麗美物語 第2章
中等部に入学して麗美は抜け殻のようになった。
どうしてもやる気が出ない。
麗美は義務的に学校に通い、窓際の自分の席に座って、外を眺めてぼおっと過ごすようになっていた。
麗美の通う中等部の制服は古風なセーラー服だった。それが麗美にはよく似合っていた。物憂げに外を眺めている様子は深窓の令嬢のようだった。
黒曜石のような漆黒の黒髪。
周囲の男子たちよりも頭一つ高い長身。
さらには制服でも隠せないメリハリのある体付きは、男子生徒だけではなく、男性教諭たちの目を引きつけてやまなかった。彼女が足を組み、その長くムチムチの太ももを惜しげもなくさらしただけで、周囲の男たちは前かがみとなって、ぼおっと麗美のことを見つめるだけの猿に変わる。制服ごしにも分かる巨乳。細い腰。そして椅子に座って肉が溢れている大きなお尻。その全てが、男たちの劣情を燃えたぎらせていた。
「…………」
存在しているだけで男たちを劣情の極地に追い込んでいるとも知らず、麗美は物憂げに窓から外を眺めるだけだった。
男子とも女子とも誰とも話さず、ただぼおっと教室で過ごす。授業中もそれは変わらなかった。教師にあてられた時だけ完璧な回答をして、また窓から外を眺めた。
全てが冷たく冷めきっていた。
退屈な日々。
心は停滞させたまま義務的に学校に通うだけの毎日。
それは授業でバトルファックの実技が始まるまで続いた。
*
最初、バトルファックの授業も義務的に淡々とこなした。
1学期は座学で、バトルファックのルールや技の数々を勉強した。
暗く沈んだ瞳で教科書を読んだ麗美は、ただ「ぬるいな」と思った。殴ってもダメ。蹴ってもダメ。締め技だってダメなのだ。これではバトルではない。麗美は興味を失ったように惰性で座学を受け続け、そして実技の時間を迎えた。
「う、うおおお」
「やっぱりすげええ」
「やべえよ、あれ。テレビでも見たことねえ」
麗美が競技水着姿で現れた瞬間、男子たちは色めき立った。
それも仕方のないことだった。
競技場に純白の競技水着を着用して現れた麗美の魅力は言葉に表せないほど際だっていた。
中等部にあがって、ますます育ってきた体。純白の肌が生命力で光輝いている。空手で鍛えてきた筋肉質な体の上に、柔らかそうな肉が乗っかって、極上の女体となっていた。
巨乳。
クラスの男子たちが今までの人生で見たこともないほど豊かに実った果実。それはなぜか強そうに見える乳房だった。柔らかく包容力に満ちたものというより、それ自体が武器になりそうな威圧感をもったおっぱい。その存在感の前に、誰もが心を奪われた。
伸ばしっぱなしになっている長髪も妖艶だった。大人っぽい雰囲気。その顔に退屈そうな冷たい表情が浮かんでいるのも美しかった。周囲の男子だけではなく、女子からも感嘆の声があがり、誰もが麗美のことを見つめていた。
「それじゃあ、ペアを組め。最初は女子の手コキだ」
担当教師が号令を発する。
男子たちはそわそわとして、麗美のことをチラチラと見つめるだけだった。
誰もが麗美とペアを組みたがっているのに、気後れしてそれができない。躊躇の何秒間が流れて、ようやく麗美に声をかけたのはサッカー部に所属しているイケメンの男だった。
「み、皆川さん、俺と、いいかな?」
しどろもどろで緊張している男子。
麗美は小さく頷くだけで興味がなさそうに冷たい視線を浮かべただけだった。その氷のような瞳に男子は「う」と呻くのだが、同時に顔を輝かせて興奮していた。
「それじゃあ、3分間、せめてみろ」
教師の号令。
麗美の目の前の男子がハアハアと息を荒くしながら競技水着をおろす。それを見て、しらけた視線を浮かべていた麗美は若干心が動くのを感じた。
(なにこれ、かわいい)
それが男の一物をはじめて見た感想だった。
麗美が手を伸ばす。
片手で、ぎゅうっと、その弱い生き物を握った。
「あああああッ!」
握られただけ。
それだけなのに男子は快感の悲鳴をあげた。
情けない悲鳴をあげた男子のことを見つめた麗美が、確信をもっていく。
(分かる)
麗美は片手で握った瞬間から、それをどう扱えばいいのか全て理解していた。
どうすればこの弱い生き物を屈服させることができるのか、どうすれば射精を促し、快感の地獄で責めなぶることができるのか。
教科書で学んだ以上のことを、麗美は実感として理解していたのだ。まるで自分の中にもともとそのような機能があったことを確認するように、麗美が男子の一物をシコり始める。
「ひいいいいいッ」
すぐに男子は悶絶した。
それだけ麗美の手コキは卓越していた。
変幻自在。竿の弱点を最適な方法と絶妙のタッチで責めていく。弱点は刻一刻と変わった。快感を感じた瞬間に慣れが生じて、一番快感を覚えるポイントが変化していく。まるで、自分の手から逃げていくようだ。たすけてええっと、許してええええっと、自分の手コキを前に逃げ出した獲物。
「逃がさない」
がしっと一物を掴み、弱点を責めなぶる。
一番快感を感じるポイントだけをひたすら責める。快感ポイントが逃げるとすぐに追撃をして逃がさない。獲物を追う女狩人が、執拗に、ただただねっちこく、獲物である弱い生き物をなぶっていく。男子は座っていることもできず、地面に倒れこんでびくびく震えた。それでも許さない。麗美は倒れた男の一物をつかんではなさず、永遠と手コキを続ける。
(楽しい)
麗美の頬が赤く染まった。
瞳がきらきらと輝いている。
それは空手をやめてから久しく感じたことのない心の動きだった。楽しい。こうして弱い生き物を虐めるととても心が踊る。
「ふふっ」
麗美が妖艶に笑った。
教室では冷たいしらけた表情を浮かべた氷の美少女が、ほほえみながら手コキに熱中している。そのサディストの笑みを間近で見た男子が耐えられるわけがなかった。
「ひゃあああああッ!」
どっびゅううううううッ!
射精。
天高く、噴火したみたいに放出された精液。
「…………」
麗美はそれを冷静に見つめ、さらなる追撃をする。
射精の脈動にあわせて弱い生き物を絞りつくす。
まるでゴムチューブの中身をねこそぎ絞り出すかのように、根本から亀頭までを往復させる。男子は白目をむいて、全身を痙攣させながら射精し続ける。「やべでえええッ!」「ゆるじでえええッ!」と男子が命乞いを始めるが、麗美は聞く耳をもたない。麗美は淡々と冷静に男子を絞り尽くしていった。それは、男子の精液が空っぽになるまで続いた。
「…………」
立ち上がった麗美が、地面に倒れた男子を無言で見下ろす。
麗美の視線の先。
そこには白目をむいて気絶した男子がいた。サッカー部のイケメンが大の字で間抜けな面をさらしている。男子の股間には大量の白い液体がこべりついていた。
「…………」
その敗北の証は麗美の手にも付着していた。
ねちゃねちゃとした粘着質な液体。
においも特徴的だったが、麗美はまるで嫌悪感を感じなかった。男子を射精に追いこんだという満足感が全身を満たしていくのを感じた。自分が求めていたものがついに得られた。そんな気がした。
「……ふふっ」
ぺろ。
手に付着した精液を口にふくむ。
それをなんの躊躇もなくゴクンと飲み干した。
見せつけるように。
お前は負けて食べられたんだと分からせるために。
麗美は気絶した男子を見下ろしながら精液を舐めて飲み込み、勝ち誇っていた。
「す、すげえええ」
「やべえよ、おい」
「はんぱねええ」
クラスの全員が麗美を見ていた。
手コキの実技の時間であることを忘れて、全員が麗美の姿を仰ぎ見ている。その光景は奴隷たちがクラスの女王様を見上げているようだった。
●●●
麗美はバトルファックに熱中した。
教室の中では変わらず、つまらなそうな、冷たい瞳で外を眺めているだけ。それがバトルファックの授業となると一変する。冷たい氷のような表情はそのままに、積極的に、熱意をもって、男子たちを搾り取っていった。
「あひいいいいいッ!」
模擬試合。
そこで麗美が男子の両足をつかみ、電気あんまの要領で精液を搾り取っていた。
長身の麗美が立ち上がり、男子は仰向けで地面に倒れている。麗美の長い足。腰が海外のハリウッドセレブのように高い位置にあり、スラリと伸びた脚の曲線美が周囲の人間の視線を釘付けにする。その若干筋肉質でありながらも、ムチムチとした肉感をもった美しくも淫靡な存在が、男の一物を責めていった。
「い、いぎゅううううッ!」
どっびゅうううううッ!
何度目になるか分からない射精。
それが勢いよく放出され、止まらない。
じたばたと地面でのたうちまわっていた男子が、びくんびくんと陸揚げされた魚のように暴れていた。
「…………」
麗美はそれを見下ろすだけだ。
彼女の中にあるのは、いかにして相手に快感を与え、精液を搾り取るかということだけ。見下ろした先の男子がどれだけ苦しそうでも、許してと訴えても、聞く耳をもたなかった。
(次はこうしてみよう)
足の動きを変えてやる。
手で触れようが、足で触れようが、コレの扱い方は手に取るように分かった。竿の裏を足裏でごしごしとしごく。弱点が逃げていくのを執拗に追いかけて刺激し、射精をさらにうながしていく。男子の悲鳴が高まった瞬間、足のかかとで金玉を潰した。ぎゅううっという感触が麗美の足に伝わる。その頼りのない感覚。あと少し力をこめれば潰れてしまうのではないか。そんな弱々しい感触を足裏に感じた麗美は、「ああ、今自分は、この男子の命を握っているんだ」と感じた。感じて、とても興奮し、さらに搾り取っていく。
「かひゅ――カヒュ―――」
試合が終わった時、男子は白目をむいて気絶していた。
リングの上でびくんびくん痙攣したまま息耐えた男。それを麗美は淡々と見下ろして、自分の成果を確認している。圧倒的勝者。そのオーラの前にリングを取り囲むクラスメイトたちが圧倒されていた。
「ぜんぶ搾り取られちゃったね」
つぶやき、麗美が片足を振り上げた。
ドスウウンッ!
そのまま、興奮した女豹が倒れた獲物の一物を踏み潰した。力強い踏みしめ。地面に横たわったまま力つき、子供ち●ぽになってしまったフニャフニャな生き物を、強靱な足裏で容赦なく踏みしめ、ぐりぐりと地面に押し潰す。
「あひいいいいい」
とたんに覚醒した男子。
彼がうつろな眼で見上げてしまう。
長髪の豊かな黒髪をたなびかせて君臨する氷の女王。高身長の高見から自分のことを見下ろしてくる怜悧な視線を浴び、一物を踏み潰されていることに気付いた男子が、さらに追い込まれて射精した。
「ゆ、ゆるしてくだしゃいいい」
どっびゅうううううッ!
びゅっびゅううううううッ!
絶叫しながら痙攣する。
精液は出てこなかった。完全に搾り取られて精巣が空っぽになっているのだ。クラスメイトの女子に徹底的に搾り取られ、最後には一物を踏み潰されながら、それでも許されずに空打ちの射精を繰り返す。
「…………」
麗美はそれを冷たく見下ろしていた。
侮蔑の視線。
しかし、その瞳の奥には興奮の火がともっている。
男子を虐めて精液絞りをするのが楽しい。
もっと。
もっとやりたい。
麗美の新たな才能がここに開花していく。
*
麗美の教室での様子はあいかわらずだ。
ぼおっと、しらけた冷たい視線で窓の外を見つめている。長身のセーラー服姿の美少女。麗美はただ佇んでいるだけなのに、周囲の男子たちは壊されてしまっていた。
「はあはあ」
「う」
「れ、麗美様あああ」
男子全員が麗美の姿をチラチラと見つめては悶絶していた。ミニスカートから伸びるムチムチの太もも。その長い足がひるがえり、足が組み替えられる。それだけで、
「はああああ」
「しゅ、しゅごいいい」
男子たちはフル勃起になって興奮しっぱなしになった。
教室にたちこめる麗美のフェロモン。冷たい氷のような瞳。漆黒の長い黒髪。その全てが、男子たちの理性を壊す極上の凶器になる。
「麗美さまああ」
「ううううッ」
「はあはあはあ」
理性を失った哀れな猿たち。
男子たちは全員、麗美に犯されていた。
バトルファックの授業で徹底的に。
その後遺症からか、男子たちは麗美に服従するようになった。麗美が命令を下すわけではない。男子たちはただ麗美の周囲をとりまき、はあはあと息を荒くしながら、付き従うだけ。美しい花の周りをうろちょろと飛び交う蝿のように、男子たちは麗美のことを見つめていた。
「…………」
そんな男子たちの視線には無頓着に麗美は窓の外を見つめているだけだ。
クールビューティー。自分の挙動一つで男子たちが興奮していることなんか興味がないと言わんばかりに冷たい瞳を浮かべている。それが魅力になり、ますます男子たちは狂っていくのだった。
つづく