管理される。
徹底的に。
その陶酔感に私は参ってしまった。
貞操帯の存在感を自覚するたびにマゾイキした。私は常に管理されているのだ。巳雪さんに―――自分よりも強い生物によって管理されている。それを自覚すればするほど麻薬じみた多幸感が脳内でほとばしった。今日も夜、巳雪さんに呼吸を管理されてしまう。
「ふふっ、わたしの舌、見えますか?」
私は全裸に剥かれた状態で、衣服を着用した巳雪さんの前に立たされている。
気品のある貴婦人の衣装を着用した美しい女性。フリフリのついた童貞殺しのブラウスは彼女の肉体に完全フィットしていて裸よりもエロく感じる。そんな深層の令嬢といった服装なのに、ベロンと舌を出した巳雪さんの姿はとても淫らだった。
「ひい」
悲鳴が漏れてしまう。
私の目の前で、巳雪さんがベロを大きく出して、それをゆらゆらと蠢かしている。その長さは明らかに人間離れしていた。最初の頃よりも間違いなく長くなっている。男の精を搾り取ればとるほど、巳雪さんの体は進化しているみたいだった。
「ふふっ、最近、やはりわたしの体は成長しているみたいなんです」
巳雪さんが笑って言う。
「この長い舌であれば殿方の子種を効率よく搾り取ることができます。舐めなくても、こうして舌を出してあげるだけで射精してしまうんです。簡単でいいですよ? 本当に」
くすくすと、まるでバカにしたように笑う。
その成長した巳雪さんの体を前に、全裸で立たされている私は足をガクガク震わせるしかなかった。圧倒的上位存在者を前にして、劣等者である私はぷるぷると怯えるしかないのだ。
「この舌で、旦那様の口の中をレイプしてさしあげます」
またしても舌をベロンと出す。
「この長さなら、旦那様の口の中だけではなく、喉の奥まで犯すことが可能です」
「ひ、ひいいい」
「この長い舌が旦那様の喉の奥深くまで進入します。旦那様の喉チンコを乱暴にノックしてさらに進み、喉奥の普通だったら届かない場所をめちゃくちゃに舐めることができるんですよ」
これみよがしに舌を蠢かせる。
彼女の言葉が冗談ではないことが、その長い舌の存在感を前にすると自然と自覚できた。
「喉奥まで犯すと旦那様はえづき始めます。おえええって、喉に進入してきた異物を吐き出そうと苦しみ出すんです。でも絶対に止めてあげません。旦那様がえづき続けて、呼吸もできなくなって、白目をむいてピクピク痙攣し始めても、わたしはこの長い舌を旦那様の喉奥に挿入したまま、レイプを続けます」
ふふっと笑った。
大きな舌をベロンと垂れ下げながら、恐ろしい女性が獲物である私をめざして、近づいてくる。
「ひゃ、ひゃめでえええ」
私は怯えきって悲鳴をあげた。
けれど足がすくんで動くこともできない。それほどまでに舌を垂れ下げながら笑う巳雪さんは圧倒的だった。まるで白い大蛇だ。その大きな体で獲物を威圧し、舌をヒョロヒョロと出して迫ってくる。私は蛇ににらまれたカエルのように、一歩も動けなかった。
「いただきます」
がぼおおおおッ!
「むうううううッ!」
捕食された。
私の唇が巳雪さんのぷっくりとした唇によって食べられ、すぐにあの長い舌が口内に進入してきた。最初はあいさつ程度に口の中をまんべんなく愛撫される。その優しい舌使いによって私の瞳はトロンと溶けてしまい、巳雪さんのすべてを受け入れてしまった。心地よさがずっと続く。私の小さな体が巳雪さんの大きな体に抱きしめられ、豊満な女体の感触で陶酔する。背中にまわされた彼女の手が背中や後頭部を優しく愛撫していく。そんな絶対拘束の中でのディープキス。快楽で男を廃人に堕としてしまう恐ろしいキスで、私の精神が溶けていく。
「ふふっ」
そんなピクピクふるえるだけになった私のことを、巳雪さんがしっかりと瞳をあけて見下ろしている。
理性的で、私のすべてを把握していることが分かる視線。それに貫かれて、観察された私は、ますます支配されているという感覚を強めてしまう。巳雪さんの切れ長の力強い目力に屈服して、体を脱力させて強者の前に自分を捧げてしまった。
「ふっ」
巳雪さんの長い舌が、ゆっくりと進撃を開始した。まずは私の舌を屈服させ、その長い舌の下敷きにしてしまう。これでもう自分の舌で彼女の凶悪ベロを押しのけることもできなくなった。
ゆっくりと。
その凶悪ベロが私の喉に迫ってくる。異物感。その強大な存在感を前に、私の体がピクピクと痙攣していく。ニンマリと巳雪さんが笑った。
コンコンコンッ!
「おっぼおおおッ!」
喉チンコがノックされた。
私の喉の奥に垂れ下がった最後の門番が巳雪さんの舌でめったうちにされていく。異物を体内に進入させないために存在する喉チンコが、異物である凶悪ベロによってレイプされているのだ。
「おえええッ! ガッボオオオッ!」
えづく。
苦しい。
吐き気。
体が痙攣する。
息ができない。
えづきっぱなしになる。
「ふふっ」
それでも巳雪さんはやめてくれなかった。
舌先で何度も何度も私の喉チンコをめったうちにしてくる。舌先による往復ビンタ。私の喉チンコが、巳雪さんの舌によって蹂躙されていく。
(くるしい……息ができない……)
悶える。
体の痙攣が激しくなる。
えづきっぱなしで視界が白くなる。
それなのに、
(ぎ、ぎもじいいいいい)
苦しいはずなのに、きもちい。
えづいているのに、きもちい。
徹底的にマゾにおとされてしまった私は、巳雪さんから与えられる苦痛をすべて快楽に変換してしまうのだった。出会った最初にコレをされていたら苦痛しか感じなかったはず。けれど今は違った。重度のマゾ中毒になってしまった私は、巳雪さんの強い舌でいじめられて、マゾイキしていく。「おええええッ!」という、えづく音だけが、部屋に響いていった。
「ふふっ」
準備が整ったことをさとった巳雪さんがさらに進む。
喉チンコを蹂躙していた凶悪ベロが、我がモノ顔で私の喉奥へと進入していった。最後の門番だったはずの喉チンコを押しのけ、従順なペットに変えてしまった恐ろしい舌が、ゆっくりと私の喉奥へと這っていく。
「ガボオオッ! ぐえええええッ!」
えづく。
巳雪さんの舌が喉奥に進めば進むほどにえづきはひどくなる。
大きな体に抱きしめられて、喉の奥の奥まで犯されていく。とんでもない息苦しさ。体の中から犯されているという屈辱。それがすべて快感に変わる。苦しみの極地ともいうべき酸欠寸前で悶える。喉が凶悪ベロでしっかりとふたをされているせいで、吐きたくても吐けない。そんな地獄と天国の両方で、脳味噌を壊される。
「グジョオオッ! ブジュウッ!」
「ガボボオオッ! おえっぐうううッ!」
さらに巳雪さんが私を犯す。
彼女が舌を雄槍のように固くして、私の喉でセックスを始めてしまった。引き抜かれて、また突き入れられる。私の喉が穴となって、巳雪さんの男性器のような舌で犯されていく。
(ぐるじいいいッ! ぎもじいいいいッ!)
苦しいのにきもちい。
殺されそうになってるのに、興奮している。
私の体に巻きついてくる巳雪さんの大きな体。私の両腕ごと抱き込む形で、彼女の長い腕が私の背中にまわされ、みっちりと拘束される。身動き一つできない状態にさせられて、彼女の長い舌で犯されていく。
「ジュパアッ! ジュルウルッ!」
「おえええッ! オボっぐえええッ!」
「ズボオッ! ズッボオッ! ずじゃあッ!」
「ぐっぼおおッ! オエおっぼおおッ!」
「ジュルウウッ! ジュッルッ! ズッボオオッ!」
「おぼおおッ! オエエエッ! グえエエッ!」
唾液音とえづく音。
女性が男性を犯し、男性が吐きそうになりながら苦しむ音だけが部屋に響く。巳雪さんはまったく手加減をしてくれなかった。本能そのものになった恐ろしい女性が、私という獲物を余さず平らげようと、徹底的に、ねちっこく、容赦なく舌で責めてくる。
(無理……こんなの……無理……)
限界。
目の前が真っ暗になっていく。
酸欠で体が完全に脱力する。筋肉の反射だけでピクピクと痙攣し、その痙攣すらも巳雪さんによって力強く抱きしめられて奪われる。私という存在が口と喉だけになって、そのすべてを巳雪さんの長い舌で犯されていった。
(死ぬ……殺される……)
巳雪さんの舌に。
長い舌で殺されちゃう。
目の前が……、
真っ暗に……、
真っ暗になって……、
「はい、息継ぎしてください」
「カヒュウ―――ッ!」
死ぬ直前で巳雪さんが舌を引き抜いた。
私の気道をふさいでいた支配者から解放され、むさぼるように息をする。念願だった酸素を肺にとりいれては、焦りすぎてせき込み、さらに苦しむはめになった。
「苦しくてもきもちよかったですよね、旦那様」
うっとりとした瞳で巳雪さんが言う。
「私の長い舌で喉を犯されて、ずっとずっとえづいている旦那様の姿、とってもかわいかったです。酸欠で頭をバカにして悶えている姿、病みつきになってしまいそうです」
さわさわと、背中が撫でられる。
私の下半身に彼女の長い足が絡みついてくる。絶対にこの獲物を逃がさないという決意表明。全身を拘束されて、私は夢心地になってしまった。
「ほら、これがさきほどまで、旦那様の喉を犯していた舌ですよ」
べろんっと、その長い舌を口から出して見せつけてくる。
「う」
あまりの長さ。
健康的で粘着質な舌を目の前で見せつけられる。その存在感を前にして私の体が屈服してしまうのが分かる。こんなにも長くて、肉厚な舌で襲われてはもうダメだ。どんな雄だって殺されてしまう。
「ふふっ」
うねうねと、その長い舌が蠢いていく。
明らかに最初の頃よりも長くなって、成長した巳雪さんの舌。その強い支配者を前にして、私は命の危険を感じると共に興奮してしまった。
「興奮してもらえてうれしいです」
「あひ……ひいん……」
「旦那様が興奮すればするほど、上質な子種がつくられます。ほら、金玉もこんなにはりつめて」
「あひんッ!」
「今日はずっとこのまま犯します」
ねっとりと巳雪さんが言う。
「私の長い舌で、旦那様の喉を犯し続けます」
「ひゃだあああッ! しゃ、射精させてええ」
「ずっと夜通しこの舌で旦那様の口と喉をレイプします。そうすると旦那様は溺れてしまうのです。陸の上で、自分の妻に羽交い締めにされて、舌で喉と気道をふさがれてしまって溺れてしまう。びくんびくんと痙攣する体もわたしの大きな体に抱きしめられて奪われ、呼吸も奪われ、酸素も奪われ、そして生命そのものさえ奪われてしまう」
「ひいいいいいッ! ひいいいいいッ!」
「死ぬ直前まで追いこんで、興奮させて、もっともっと上質な子種をつくっていただきますからね」
大きな口があく。
すべてを丸飲みしてしまう巳雪さんの口だ。そんな口の中であの凶悪ベロが蠢いているのが見える。その恐怖感だけでマゾイキしてしまった。
「いただきます」
ぶっちゅううううッ!
唇をむさぼり食らわれる。
化け物じみた舌がすぐに進入してくる。
口の中をいじめられ、抵抗しようと動かした私の舌があっけなく返り討ちにされてしまった。巨大な舌の下敷きにされた私の舌が完全に押さえつけられ、身動き一つとれなくなってしまう。
「ふふっ」
抵抗がなくなったのを確認して、巳雪さんの舌が私の口内を我がモノ顔で這っていく。
喉をゆっくりと進み、喉チンコをレイプして私をえづかせる。彼女は宣言どおり、ずっと私の口と喉を犯していった。極上の女体で押し潰されながら、私は永遠と陸の上で溺れていった。
●●●
調教が続いていく。
何日も何日も、射精を奪われ、永遠と性感を高め続けられる。
生殺しにさせられ、絶対に射精を許してもらえない。肉棒にはめられた貞操帯をさすっても射精なんてできない。犯される夢で夜も起きてしまう。起きたら起きたで隣には巳雪さんがいてまた興奮する。発情した私にきづいた巳雪さんが目を覚まし、夜中でもかまわずに生殺し調教が再開される。心も体も。とっくに限界をむかえ、私は射精したくて発狂しそうになっていた。
「イがぜでえええッ! 射精させてくださいッ!」
朝にもかかわらず絶叫する。
玄関で見送られようとした時に射精懇願を始めてしまったのだ。彼女の大きな体にすがりついて、涙目になって必死に射精を懇願する。
「ダメですよ、旦那様」
にっこりと笑った巳雪さんが私をたしなめる。
彼女は駄々をこねる子供をあやすみたいに、私の頭を優しく撫でながら言った。
「旦那様の子種はだいぶ溜まってきましたが、十分ではありません。まだまだこれからです」
「ひゃだあああッ! 射精させでええええッ!」
「ダメです。おつらいとは思いますが、子づくりのためにがんばりましょう」
「射精ッ! 射精したいいいいいッ!」
巳雪さんの下半身に顔を埋めて懇願する。
ふうと、頭上でため息が聞こえた。
「そんなに聞き分けが悪いと、今から始めますよ?」
少しだけ冷たい声。
この恐ろしい生物の機嫌を損ねてしまったかもしれないと思っただけで、私は「ひ」と悲鳴を漏らした。
「朝だろうと関係ありません。今から旦那様のことかわいがってさしあげましょうか?」
「ひいいいいッ! ひいいいいッ!」
「そうなったら旦那様はもうダメです。間違いなく会社には行けなくなります。この家でずっと、生殺し調教をされて、アンアン喘ぎ続ける生き物に変えられてしまうんです。もちろん会社は解雇されるでしょうね」
間違いない未来を語る巳雪さん。
彼女の言葉どおりだろう。彼女のかわいがりが始まったら、間違いなく会社には行けなくなる。無断欠勤が続き最後には解雇されてしまう。そうなれば文無しになってしまうのだ。それなのに、巳雪さんは、
「それとも、わたしが養ってあげましょうか」
うっとりと笑って、彼女が言う。
「お金なら余るほどありますし、旦那様を養うくらい簡単です。ふふっ、旦那様のことも養って、日中ずっと、かわいがってあげましょうか?」
私の頭を撫でる巳雪さんの手の強さが増す。
まるで片手だけで私の頭をわし掴みにするみたいだ。絶対に逃がさない。これからめちゃくちゃに犯す。そう言われているみたいで、私は「ひいいいい」と盛大に悲鳴をあげた。
「ふふっ、冗談です」
私の頭を放して巳雪さんが言う。
「会社に遅れてしまいますよ、旦那様」
貞淑な妻にもどった巳雪さんが私を促す。どうしても射精したい気持ちが残ったが、それでも会社には行かなければならない。
「行ってらっしゃいませ。旦那様」
膝をついて深々と頭を下げた巳雪さんに見送られて家を出る。背後でドアが閉められる音が聞こえて、恐ろしいまでの喪失感が全身を支配した。
(巳雪さん……)
このまま家に戻って巳雪さんとずっと一緒にいたい。そんな気持ちをかかえ、一歩ドアのほうに近づいてから、思い直して出社を急ぐ。
「い、急がないと、本当に間に合わない」
いつもよりだいぶ遅れてしまった。
小走りで階段を駆けおりて、通勤のサラリーマンたちもまばらになった道路に出ようとする。その時、こちらにむかって歩いてくる隣人に出くわした。どうやらコンビニ帰りらしい。こんな時間に家に戻るのだから、まだ仕事もみつかっていないのだろう。
「おはようございます」
あいさつをして、その横を過ぎようとする。
けれど、なぜか隣人は怯えたように体を硬直させるだけだった。
「な、なんで、こんな時間に」
「?」
怯えてその場で立ち尽くした隣人。私は怪訝に思って立ち止まった。
「ち、違うんです。けっして俺から近づいたわけじゃなくて」
ガクガクとふるえながら隣人が言う。
彼の言葉はよく分からなかった。私を前にしていながら、隣人は私に向けて喋っているようには見えなかった。まるで誰かに弁解するような口調。彼の視線も私ではなく、その背後、アパートのほうに向けられていた。
「ご、ごめんなさいッ! 失礼します」
駆けだしていく隣人。
なんなんだいったい。疑問に思いながらも、急がなければならないのは私も同じだった。貞操帯の冷たさを意識しながら、私も会社へと急いだ。
つづく