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英雄は明日香に締め落とされていった。
毎日毎日。
継続して締め落とされていく。
もはや遊び。
道場には英雄の悲鳴が響き続ける。
明日香は遊び感覚で英雄を締め落とし続けた。
「師匠、どうですか、明日香の太ももは?」
にっこりとした笑顔。
マットの上で寝ころび、その逞しい太ももの間に英雄の胴体を挟み込んで、潰している。
しかも今回は、英雄の両腕ごと挟み込んでいた。
英雄の上半身をがっぷりと食らい、捕食している明日香の逞しい下半身。英雄はその足に食べられ、「かひゅうーー」という声にならない悲鳴を漏らし続ける。
「ほら師匠、少しは抵抗してくださいよ」
ニコニコ笑いながら明日香が言う。
「両腕も挟み込んであげて手加減してるんですから、腕の力で一生懸命脱出してみてください」
「く、くうううううッ」
英雄が歯を食いしばって腕に力をこめた。
なんとか腕を広げて、明日香の太ももの拘束から逃れようとする。これまで鍛えてきた全てをかけて明日香の太ももに抵抗していく。
「お、すごいすごい。少し開いてきましたね~」
言葉どおり。
英雄の必死の力で明日香の万力のような太ももの挟み込みが少しだけ緩んだ。胴体に密着していたそのアナコンダのような太ももが、少しだけ英雄の胴体から離れる。
「く、くううううッ!」
全力の力。
顔を真っ赤にして、腕をぷるぷるさせながら、必死に明日香の太ももに抵抗をしている。しかし、それを見つめている明日香はどこまでも余裕だった。
「ほーら、がんばれがんばれ。師匠、もっと力入れないと脱出できませんよ?」
「く、くそおおおおッ!」
「あはっ、よわすぎ」
みちいいいいッ!
「あああああああッ!」
容赦なく明日香の太ももが閉じられる。
再び、英雄の胴体にはむき出しの明日香の太ももがみっちりと密着し、挟み潰されてしまった。あれだけ一生懸命に腕の力で太ももを押し広げたのに、一瞬で腕ごと挟み込まれてしまったのだ。
「残念でしたね、師匠」
にこにこ。
楽しそうに己の圧倒的肉体でもって年上の男をいじめる少女。
「ほら、がんばってください。また腕の力で明日香の太ももを押しのけてくださいよ」
「く、くうううううッ!」
「そうそう。ふふっ、顔真っ赤にして可愛いですね~。そんな師匠のことはちゃんと撮影してあげますからね」
笑った明日香がスマフォを取り出した。
録画ボタンを押して、それを英雄にむける。
仰向けに寝転がり、その太ももの間に男を挟み込んで潰し、苦しむ男の顔を撮影し始めた少女。それは男虐め遊びに他ならなかった。
「ほら、がんばれがんばれ」
「く、っくううううッ」
「あ、太ももが押し広げられてきました。ぷるぷる震える腕でがんばってますね~」
「く、くそおおおおおッ!
「ほら、あと少しで脱出できますよ。がんばれ♪ がんばれ♪」
「く、くうううううううッ!」
全力。
英雄は全身全霊をこめて明日香の太ももに食い下がる。またしても、少しだけ空間があいて、つかの間の呼吸を許される。さきほどまでみっちりと押しつぶされて、ベコンとぺしゃんこにされていた胴体と肺の部分が元通りになって、「カヒュウカヒュウ」と呼吸をむさぼっている。そんな英雄の情けない様子を堪能し、撮影した明日香は、手加減を止めることにしたようだった。
「はい、ぺっちゃんこ」
ぎゅうううううッ!
「カヒュウウーーー」
ムチムチの太ももが男の胴体を喰らう。
腕ごとまきこまれ、またしても胴体と肺をぺちゃんこにされてしまった英雄は、大きく息を吸い込もうとした瞬間に胴体をベゴリと潰されてしまったことによって、悲鳴を発することもできずに悶絶した。
「師匠ってば、ほんとうに力弱いですよね」
白目をむきかけた英雄を執拗に撮影し、ぎゅっぎゅとその胴体を潰しながら明日香が言う。
「明日香、まだ4割くらいしか力こめてないんですよ? さっきまでの3割くらいだったらなんとか抵抗できるみたいですけど、4割にした途端に手も足も出ないじゃないですか」
ぎゅうううううッ!
ミチミチミチミチッ!
肉が潰れている。
腕ごと。
肺と胴体に明日香の太ももが食い込み、ぺちゃんこにして、その内蔵を痛めつけている。
「カヒュウウウーーーッ!」
英雄はもはや声もあげられない。
腕の力でなんとか抵抗しようとしても無駄だ。
明日香の屈強な太ももの間で、その足を1ミリだって動かすことはできない。
(し、死ぬうううう)
白目をむいて英雄が悶絶する。
今、自分は殺されようとしている。
少女の太ももによって。
体を潰されて殺されてしまう。
呼吸が一つもできない。全ては自分の胴体をぺちゃんこにしている明日香の太もものせいだ。みっちりと巻き付いて離れない明日香の足。そのムチムチの皮下脂肪の柔らかさと、その下に眠る凶悪な筋肉のポテンシャルを前にしては、自分のような矮小な体ではどうにもならない。
呼吸どころではない。
もしかすると、このまま本当に潰されて殺されてしまうかも。この太ももが本気になれば、自分の体なんてひとたわりもない。肉を潰され、骨を砕かれ、その内部に守られた内蔵が潰される。口から臓物を吐き出す自分の未来が明確に想像できてしまい、英雄は半狂乱に陥った。
「かひゅううう! かひゅうううッ! ひゅうううッッ」
許してください。
助けてください。
殺さないで。
そんな命乞いの声は、明日香の胴体に奪われてしまった。肺をぺちゃんこにされてしまっているせいで、声も発せられない。命乞いの言葉も奪われてしまい、英雄は絶望に染まった顔で、明日香の笑顔を見つめるしかなかった。
「むうううううッ!」
ダンダンダンッ!
英雄が暴れる。
明日香の太ももに腕ごと胴体を挟み込まれて拘束されているので、自由になっているのは足だけだった。その足をジタバタとあばれさせて、マットを必死に叩いている。
ギブアップ。
命乞いの意思表示。
英雄は唯一自由がきく体の部位を用いて、必死に明日香に懇願していた。じたばたと、一生懸命に足でマットを叩く。道場中に響くように、その滑稽な命乞いが繰り広げられた。
「ふふっ、もちあげちゃいま~す」
しかし、そんな命乞いすら明日香は許さなかった。
彼女は完全にマットに背中を預け、そのまま足を上に持ち上げた。太ももの間には英雄の胴体が挟まれている。その状態のままで、明日香は腹筋の力だけで足を上に持ち上げ、胴体と足でもってL字を描いた。
「かひゅうううううッ!」
宙づり。
英雄の体が宙に浮く。
まるでスーパーマンのように宙に浮かんだ英雄は、足をマットにつけることもできなくなった。
声は太ももで胴体をぺちゃんこにされて奪われている。
腕は太ももに挟み込まれて動かせない。
足も宙づりにされてじたばたと暴れるだけ。
全ての意志疎通の道具を奪われ、英雄はぽろぽろと涙を流した。
「ふふっ、師匠、いい顔ですね」
笑って明日香が言う。
ミチミチミチッと明日香の太ももが男の胴体を喰らっていく。
「絶望して、白目むきかけて、とってもエッチな顔です。明日香に勝てないって分からされた顔していて、明日香もとっても興奮しちゃいます」
ぎゅうううううッ!
さらに締め付ける。
もはや英雄は悶えることもできなかった。
そんな師匠のことをニコニコと見上げ、スマフォで撮影しながら、明日香が太ももの締め付けを継続する。すぐに限界は訪れた。
「はい、墜ちました」
楽しそうな笑顔。
明日香の太ももの間でダランと体中の力を弛緩させて気絶した男の姿。
人間プレス機によってぺちゃんこにされてしまった男がそこにはいた。白目をむき、口からは舌を出し、ブクブクと泡をふきながら、年下の少女によって締め落とされた男の姿がそこにはあった。
「だいぶいい動画がとれました。ふふっ、今日はこれで・・・・・・」
明日香が顔を赤らめて興奮している。
彼女はふふっと笑って。
「さあ、次は三角締めで締め落とします。それも録画してあげますからね、無様に気絶してください」
ニコニコ。
明日香の師匠虐めは終わらない。
*
最後には吊される。
それも毎日の恒例行事だった。
何度も何度もマットに沈められ、練習の最後には明日香に吊される。
今日も英雄はぼろ雑巾になるまで締め落とされた後、明日香によって吊されていた。
「今日もありがとうございました、師匠」
「あ、ああ、ぎっぎいい」
「最後、とどめ刺しますね?」
片手。
それで首をわし掴みにされて、英雄は持ち上げられている。
身長差から、足は地面についていない。
はるか高くに持ち上げられた英雄の視界からは、道場中で意識を奪われ横たわっている男たちの屍が一望できた。
「師匠の足、地面から離れちゃってますよ?」
明日香の言葉どおり、英雄の足はぶらぶらと宙で揺れていた。
そんなふうに暴れているのに、明日香は微動だにせず、じっくりと英雄の首を絞め、吊るし上げていく。
「前にも言いましたが、師匠が明日香に勝てない理由がこれですよ」
ニンマリ笑って、
「師匠がチビだからです」
ねっとりとした声色で、分からせるように、
「師匠の身長が低すぎてチビだから、身長の高い明日香には手も足も出ずに勝てない。今も首を絞められて吊るしあげられて、足ブラブラさせてお魚さんになっちゃった。それもこれも、師匠がチビだからです。ほんっと、チビって惨めですね」
「カヒュウウ―――かひゅううう―――」
「あはっ、こんなにバカにされてるのに逃げられないんですね。そりゃあそうですよね。チビすぎて足が地面についてないんですもん。ふふっ、高身長の女の子に宙づりにされたチビはそのまま殺されるしかないんですよ。見動き一つとれないチビザコ。本当にチビって悲しいですよね。つくづく思うんですが、明日香、チビに生まれなくてよかったです」
ニヤニヤと勝ち誇った明日香。
かつて自分を慕ってくれた妹弟子が、身長の低い自分のことをバカにしてくる。
「チ~ビ♡ チ~ビ♡ チ~ビ♡」
ねっとりとした視線を向けながら、愛情たっぷりの声色でバカにされる。
そんな屈辱的なことのはずなのに、英雄はなぜか、自分の下半身が反応してしまうのを感じた。
(なんで・・・・どうして・・・・)
自分で自分のことが分からなくなる。
はるか年下の明日香に「チビ」とバカにされればされるほどに興奮した。体が震え彼女に服従したくてたまらなくなっているのを自覚する。長身で肉厚な優秀な肉体。そんな彼女の体を前にすると自分の体なんか同じ人間とは思えなくなるほどにチビだった。それをまざまざと見せつけられる。
(吊るされているんだ・・・・ちっちゃいから、俺・・・・デカい明日香に吊るされちゃってる・・・・・)
吊るされて、足が地面につかない。
反対に明日香はどっしりと足裏を地面につけたまま余裕そうにかつて師匠だった自分のことを吊るしている。吊るされることによって肉体の格差を教え込まれ、「チビ」とバカにされ、酸欠で頭がぼおっとさせられて、気持ちよくなってしまっている。体がピクピクと震え始め、気絶にむかって意識が落ちていく。
「ふふっ、師匠もだいぶ簡単に墜ちるようになってしまいましたね」
悶える師匠を見上げて明日香が言う。
その圧倒的に高性能な長身でもって、矮小な男を宙づりにしながら、ニコニコと笑った少女が問いかける。
「墜ち癖がついちゃいました。いいんですか? 師匠」
「ぐ、っぐげえええッ!」
「明日香が締め付けただけですぐに気絶しちゃう。落ち癖がついたチビとか本当にザコですよね。これじゃあ、大学で柔道を続けるなんてできないです」
追いつめる。
その間も明日香の片手は英雄の首をわし掴みにして締め付けていた。英雄の顔は鬱血して、じたばたとその体が暴れている。それをくすくす笑って見上げて鑑賞し、今日も明日香は仕上げをすることにした。
「墜ちろ」
ぎゅうううううッ!
「ぐっぼおおおおおおッ!
一瞬。
明日香の締め付けが的確に英雄の頸動脈をシャットアウトすると、すぐに英雄は気絶した。
絞首刑となった罪人のように、体をダランとさせて、ぶらぶらと揺れる英雄の死体。
「ほ~ら、一瞬」
明日香がにこにこ笑う。
「完全に墜ち癖ついちゃいました」
勝ち誇る。
少女が師匠のことを、
持ち上げ、吊して、宙づりにして、その命を自由にできる立場を楽しんでいる。
「いつまで強情が続くか、楽しみです」
つづく