……カヒュ―――ッ!」
「ふふっ、ほんの少しだけ息ができる程度には手加減してあげますからね。師匠は意識をたもっていられるギリギリの酸素だけを肺に吸いこんで、ずっとずっと苦しみ続けるんです」
嗤っている。
自分よりも年上の、体の小さな男の首を絞めながら宙づりにして、一人の少女が性的に興奮しているのだ。
(無理……もう……無理……)
永い時間締めつけられ、えづかせられて、そんな様子を鑑賞される。
英雄の精神が崩壊していく。
体を暴れさせてどうにかこの地獄から逃れようとしてもまったくの無駄。次第にバタバタと暴れていた英雄の足が力をなくしていった。
「師匠、なにか言いたいことがあるんですか?」
明日香が問いかける。
英雄は必死に目で訴えることしかできない。
「言葉をしゃべれるくらいに緩めてあげます。言いたいことがあったら言ってください」
力が緩められる。
べこりと陥没していた英雄の首が元通りになって、そして、
「絞めでええええッ! 絞めでくださいいいいッ!」
滑稽に、英雄が絶叫した。
少女の大きな両手の中で、矮小な微生物が泣きわめいている。
「絞めでえええッ! もう苦しみたくないいいいいッ!」
「ありゃりゃ、完全に泣きが入ってしまいましたね」
「ひゃだあああッ! ぎゅってしてえええッ! 絞めでえええッ!」
「え~? 絞め殺されてもいいんですか~?」
「はひいいいいッ! 絞め殺してでええええッ! 首ぎゅっとして殺してええええッ!」
「アハハハッ! 今の師匠の顔、さいこ~ッ!」
「絞めでえええええッ! 絞めでくだじゃいいいいッ!」
泣き叫ぶ。
自分の首を絞めてくださいと。
いっそのこと殺してくださいと、命乞いよりも情けない宣言をして、小さな男が暴れていく。
「ふふっ」
そんな男のことを少女は淡々と鑑賞していくのだ。
ニンマリと笑った少女の瞳が、男の痴態を余さず鑑賞していく。ひとしきり楽しんだ後、明日香の両手にぎゅううっと力がこもった。しかも、
「いただきま~す」
「かひゅうううッ!」
大きくあいた明日香の口。
それが英雄の小さな口を捕食した。すぐに明日香の肉厚な舌が男の口内に侵入し、暴虐の限りを尽くしてしまう。
(死ぬ……殺される……)
英雄がびくんびくんと痙攣しながら自分の末路をさとった。
首を絞めてくる明日香の両手の力強さだけで負けを自覚する。
そんな苦しみ悶えた状態に加えて、自分の口内を犯してくる強い舌。その感触のきもちよさに全身が弛緩してしまう。殺されながら気持ちよくさせられている。その二律背反な極致に叩き落され、人格を破壊される。生命と性欲が直結してしまって、英雄は少女の両手の中で、死にながら絶頂していった。
どっびゅううううッ!
びゅっびゅううううッ!
(明日香……明日香様……)
ニンマリと見開かれた少女の視線。
こちらをあますことなく観察し、見逃さない支配者の瞳。
それを感じて、ますます興奮した英雄は、大切な子種を奪われ続け、またしても意識を刈り取られていった。
●●●
「ハアハアハア」
息を荒くした英雄が自分の肉棒をしこっていた。
自宅。一人きりの部屋の中で英雄はオナニーを続けていく。
「明日香様……ああ、明日香様……」
妄想しているのは彼女のこと。
もはや様付けで呼んでもなんの葛藤も生まれなくなってしまった存在。
彼女のことを考えて肉棒をしこると、とんでもない快感で頭がスパークする。今までしてきたオナニーが子供だましに感じるほどに、その快感は段違いだった。
「明日香様……ぐるじいいいい……たしゅけてええええ……」
しかも英雄は明日香に締め落とされることを妄想して興奮していた。
ディープキスでもなく、彼女のおっぱいの感触でもなく、英雄が妄想して興奮しているのは、明日香の太ももと、それによって締めつけられた自分の姿だった。
「……明日香様……たじゅげでえ」
絶対者に締め落とされていく。
あの太もも。
ムチムチして柔らかくて、それでいて自分の何倍もの筋肉量を内包した崇拝の対象。それが自分の首に巻きついている。感触を思い出す。あの絶望感。ああ、今から自分は死ぬんだという諦め。強い生物に蹂躙される恐怖と快感。締めつけられ、グげえええっという断末魔があがる。ニヤニヤした明日香の笑顔が脳裏に浮かんで、限界を迎えた。
「明日香さまあああああッ!」
どっびゅううううッ!
射精した。
それは長い射精だった。
もう頭はごちゃごちゃでどうしようもなかった。締め落とされることを想像して興奮してしまう自分。なぜこんなことで興奮するのか、それがまったく分からず、英雄は困惑してしまう。
「どうなっちゃうんだ、俺は」
悩む英雄。
そんな彼のもとに一つの転機がおとずれようとしていた。
つづく