月曜日。

 俺たちはガクガクと震えていた。

 なぜか分からない。それでも体は震えるのだった。もはや3年B組の男子生徒は4人になっていた。敵に殺されたのだ。遊ぶようにして殺されて、死体を海に投げ捨てられてしまった。

 それでも逃げるわけにはいかなかった。

 俺たちは決められたとおりに登校をして、教室の中でガクガクと震えながらその時を待っていた。


「やっほ~、みんなおっはよ~」


 元気な声。

 その女性の声を聞いただけで、俺たちの震えはさらに増した。この場から逃げ出したい。その気持ち一色になった俺たちはしかし、蛇を前にしたカエルのように体を硬直させ、一歩も動くことができなかった。

 玲奈。

 幼なじみの彼女が現れただけなのに、俺たちはさらにビクビクと体を震わせるしかなかった。


「ちょっとちょっと、人があいさつしてるのに無視とかひどくな~い?」


 玲奈が笑いながら俺の机の近くまできた。

 その長身。ムチムチな体は相変わらずで、小麦色に焼けた光り輝く肌が視界に飛び込んでくる。昔だったらエロい気分にだってなったかもしれないが、今となってはこの体を見ても恐怖心しか感じなかった。


「ちょっと、春信、どうしたのよみんな」

 
 声をかけてくる。

 敵の顔によく似た少女。その体格から何までが敵によく似ている俺たちの幼なじみが、こちらを見下ろしてきていた。


「ちょっと、なに震えてるの?」

「い、いや、別に」

「顔真っ青だよ。みんなもだけど」

「いや、な、なんか寒いかなって思ったんです・・・・思ったんだよ」


 口を開くごとに恐怖が増した。

 そんな挙動不審になった俺のことをジイっと玲奈が見下ろしてくる。何かを考えているような視線。それが教室の男子全員に降り注いだ後、彼女は「あ~あ」と嘆息した。


「やっぱ、暗示にも限界があるか」


 笑顔がなくなり、真顔で。


「ま、今回はだいぶもったほうかな。前のクラスは2、3人やった後にはもう暗示がききにくくなってたし」


 ふうとため息をついて、玲奈が俺の隣の席に座った。

 豪快に足を組んで、その長くもムチムチな足を惜しげもなくさらす。その状態のままで、玲奈が俺にむかって言った。


「ねえ春信。わたし、ちょっと足が疲れちゃったのよね」


 ニヤニヤした笑顔。

 新しい遊びを実行にうつそうとしている子供の笑顔。


「私の足、舐めてマッサージしてくれない?」


 ドクン。

 心臓が脈打った。

 同級生の女の子の足を舐める。

 普通、そんなことはしない。

 お願いされたかって、そんなことを聞く道理なんてない。

 それなのに、俺の体は独りでに動いていた。

 玲奈の足下に膝まづきその上履きに手を、


「あ、手は使わないで」


 気さくな感じで玲奈が言った。

 友達同士の会話。それなのに彼女の言葉はどこまでも辛辣だった。


「口だけで脱がしてよ」


 ニヤニヤした笑顔。

 どこかで見たことのある視線だった。

 俺はその瞳に見つめられただけで、全ての反抗心を根こそぎ奪われてしまった。

 歯で玲奈の上履きを噛む。そのまま、首をぐいぐいと動かして引っ張り、上履きを脱がした。靴下も同じようにすると、麗美の大きな生足が見えてくる。


「左足もお願い」


 言われたとおりにする。

 一生懸命に、口だけで脱がしていく。

 まるでご主人様と飼い犬の関係。

 両足が生足となると、彼女の足が蠱惑的に蠢くのが見えた。


「よし、舐めろ」


 ニヤニヤした視線。

 俺は舌を出してぺろぺろと舐めていった。

 同級生の女の子の足を一生懸命に舐める。

 玲奈は椅子に座ったままふんぞりかえって、俺のご奉仕を満足そうに見下ろしていた。それとは正反対に、俺は教室の床に膝まづいてうやうやしく舌を生足に這わせていく。


「くわえろよ」


 乱暴な言葉に体が石になる。

 俺の体はまるで操り人形にされたみたいに動いて、口いっぱいに玲奈の足先をくわえこんだ。


「そのままフェラしろ。指と指の間の汚れがぜんぶなくなるまで舐め続けろ」


 動く。

 体が一人でに動き、命令どおりにしていた。

 首を上下に動かして足先にフェラをする。その間も俺の舌は丁寧に玲奈の指と指の間を舐めとり、それをすべての指の間に施していった。


「顔をあげろ」


 顔をあげる。

 するとこちらをニヤニヤしながら見下ろしてくる玲奈と視線があった。


「そのまま、上目遣いで続けろ。おら、もっと舐めろよ」


 舐める。

 同級生の女の子に見下ろされながら、一生懸命に命をかけてその足を舐める。大きな足だ。指だって長い。その一本一本を舐めていく。


「ふふっ、涙目になって情けないね~」

「じゅるうう・・・・じゅぱあ・・・・・・」

「ねえ春信。分かってる? いま、お前は学校の教室で膝まづいて、同級生の女の子の足舐めてるんだよ?」


 言葉でもいじめられる。

 その間も舐めた。俺の瞳からぽろぽろと涙が出てくる。


「ふふっ、ま、やっぱり春信が一番うまいよね、舐めるの。よしよし」


 そう言った彼女がもう片方の足で俺の頭を撫でてきた。

 生足の感触が頭をわしゃわしゃと撫でていった。


「じゃあ、他の奴らにも舐めさせるか」


 ニンマリと笑って、


「ほら、アサクラ、こっち来て舐めろよ」


 俺の頭を撫でいていた足をひらひらと揺らしながら命令する。


「アサクラの次は、イシクラとサイトウにも舐めさせるからな。覚悟しろよ?」


 3年B組の生存者全員に命じる。

 誰一人として反抗することもできなかった。

 玲奈に命令されただけで、男子たちは彼女の足下に膝まづき、永遠とその足を舐めさせられていった。 


つづく