今日も男子は食べられてしまう。

 彼女たちの大きな体に矮小な男たちは丸飲みされて捕食されてしまうのだ。


「ほ~ら、わたしの太ももに食べられちゃうわよ~」


 教室。

 そこではいつものように女子が男子を虐めていた。

 発育のよい長身の女子たちが同級生の男子を玩具にして今日も遊んでいる。

 この異常な光景はここ数年で、彼女たちの体格がかなり大きくなったことで頻繁に見られるようになったことだった。

 僕たちの学校は学年が1クラスしかなく、6年間、ずっとクラスメイトは変わらない。

 もともと体格にめぐまれていた彼女たちだったが、中学年にあがるころにはみるみる身長が伸び、大人の女性みたいに発育が良くなっていった。

 もはや女子と男子は大人と子供みたいに体の大きさが違ってしまっている。だから、女子たちが年相応の残酷さを発揮すれば、男子たちは泣き叫ぶしかないのだった。


「ゆるしてくださいッ!」


 今日も男子の中ではリーダー格の江藤くんが泣き叫んでいた。彼はとくに念入りに遊ばれていたので、始まったばかりなのにもう壊れかけている。

 しかも、彼を虐めているのは、発育の良い女子たちの中でも一番の女の子だった。誰よりも力が強く、誰よりも残酷な少女。彼女に目をつけられた男子は永遠と地獄をみることになる。


「は~い、太ももで食べられちゃいました~」


 クラスで一番のサディスト―――玖留美ちゃんが言った。

 彼女はその発達した太ももの中に江藤くんの頭部を挟み込んで、食べてしまっていた。

 いすに座った彼女がその長い脚をピンと伸ばし、その太ももの間で江藤くんを締め付けている。

 ぎゅうううっという音が遠く離れた自分のところまで聞こえてくる。

 玖留美ちゃんのムチムチとしながらも筋肉質な太ももは、江藤くんの胴体ほどもある強靱なものだった。

 大蛇が獲物に巻き付いてその体を粉々にしてしまっている。そんなふうに思えるほどにその締め付けは強烈なものだった。


「あはっ、江藤、おまえの頭食べられちゃったね。このまま頭の骨もバギバギに潰して脳味噌も食べちゃうからね~」


 玖留美ちゃんが楽しそうに言う。

 少し茶色がかった髪の毛。セミロングで伸ばしているその髪は大人のお姉さんのようなのだが、顔立ちはやはり年相応の幼い感じがする。

 その童顔っぽさは彼女がいつも学校のジャージを着用していることでさらに増すことになっていた。

 半袖半ズボン姿で、シャツを半ズボンの中に入れているので、その大きな胸がすごく強調されてしまっている。

 大きな胸。

 玖留美ちゃんは確かに幼い顔立ちをしていたが、それ以外はもう大人の女性と変わらないくらいに育ちきっていた。

 高い身長。

 春に行われた身体測定で、6年生にして180センチを越えたその体。胸も大きくて、脚なんかはグラビアアイドルよりもエロい大人の女性の脚になっている。

 そんな大人っぽい体と幼い顔立ち。

 そしていつも学校指定のジャージを着ていることが、玖留美ちゃんのギャップをさらに増すことになっていた。彼女の本性を知らない塾の男子からは何度も告白されていることは有名な話しだった。


「ほ~ら、潰れていってるよ~。江藤、おまえの頭、わたしの太ももに食べられていくよ~」


 彼女の本性―――それは嗜虐性にあった。

 クラスの男子虐めも彼女が始めて、それからというもの率先して行っていた。

 休み時間になれば教室中で女子たちが男子で遊び始める。その中にあっても玖留美ちゃんの遊びは残酷で容赦がなかった。それは今の江藤くんの様子を見れば誰にでも分かることだった。


「っぐえええええッ!」


 江藤くんが激痛で壊れていく。

 玖留美ちゃんの太ももが容赦なく江藤くんの頭を挟み込んで潰していた。彼女の太ももにはくっきりと筋肉の固まりが浮かび上がってきていて、江藤くんがどんなに抵抗したとしても無駄であることがそれを見るだけで分かった。

 ベギバギと頭蓋骨が軋んでいく音が響く。

 江藤くんの絶叫が教室中を響かせていた。

 それを玖留見ちゃんはニンマリとした笑顔で見下ろし続けるのだった。

 本当に楽しそうに彼女は男子を虐めた。男子に対する同情心とかそういったものは彼女には備え付けられていないのかもしれない。それほどまでに玖留美ちゃんは男子に対して残酷になれた。


「あ、墜ちた」


 玖留美ちゃんがこともなげに言った。

 彼女の言葉どおり、さんざん暴れまわって苦しみ悶えていた江藤くんの体がダランと脱力して、玖留美ちゃんの太ももの中で気絶していた。

 玖留美ちゃんの太ももにかみつかれ、息絶えた獲物の姿だった。そうなってしまった獲物がどうなってしまうのか、クラスの男子たちは全員知っていた。


「捕食ターイム」


 玖留美ちゃんがさらにニンマリと笑った。

 そのまま、彼女は江藤くんの衣服を脱がしにかかった。慣れた動きでテキパキとあっという間に江藤くんのことを全裸にしてしまう。

 江藤くんはまだ気絶したままだ。

 彼は白目をむいており、涙と涎で汚れきった顔をしている。そんな男子の顔をニンマリと鑑賞した玖留美ちゃんは、すぐに捕食することにしたらしい。


「太ももで墜としたから、太ももで食べちゃおうっと」


 玖留美ちゃんが再び太ももで江藤くんを挟んだ。

 ただし、今回は江藤くんの頭ではなく、全裸にむいた胴体をそのムッチリと巨大な太ももの中にとじこめてしまった。

 椅子に座りながら、その太ももの間に江藤くんの胴体を挟み込んでニンマリと笑う玖留美ちゃん。

 江藤くんは太ももに挟み込まれているせいで、意識がないのにきょうつけの姿勢で立たされていた。その両腕も胴体と一緒に太ももに挟み込まれているので、もはや江藤くんに生存の道はなかった。


「いただきま~す」


 玖留美ちゃんが太ももに力をこめた。

 とたんに江藤くんの体がビクンッと痙攣した。

 ぎゅうううっという肉が潰れる音が盛大に響き始める。

 潰れているのは江藤くんの胴体で、潰しているのは玖留美ちゃんの太ももだ。女の子のムチムチとした脚が男の子の体を捕食して丸飲みしてしまっていた。


「はっぐうううッ」


 さらに体が痙攣して江藤くんが意識を取り戻した。

 ニンマリと笑った玖留美ちゃんの笑顔がさらに壮絶に彩られる。それを見た江藤くんが「ひい」と悲鳴を漏らした。


「わかってるよね? 今から丸飲みタイムだからね。おまえはこれから、わたしの太ももに食べられて、めちゃくちゃにされるの」


 玖留美ちゃんが言った。

 それはこれまでのおさらいだった。彼女に負けて心が屈服してしまったらどうなるのか、それを江藤くんに分からせるための言葉だった。


「昼休み時間中、ずっとこのままお前の胴体を丸飲みし続ける。泣いても喚いても許さない。わかったか?」

「ゆるしてええッ・・・・お願いですから、助けてくださいいい」

「給食で食べたものが逆流しないように、お腹に力を入れてがんばりなさいよ。ゲボはいたりしたら、放課後、わたしの家に連れ込んで捕食タイムを続けるからね」

「たしゅけてええ・・・・・玖留美さまあああ・・・・・お願いしましゅうううッ」

「開始♪」


 玖留美ちゃんがさらに力をこめた。

 「オボッ」という声にならない悲鳴をあげた江藤くんが、顔を真っ赤にして苦しみ悶え始める。彼の胴体には玖留美ちゃんのたくましい太ももがミッチリと巻き付いてしまっている。江藤くんの胴体よりも太い玖留美ちゃんの太ももに拘束されてしまえば、彼がそこから脱出することができる可能性は全くなかった。


「ひゅっぎいいいいッ!」


 無駄だと分かっていても江藤くんは暴れるしかなかった。

 はやく玖留美ちゃんの肉の牢獄の中から脱出しなければ、命の保障はなかった。それほどまでに玖留美ちゃんの太ももの締め付けは圧倒的だった。

 しかし、江藤くんがどんなに暴れてもビクともしなかった。

 江藤くんの両腕も含めて、彼の上半身は玖留美ちゃんの太ももに挟み込まれてしまっている。

 その拘束具と化した肉の塊にむかって全身全霊の力をこめて抵抗している江藤くん。

 それでも1ミリだって玖留美ちゃんの太ももは動かない。それどころかさらにムッチリした太ももが江藤くんの胴体を潰しにかかっていく。

 肉が潰れている音だけではなくバギベギという骨が軋む音が響き始める。

 江藤くんの顔はすさまじく鬱血して苦しみでボロボロになっていった。

 その抵抗も少しづつなくなっていき、ついには玖留美ちゃんの太ももの中でダランと弛緩した。

 ピクピクと小刻みに痙攣しながら江藤くんは再び意識を刈り取られてしまったのだ。


「はい、一口目」


 玖留美ちゃんが言った。

 彼女は満足そうな笑みを浮かべながら絞め墜とした江藤くんの姿を見下ろしていた。

 椅子に座ったまま、両足をピンと伸ばして、その太ももの中で今も潰している江藤くんのことを鑑賞している。

 玖留美ちゃんの視線の先には気絶した江藤くんがいる。気絶しても尚、玖留美ちゃんの太ももに丸飲みされている彼は、倒れこむこともできずにいた。上半身を丸飲みされてしまっているので、気絶しても立ち上がったまま、ぐったりとその体を弛緩させるしかないのだ。


「二口目、いくわよ」


 玖留美ちゃんはどこまでも残酷だった。

 彼女の食事が一度だけで終わるはずがないのだ。これから先、昼休みのすべての時間をかけて、玖留美ちゃんは江藤くんのことをすべて食べつくしてしまうだろう。

 僕は、そんな彼女の食事の光景を横目に、必死に目の前の本の文章を追っていった。

 もしかしたらこのまま、今日は江藤くんを捕食するだけで玖留美ちゃんは満足してくれるかもしれない。そんな期待と不安をもって僕はひたすら本を読んで意識を遮断していった。

 しかし、彼女が僕のことを見逃すはずもなかったのだ。

 江藤くんよりも玖留美ちゃんに目をつけられている僕が、そのまま何事もなく一日を終えられるはずがなかった。


つづく