金曜日の夜は殺される。
もはや勝負なんて関係なかった。
洞窟で俺たちは殺されるのを待つだけだ。祭壇に捧げられる生け贄のように、俺たちは金曜日になると洞窟に赴き、敵に命を捧げるのだった。
「ふふっ、体真っ赤になっちゃったね~」
敵が笑って観察をしていた。
その視線の先には、全裸に剥かれた男が立っていた。石倉だ。インドア派でこの島にあっては珍しい白い肌のままの男。その全身が今では紅葉色に染まっていた。それは全て、敵のビンタによるものだった。
「ビンタしまくったら、全身真っ赤になっちゃった~。あはっ、めっちゃおもしろ~」
すうっと敵が右手をあげる。
それを見上げた石倉が「ひい」と悲鳴をあげた。
その絶望の表情を堪能した敵が勢いよく男の頬を叩いた。
バチイイイインンッ!
鼓膜を震わせる甲高い音が洞窟の中に反響して響いた。
豪快な一撃。
石倉の首が横に吹き飛んだ。
転がりおちそうになった男の髪の毛をぐいっと掴んで倒れるのも許さなかった敵が、ニンマリと笑った。
「ほらほら~、どんどんいくよ」
バッチインンンッ!
ベッチインンッ! バチイイイイッ!
バッチインンンッ!
「ひいいいい」
「ひゃあああああ」
「た、たしゅヒッギャアアアアッ!」
叩かれていく。
髪の毛を捕まれて宙づりにされて、そのまま片手での永遠に続く往復ビンタ。
敵の大きな手がムチのようにしなっては、男の両頬に炸裂していく。
それが何度も続いた。
ビンタが炸裂するたびに男の口から白い歯が周囲に飛び散っていくのが見えた。口の中から歯がなくなるまでそれは続いた。
「おしりぺんぺん」
さらにビンタが続く。
胴体を片手で抱え込んで宙づりにして、その無防備にさらされた尻にむけて手のひらによる絨毯爆撃を繰り出していく。
すぐに石倉の尻は真っ赤になった。あっという間にドス黒くなっていく。内出血で尻が鬱血し、さらには皮膚が破けて鮮血が舞った。
白い石倉の体がどこまでも赤く変色していく。
ぎゃああああっという悲鳴が間断なくあがり続け、それが小さくなっていく。
もはや抵抗しても悲鳴をあげても無駄だと悟った石倉が壊れた人形のように反応すらあげなくなった。ただただ敵のお尻ぺんぺんによって壊されていく。皮膚だけではなく肉が裂ける。敵の手のひらが炸裂するたびに男の体が揺れ、血が巻き散っていく。それが続き、敵がニンマリと笑った。
「あ、死んだ」
石倉の体が動かなくなった。
胴体を片手で抱き抱えられ、宙づりにされている男の体は両手両足をダランと垂らしたまま、まったく微動だにしなくなった。
「あはっ、お尻ぺんぺんで死んだよこいつ」
笑っている。
敵が勝ち誇るようにして笑っている。
俺たちはそれをガクガク震えながら見つめるしかなかった。玲奈の顔をした玲奈ではない少女が、男子を殺して性的に興奮している。これから始まるであろうことに、俺たちは戦々恐々としていた。
命令が。
いつものように彼女の口から放たれた。
「ほら、とっとと舐めろ」
声が頭に侵食してくる。
頭が。
頭がとてもずきずきする。
今日も舐める。
ご奉仕人形。
生存者3名が●●の体にむらがって必死のご奉仕を続ける。
何時間も何時間も。
ニヤニヤ笑った●●の笑顔。
ぽろぽろ涙を流した俺たち。
怖くて怖くて仕方なかったけれど舐めるしかなかった。
彼女が満足するまで続いた。
俺たちは殺されないために彼女の足を舐め続けた。
●●●
1 あなたは逃げてはいけない。
2 あなたは逃げてはいけない。
3 あなたは逃げてはいけない。
4 あなたはぜったいに逃げられない。
*
月曜日。
安息の土日が終わって、月曜日がきてしまう。
2日経っているのに、俺の舌は満足に動かなかった。
もはや一言たりとも喋れない。
頭がすごくぼんやりする。
それでも俺たちは学校に行かなければならなかった。
しかし、学校には玲奈がいる。
敵はいないはずだが玲奈がいるのだ。
彼女を前にすると俺たちの体は動かなくなってしまった。恐怖心でガクガクと震える。命令をされればそれがどんな命令であっても聞くしかなかった。
「座布団になりなさい」
高圧的な声。
教室。
そこで最近の日常茶飯事となった玲奈の命令に従って、俺は椅子に後頭部を預けて座り込んだ。
「よろしい」
ドッスウウウンッ!
玲奈の巨尻が俺の顔面を勢いよく潰した。
そのムチムチな尻肉が俺の顔面全体を覆い尽くし、さらには椅子にまで肉が溢れていく。俺の頭部全体が小麦色に焼かれた巨尻によって埋もれ、椅子に縫いつけにされてしまった。
「ん、いい座り心地」
満足そうな声。
玲奈はそのままグリグリとお尻を動かしてベストポジションを探しだし、そのまま全体重をかけて俺の顔面を潰しにきた。
「んふふ、じゃあ授業中はずっとこのままだからね」
玲奈が言う。
「先生には、春信は座布団だっていう暗示かけておくから、気づかれないわよ。ふふっ、他の男子には丸見えだけど」
ぐりぐりぐり。
尻肉がさらに俺の顔面にめり込む。
まったく息が吸えない。体が震える。このままだと死ぬ。その瞬間に、一瞬だけ玲奈の尻の圧迫が弱まった。
「息継ぎ」
端的な命令。
俺は尻肉ごしに息を吸った。
「潰れろ」
ぎゅううううううッ!
息継ぎの時間はあまりにも短く、すぐに全体重が俺の顔面に殺到する。それだけで俺はまた呼吸もできず、顔面がミシミシと鳴っていく音に耐えながら、顔面座布団になるしかなかった。
「あー、きもち~。やっぱ教室でいじめるのもサイコだわ~」
玲奈が性的に興奮しながら言った。
その声はどこかで聞き覚えがある気がした。
どこだっただろう。
俺はそんなことを思いながら、玲奈の言葉を聞いた。
「ふふっ、もういいかな」
ぎゅうううっとさらに潰される。
「次殺したら、設定もやめて楽しんじゃおうっと」
つづく