優子の意外な一面を知った翌日。

 いつものとおり朝が来て、町田は女子ソフト部の部室を掃除していた。

 休み前に服を没収されていなかったため、彼は久しぶりに服を着て、朝をむかえていた。

 そんな中でも気になるのは、優子のことだった。

 昨日、あれだけのものを見せられた衝撃は、いまだに町田の中にあった。

 それを振り払うかのように、ソフト部の部室を掃除していく。

 今日からまた、彼女たちの調教が始まるかと思うと、町田は気が滅入るのを感じた。

 また今日も、僕はめちゃくちゃにされるのだろう。

 虐められて、ぼろぼろにさせられてしまう。

 そんな地獄を前にして、町田はため息をついた。

 しかし、彼は気づいていない。

 そんな気が滅入る気持ちの底の底、町田が決して気づけない無意識の中に、それを期待してしまっている自分がいることに。


「あ、おはようございます」


 優しげな声が響いた。

 その声に、町田はびくっと反応してしまった。


「町田先輩、今日もお疲れ様です」


 観念して振り返った先、そこには制服姿の優子がいた。

 溌剌としたスポーツ少女。

 誰にでも優しく、慈愛に満ちた存在。

 女子部員の悪魔たちの中にまぎれこんだ一人の天使。

 現に、目の前の優子は、優しげに笑みを浮かべて、あくまでも先輩として町田のことを扱ってくれていた。

 しかし、こんな優子は、昨日、年上の男子生徒をめちゃくちゃに犯してしまっていたのだ。


「先輩? どうしました?」

「う、わ」


 いつの間にか、優子が近くまできて、身を屈めて、町田の顔を下からのぞき込んできていた。

 至近距離。

 彼女の唇が間近にあって、その下には夏服の制服では隠せない大きな胸がある。

 ほんわかと漂ってくる彼女の匂い。

 町田は、その甘い匂いに、自分の意識が軽く飛んでしまうのを感じた。


「具合でも悪いんですか?」

「い、いや違うよ。大丈夫」

「そうですか、それならいいんですけど」


 心配そうに優子が言った。

 彼女は「体調には気をつけてくださいね」と言い残して、着替えを始める。

 掃除をする町田の前で、平然とスカートを脱ぎ、シャツを脱ぎ去る。

 現れたのは、白い肌と、昨日の爆乳だった。


(あの胸で・・・・・あの手で・・・・・)


 町田は、ちらちらと優子の姿を盗み見ることを我慢できなかった。

 大きな、体。

 自分とは比べものにならないほど、発達した体躯。

 そして、美しい彼女は、上級生を手玉にとるほどの性技を身につけている。

 彼女がその気になれば、自分なんて、1分もかからないで射精させられてしまうだろう。

 そのまま、連続絶頂。彼女の練習が終わるまで、気絶させられ、覚醒させられ、気絶させられる。

 そう、昨日の男二人のように・・・・・・。

 優子が本気になったとすれば・・・・・・。

 町田は、ごくっと唾を飲み込んで、自分のものが硬くなってしまうのを感じていた。


(ぼ、僕は千鶴さんのことが好きなのに。でも・・・・・・・)


 町田は悶々としたものを感じながら、優子の発達した体に視線を奪われてしまうのだった。


 *


 そんなドギマギとした町田は、すぐさま現実を思い出すことになる。

 彩華が、部室にくるなり、冷徹に言った。


「なんで全裸じゃないの」

「え、あ」

「・・・・・・・」


 バッチイイイインン!!


「ひいいいいい!!」


 無言で、彩華はビンタを繰り出した。

 軽く撫でたように見えるそれは、しかしとてつもない破壊力をもっており、町田は地面に倒れ込んでしまった。

 ビンタ一つで。

 下級生の女子が、上級生の男子を圧倒してしまっていた。


「あんたは、なんだったんだっけ?」


 彩華は制服のスカートから、鍛え上げた右脚を振り上げながら言った。


「ねえ、あんたはなんだっけ?」


 どすううううんん!!


「ぐぎゃああああッ!!」


 勢いよく、地面に這い蹲った背中めがけて、彩華が脚を踏みつける。

 立ち上がろうとしていた町田は、それだけで地面に潰されてしまった。


「ねえ、あんたは、なんだったん、だっけ?」


 ドスン!! バギイイイ!!

 ボゴオオンン!!


 連続して、踏む、踏む、踏む。

 踏みつぶす。

 彩華が踏み潰すために脚を振り上げた迫力は、それだけで男の反抗心をすべて奪い去るに十分だった。

 そして、そのまま、男の体を潰す。

 踏みつけるたびに、彩華の脚には筋肉の筋がくっきりと現れ、それがなんともいえない魅力を放っていた。

 制服姿のアマゾネス。

 そんな表現が似合う彩華だった。


「はやく、いわないと、踏み殺されちゃうわよ」


 彩華は本気だ。

 町田は、たまらずに言った。


「ど、奴隷ですううう!」

「なんの」


 ドッスウウン!!


「ひっぎいい!! 彩華様の脚奴隷ですうううう!!」

「声が小さい」


 ばぎいいいん!!


「ひゃあああ!! 彩華様の脚奴隷ですううううううう!!」


 絶叫。

 恥も外聞もなく絶叫する。

 彩華は、淡々と、男の醜態を見下ろしていた。


「そうよね。あんたは、わたしの脚の奴隷なのよね」


 彩華は、ぐりぐりと町田の顔面を踏みつぶしながら、


「ご主人様の私の脚を迎えるのに、なんで、全裸じゃないの?」

「も、申し訳ございません! 彩華様あああああ!」

「次はないから。覚えておきなさい」


 ようやく、彩華が町田を解放した。

 うううう、と呻きながら、町田はなんとか体を起こす。

 そして、自ら、着ていた衣服を脱いでいった。

 下級生の女子に命令されて、

 強制的に全裸にさせられる。

 その屈辱は、町田をして涙を流させるほどだった。


「申し訳ありませんでした。彩華様」


 そして、全裸になった町田は当然のごとく、彩華の足下で土下座した。

 頭を地面にこすりつけて、ご主人様である彩華の脚にあいさつをする。

 それを彩華は冷徹に見下ろすのだった。


「・・・・・・・・・・」


 あくまでも冷徹に、仁王立ちで町田の土下座を見下ろす彩華。

 そうして、どれくらいの時間がすぎただろうか。

 彩華が椅子に座った。

 そして、右脚を前に出して、


「靴下脱がして」

「は、はい」


 町田が手を伸ばそうとする。

 途端に、彩華の右脚が町田の顔面に炸裂した。


「誰が手をつかっていいって言ったの」

「す、すみません」

「口」


 一言だけ言って、右足を前に投げ出す。

 町田は、言われるがままに、彩華の靴下に唇を這わせた。

 そして、靴下にアマ噛みするようにして唇でつかむと、そのまま顔を一生懸命後ろにひいて、靴下を脱がそうとする。

 それがなかなかうまくいかず、焦った町田はさらに滑稽に、首の力で彩華の靴下を引っ張るのだった。


「焦らないの」

「ふぁ、ふぁい」

「さあ、がんばりなさい」


 思いもかけず優しい言葉をかけられて、町田は冷静さを取り戻した。

 そのまま確実に彩華の靴下を脱がしていく。

 そして、完全に脱がした。

 町田は、不思議な達成感を感じながら、口でつかんだままの靴下の感触に感じいっていた。


「よくできたわね」


 椅子に座った彩華。

 彼女は言うと、そのまま、スカートから伸びる脚をさらに伸ばした。

 靴下を脱ぎ、生脚となった彩華の脚は、見る男の劣情を刺激するには十分すぎた。


「ご褒美よ」


 彼女はそのまま、生脚となった右脚で、膝まづいたままの町田の頭を撫で始めた。

 さきほどまで靴下をつけ、革靴をはいて汗ばんだ彩華の足裏。

 それが町田の頭に置かれ、わしゃわしゃと撫でる。

 普通ならば屈辱を感じる場面。

 下級生の女子に足蹴にされ、足で頭を撫でられるという恥辱。

 しかし、町田が感じているのは、それとは正反対のものだった。


(な、なんだろう・・・・・すごく、きもちいいい)


 恍惚とした表情で、町田は彩華から頭を撫でられたままだった。

 椅子に座って、膝まづいた男を見下ろしながら、足で頭を撫でる。

 その感触に、町田は多幸感まで感じていた。

 ご主人様に褒められて嬉しがっているマゾ犬。

 町田はまさにそれだった。


「さあ、ご主人様の脚にご奉仕しなさい」


 彩華が町田の頭を撫でるのをやめ、それを町田の目の前にもっていった。

 大きな、大きな脚。

 町田は、そのしっとりと汗ばんだ脚を見るに、どうしようもなく舐めたいと、そう感じてしまった。

 町田は、初めて、屈辱を感じながらではなく、恍惚としながら、彩華の脚裏に舌を這わせた。

 とろんとした幸せそうな目をしながら、ぺろぺろと舐めあげていく。


「ふふっ、ころ合いかもね」


 そんなマゾ犬を、彩華は椅子に座ったまま見下ろしていた。

 その口元には愉悦の笑み。

 男を墜とすことの快感に満足しながら、彩華は計画を早めることを決意したのだった。

 町田に、運命の分岐点が訪れようとしていた。
(続く)