すぐさま教室は地獄と化した。

 E組の女子生徒5人が、同級生の男子生徒25名を殺していく。

 教室という処刑場の中で、男子生徒の逃げ場はどこにもなかった。


 *


 出席番号1番 相沢青葉。

 月村と同じく、サッカー部に所属している少女。

 姉御肌で、リーダーシップもあり、サッカー部では副キャプテン、クラスでも副委員長を歴任して、月村を助けて皆をまとめてきた少女だ。

 彼女は人望もあり、男子たちからも慕われていた。

 学校に入学した以降の調教はかなり過激なもので、男子たちはそれを恐怖していたが、3年生にあがってからはそれもなくなったので、誰もが青葉のことを好意に思い、慕っていた。

 そんな彼女が、クラスメイトの男子を殺していく。


「命乞いしなさい。一番下手だったやつは不合格確定ってことで、殺すから」


 教室の中。

 自分に割り振られた5人の男子を前にして青葉が言った。

 青葉は、手を腰にやって、仁王立ちの格好で、男子たちを見下ろしていた。

 その瞳は冷たく輝いていて、抑えられないサディズムがあふれかえっているかのようだった。


「な、なに言ってるんだよ青葉。殺すとか、そんな、冗談だろ? なあ、あお・・・・・・」


 男子生徒はそれ以上言葉を発することはできなかった。

 青葉の強烈なビンタが男子の顔面をとらえた。

 バチンという何かが破裂する音が響き、男子の体が真横に吹き飛ぶ。

 地面に倒れ込み、うめき声をあげる男子生徒。

 そんな彼に対して、青葉がつかつかと歩み寄り、右足を振り上げた。


「や、やめ」


 ドッスウウウンン!!


 スカートから伸びる美しい脚が、男の頭部を潰した。

 そのまま、ぐりぐりと地面で男の頭部を完全に粉砕する。

 周囲は血塗れ。

 男子生徒は陸にあがった魚のようにビチビチと痙攣を始めた。


「命乞いしろ」


 何事もなかったかのように、青葉が残りの4人に対して言った。

 その瞳は、同じ人間を見つめるものではなかった。

 虫けら。

 下等生物を見るかのような冷ややかな視線に、男子たちは震え上がり、理解した。

 青葉は本気だ。

 このままでは、本当に、殺されてしまう。


「た、助けてー」


 一人の男子が言った。

 それをかわきりに、ほかの男子たちも命乞いを始める。

 しかし、男子たちの声は、どこかまだ、恥ずかしさが残っている声だった。

 真剣さが足りないというか、必死さというものがない。


「ふう」


 青葉がため息をついて、近くの男のこめかみを片手で掴んだ。

 アイアンクロー。

 彼女はそのまま男の体を片手で宙づりにしてしまう。

 ブラブラと揺れ、必死に抵抗する男。

 それを呆然と見守る3人。

 青葉はなんの躊躇もなく、リンゴでも握りつぶすかのように、男の顔面を握りつぶした。

 ブッシャアア!!

 男の頭部が破壊され、さきほどまで暴れていた男の体がブランと青葉によって宙づりにされる。

 周囲に鮮血が舞い、それが青葉の頬にかかった。

 それを彼女はぺろりと舐めとってしまった。

 冷酷な笑みを浮かべた青葉が言った。


「次。命乞いしなさい。3人の中で一番下手な奴を殺す」


 その圧倒的なまでな存在感。

 絶対的な優位者として、劣等者を見下ろす視線。

 青葉の足下には二人の死体がある。

 今まで3年間、勉学を共にしてきた学友を躊躇なく殺してしまった存在。

 自分たち男子がどんなに抵抗してもかなわない絶対者。

 そんな存在を前にして、ようやく3人は現状を理解した。

 青葉は殺す気なのだ。

 自分たち3人全員を殺してしまう気だと。


「た、助けてください!」

「許して、お願いします青葉様!」

「殺さないでください! お願いします! 殺さないでええ!!」


 男たちが必死に命乞いを始める。

 心の底からの命乞い。

 同級生の女の子に対して、喉をからして助けを求める。

 その惨めさを前にして、青葉がにんまりと笑った。


「そうそう。もっと必死に命乞いしなさい」


 言いながら、青葉が男たちの眼前まで迫った。

 冷酷な笑みを浮かべて、男たちの間近で、滑稽な命乞いを楽しむ。

 自分とは劣った劣等人種に対する圧倒的なまでの優越感。

 そんな冷酷なまなざしを目の前にして、男たちの命乞いは必死さを増していく。


「許ちてくださいいい!! お願いしましゅううう!」

「助けて!! 命だけは助けてください、青葉さまああああ!!」

「殺さないでください!! 助けてえええ!! お願いですううう!!」


 目を血走らせて、

 唾を飛ばしながら、

 目の前の同級生の女の子に対して、必死に命乞いをする。

 そんな男たちを、青葉は内心ゾクゾクしながら鑑賞していた。

 最初から彼女は、男たち全員を殺してしまうつもりでいた。

 どんなに命乞いをしようが、最後には殺す、そう決めていた。


(あ〜、やっぱりコレいいわね)


 彼女は、男たちの命乞いを聞くのが好きだった。

 滑稽な存在が必死に命の嘆願をする。

 そのみっともなさを見ることが、青葉にとって一番の快楽だった。

 そして、その嗜虐性は、必死の命乞いをしたのにもかかわらず、無惨にも殺されてしまう男たちを見ることによって昇華される。

 青葉はにんまりと笑って、命乞いを続ける男たちを見つめた。

 さて、次はどうやって殺そうか。

 そんなことを考えながら、青葉は獲物を前にした女豹のように笑うのだった。


 *

 出席番号2番、海野瑞希。

 彼女は水泳部員だった。

 クラスどころか学校の中でも1、2を争う巨乳。

 彼女が学校の制服であるブレザーを着たまま、眠気を抑えるために上体をそらして伸びをしたとき、ブレザーのボタンが勢いよくはじけた飛んだことは、学校中の噂になっている。

 それ以来、彼女はブレザーのボタンをはめることなく、胸部を外気にさらしていた。

 シャツの上からセーターを着ただけでは抑えきれないほどの膨らみが、常に、学校の男子たちの劣情を刺激し続けていたほどの巨乳。

 そんな海野瑞希の部活は水泳部。

 指定の競泳水着を着た彼女の姿を見るためだけに、厳しい水泳部に入部した男子がいるくらいだった。

 男子部員たちは、抑えようとしても、常に海野のおっぱいをチラチラと見てしまっていた。

 凝視すればお仕置きがまっている。

 それが分かっていても、無意識のうちにその膨らみを凝視してしまうほどの魅力を、海野の胸はもっていた。

 そして、彼女はそんな男子部員たちをにっこりとした笑みで許すのがほとんどだった。

 ほわわんとした笑顔と口調で、「しかたないな〜」といわんばかりに大目に見てくれる優しい女子生徒。

 海野瑞希に対する男子生徒の認識はそのようなものだった。

 しかし、


「は〜い、それじゃあこれから、みんなが大好きなこのおっぱいで、殺していくね〜」


 海野が処刑場となった教室の中で高らかに宣言した。

 競泳水着姿。

 するすると制服を脱ぎ、その下に着ていた競泳水着姿になった海野は、両手を自分の胸の下で組んで、その爆乳を強調させながら、さきほどの死刑宣告をしたのだった。


「部活の最中も〜、みんな〜、わたしのおっぱいばっかり見てたもんね〜。わたしのおっぱいで殺されるなら、本望だよね?」


 海野の目の前。

 そこには並ばされた5人の男子水泳部員たちがいた。

 水泳部に所属している男子生徒たちだ。

 水野を目当てにして水泳部に入部し、彼女に密かな恋心を芽生えさせていた男子生徒たち。

 そんな彼らに対して、海野はあくまでも残酷に、処分を下していった。


「まずは窒息責めで〜す」


 いきなり、海野が近くの男子部員を抱きしめた。

 ぎゅうううッッ!!

 男子の頭部を自分の胸でしっかりと拘束すると、そのまま柔らかな胸で潰してしまう。

 突然の出来事に、手を右往左往して戸惑う男子生徒。

 その頭部は完全に海野の胸の中に埋まってしまう。

 ある意味、その男子生徒が夢見た光景。

 しかし、現実はそう甘くなかった。


「えへへ、鈴木くん、息、できないでしょ〜」


 海野が男子生徒の頭を胸で潰しながら言った。

 ギュウウッと力をこめて男子生徒の頭を抱きしめる海野。

 彼女の大きな胸が柔らかく歪曲し、ぐんにゃりと男の頭部を吸収して放さない。

 結果として、男は一切の呼吸ができずに、次第に体をジタバタと暴れさせて抵抗し始めた。

 しかし、


「無駄だよ〜」


 じたばたと暴れる男を抱きしめて無効化してしまう海野だった。

 いつものほんわかとした笑顔。

 見る者の心を溶かしてしまうかのような笑みを浮かべながら、海野は男の頭を胸の中で潰し、窒息させていく。

 当然、海野の身長のほうが男子生徒よりも高い。

 しかも水泳で鍛えた肩の筋肉。

 広い肩幅もあいまって、男がじたばたと滑稽に暴れるだけ暴れているのを、まったくの余裕で封殺していた。


「鈴木くん、いつもわたしのおっぱい見てたもんね〜。部活中も授業中も〜。しっかり堪能してね〜」


 そんな言葉の最中も鈴木の抵抗は苛烈になっていく。

 なんとか酸素を求めて、体を左右にひねり、腕をぽかぽかと動かす。

 それを海野がひたすら押さえ込み、自分の胸の中で男子生徒を窒息させていく。

 その大きな胸は、男子生徒の呼吸を一切許さなかった。

 限界はすぐに訪れた。


「あ、死んじゃった」


 こともなげに言う海野だった。

 彼女の胸には、ブランと力を失って、海野の胸を支点に宙づりになった男の姿があった。


「それじゃあ次だね〜」


 海野は、死んだ鈴木をぽいっと放り投げると、満面の笑みを浮かべて残りの男子水泳部員たちに向かい直った。


「ふふっ、わたし、おっぱいで男の人を虐めるのが好きなんだ〜。この学校に入ってからも、胸で男の人殺せたら気持ちいだろうな〜って、そんなことばかり考えてたの」


 だからするね、と、海野は宣言して、


「殺し方はもう決めてあるの。次は、おっぱいビンタで殺しちゃいます。何回で死んじゃうのか楽しみだな〜」


 泣き叫ぶ男子部員たち。

 3年間の苦楽を共にしたはずの仲間を前にして、海野は彼らのことを、自分の妄想を実現できるモルモット程度にしか考えていなかった。


「次は江本くんだよ。たっぷりこの胸で可愛がってあげるからね」


 命乞いをする男子部員には無頓着に、海野が淡々と続けていく。

 その様子は、どこまでも楽しそうだった。


 *


 殺していく。

 女子が男子を殺していく。

 昨日まで同じ教室で学んできた同級生同士。

 席が隣で談笑をかわしたことのある男女。

 きさくに冗談をかわしあっていた男女。

 教科書を忘れたときに席を近づけて一緒に見た男女。

 日直で共同作業をしてきた男女。

 部活動で汗を流してきた男女。

 そんな彼女が、彼のことを、楽しそうに、無邪気に殺していった。


「やめてえええ! 佐藤さん、許してええええ!!」


 男子たちがクラスメイトの女子の名前を必死に叫んで、命乞いをする。

 そんな男子を前にして、女子たちはニンマリと笑って、楽しそうに殺していった。

 首を絞めて殺すことが大好きな女子生徒。

 彼女は、男子生徒の首を宝物のように大事に絞め続けていた。

 鬱血して舌を飛び出させ、ブクブク泡を吹いている男子生徒の顔を間近で観察し、冷たい笑みを浮かべて興奮している。

 簡単に殺すことはせず、何度も何度も息継ぎをさせ、窒息死寸前まで痛めつけていく。

 次第に反抗らしい反抗もなくなり、人形のようになったところで、力いっぱい、首が変形するほどに両手で力をこめて、殺す。満足そうに笑った少女が、次の獲物を前にして、「次はチョークスリーパーね」と宣言していた。


「痛いいいいい!! つぶれちゃいますうう!! 室見さまあああ!! やみぇへえええ!!」


 室見と呼ばれた少女は男を圧殺するのが好きだった。

 彼女は一人でおしくら饅頭をしていた。

 自慢の巨尻で、男子生徒の胴体部分を壁に押しつけている。

 その体格差ゆえ、男子生徒の体は、室見の巨尻と背後の壁にサンドイッチにされ、宙づりになっていた。

 そのまま、室見は笑顔を浮かべて、ぐいぐいと巨尻で男子生徒を潰していく。

 まるで胴体を巨大なプレス機で潰されていくような感覚。

 少しづつ、少しづつ、潰す力を強めていく少女。

 その力には限界はなく、男子生徒の限界はすぐに訪れた。

 ごぼっと、吐血する男子生徒、悲鳴と命乞いが勢いを増すが、少女はそれには無頓着に、満面の笑みでおしくら饅頭を続ける。

 顔が鬱血し、白目がすべて真っ赤になる。

 口から大量の液体とともに、なにかの臓器がごぼっと飛び出てくる。

 最後の仕上げとばかりに少女がぐいっと巨尻に力をこめて、男の胴体がミンチになった。


「アハハッ、さいこ〜。次は天野くんだよ」


 少女が笑い、次の死刑宣告をする。

 男子生徒は泣き叫びながら、命乞いを続けていた。


 *


 教室中に女子生徒の楽しそうな声と、男子たちの悲鳴が鳴り響く。

 殺して、殺していく。

 そんな光景を、一人、合格した斉藤は呆然と見つめていた。

 昨日まで、対等な立場で接してきたと思っていた少女たちが、化け物のように男たちを殺していく。

 その光景がどうしても信じられず、斉藤はただ呆然とするしかなかった。


「あはは、みんなやってるねー」


 その声にビクンと反応する。

 そこには月村が立っていた。

 彼女が満面の笑みを浮かべて言った。


「苦労したんだよ。みんなを不合格にするために、ここ1年、なんの調教もしてこなかったんだから」


 嬉しそうに、種明かしをするかのように、


「さいわい、うちのクラスの女子は、みんな、男子を殺したくて殺したくてたまらない子たちだったからよかったけどさ。クラスには一人くらい、優しくて義務感にかられた女子がいるもんだけど、このクラスには一人もいなかったのはラッキーだったね」


 月村がふふっと笑った。


「男子ったらバカだよねー。2年間、あんなに格の違いを思い知らせてあげたのに、1年間調教されないだけで、あれがけ増長できちゃうんだもん。おかげさまで、計画どおりいってよかったけどさ」


 さてと、と、月村が足下を見下ろした。

 そこには、4人の男子生徒たちが、ガチガチとふるえながらへたり込んでいた。

 彼らは、月村と3年間、同じサッカー部で汗を流した男子生徒たちだった。

 その中には、浅羽もいた。


「わたしの分は、斉藤君をぬかした君たち4人なんだ。みんな見知った仲だけど遠慮はしないからね」

 
 月村はニンマリと猫のように笑って言った。


「たあっぷり、時間をかけて、殺してあげる♪」


(続く)