* この作品は「ブラック企業で体を壊した僕が高級ホテルで長身爆乳大学生のペットになるまで」の前日談になります。
* 単体でも楽しめるようにはなっていますが、若干のネタバレを含みますのでご注意ください。
* よろしければ、「ブラック企業~」を読んでいただけますとありがたいです。
彼女と出会ったのはサークルの飲み会だった。
やけに高い身長にタレ目がちな瞳。
きわめつけは、今まで見たこともないほどの大きな胸。セーターにはりついたそのふくらみを前にすると、どうしても目がそこに吸い込まれてしまった。
「ねえ、あの子って、名前なんて言うの?」
隣に座った友人に質問する。
酒を飲んで既に顔が赤くなっていた友人が「ああ」とつぶやいてから、
「飯島だよ。飯島佑梨」
「呼び捨てってことは、同期生ってこと?」
「ああ、有名人だよ、彼女」
どうやらインスタをやっていてフォロワー数が半端ないということらしかった。なぜこんな映画鑑賞サークルなんていう地味な団体に所属しているのか分からないと、友人は言った。
「なんだよ翔太。おまえ、飯島のこと気になるのか?」
「そりゃあ、あんな美人なんだし」
「そうだよなあ。お前は彼女と別れたばかりで、出会いを求めてサークルに入ったんだ。そりゃあ気になるだろうよ」
サークルに入った動機の不純さを追求されたかのようで、僕は押し黙るしかなかった。友人の言葉はそのとおりだったのだ。大学に入学してできた彼女とこの前別れた。なぜかしっくりとこなかった。自分から切り出した別れ話のことが、昨日のことのように思い出された。
「まあでもやめとけよ、飯島、付き合ってる男いるから」
「やっぱりそうなんだ」
「ああ。このサークルの部長だよ。ほら、飯島の隣に座ってる人」
そう言われて見てみれば、そこには年上の男らしい強面の男性が座っていた。飯島さんの肩を抱いて、豪快に笑っている。男らしい分厚い体をしているのが、少し離れたところからでも分かった。
「飯島がサークル入ってきたときは、男全員が狙ってただろうけど、部長が猛アタックしかけてあっという間に飯島はおちちまったよ。あっけなかったな」
友人がくやしそうに言う。
「部長、見かけどおりイケイケの男だからな。何人もの女をテクでおとしてきたっていうから、飯島もやられちまってるだろうよ」
「やられてるって?」
「部長のち●ぽでアヒアヒ言って身も心もおとされちまってるだろうってことだよ。部室でもセックスしてることがあるって、ほかの連中が言ってたし」
セックス。
その言葉が僕の下半身を刺激した。
少し離れたところでお酒を飲んで、上品そうに笑っている女の子。そんな彼女が、隣に座る男性にがんがんと腰を振るわれている光景を想像してしまう。部長が飯島さんの唇を奪ってディープキスだけでめろめろにしてしまう。そんなことを妄想しては、僕はゴクンと唾を飲み込むのだった。
「ま、お前みたいな長身イケメンなら、すぐに彼女だってできるだろうよ」
友人がなぐさめるように言って、僕のグラスにビールを注いでくる。僕は笑いながら「ありがとう」と答えた。
(でも、そうか。飯島さんには付き合ってる人がいるのか)
それが残念で仕方なかった。
大学に入学してすぐに年上の男性によって性のてほどきを受けた同期生の女の子。そんなふうに考えるとなぜか興奮した。僕は彼女の笑顔をチラチラと遠く見つめながら、彼女が犯されている様子を妄想するのがやめられなかった。
(部室でもセックスしてるのか)
友人の言葉が脳裏からはなれない。
部室でも部長が飯島さんを犯している。そんな妄想が頭の中でグルグルとまわる。しかし、実際は違ったのだ。そのことを僕はすぐに知ることになった。
*
飲み会から数日後。
映画鑑賞サークルの部室に入ろうとした時のことだ。
ドアノブに手をかけようとした瞬間、部室の中から音が聞こえてきた。
じゅぱああッ・・・・・じゅるううっ!
唾液音。
それと同時に聞こえてくる「あひん」という甘ったるい声。その甲高い喘ぎ声に、僕の心臓がドクンと脈打った。
(ぶ、部室でセックスしてるって噂)
あれは本当なのかもしれない。
飯島さんと部長がセックスしてる。
はあはあと息が荒くなる。
僕はドアを静かに開け、その中に視線をやった。
見えてきてのは、信じられない光景だった。
「じゅるるッルッ! ジュパアアッ!」
「あひん・・・・ひいん・・・・」
犯している。
それはそのとおりだった。
噂は本当だったのだ。
しかし、その光景は明らかに普通ではなかった。
目の前の光景が信じられない。
ドアごしの隙間から見える二人の情事。
部室の中では、飯島さんが部長をキスで犯していた。
「じゅるじゅっじゅるうう!」
二人は立ったままだった。
飯島さんのほうが身長が高い。
部長のことを片手で抱きしめ、片手でその頬を支えながら、上から叩き落とすみたいなキスをしている。彼女のおっぱいがぐんにゃりと部長の体で潰れているのが分かる。上からのしかかるようにして男を襲い、そのまま上から唇を奪って、口内をめちゃくちゃにしているのだ。
「・・・・・・」
しかも、飯島さんは目を見開いていた。
その瞳は冷徹な凍てつくものだった。
じっと目を開けて、目の前で痴態の限りを尽くす男を鑑賞している。目をぎゅっとつむって、あひんあひんと悶えている情けない男を見つめ、舌の動きによって男の快感のポイントをさぐっているのが分かった。
(す、すごい)
舌の動きが遠くからでも激しいことが分かる。
部長の両頬が陥没したり、ふくらんだりと忙しくなっていた。
「あひいんッ!」
それだけで男はダメになっている。
すでに腰が抜けているようで、その両足はガクガクと震えて倒れそうになっている。そんな情けない男のことを飯島さんが片手だけでがっちりと捕獲し、倒れるのを許さない。ひたすらに男の唇を奪って、ディープキス地獄で責めていく。それは本当に長い時間続いた。たっぷりと堪能した飯島さんが、ゆっくりと唇を放して言った。
「あ~あ、もうダメですか?」
その声にすら侮蔑の感情がある。
サディストだ。
飲み会で上品そうに笑っていた女性はここにはいない。ここにいるのは、男を虐め、支配し、楽しんでいるサディストがいるだけだった。
「年下の女の子に、キスだけでめろめろにされて、恥ずかしくないんですか?」
「あひん・・・ひいいん・・・・・」
「あーあ、もう言葉も喋れませんか。情けないですねー。付き合う前には、「おまえのこと俺のテクで満足させてやる」って勇ましかったのに、今じゃあその面影もないですね」
飯島さんが部長の顎を片手でつかんだ。
下から有無を言わさずにつかんで、ぐいっと上を向かせる。
「あひんん」
見えてきたのはトロトロに溶けた男の相貌だった。
眉を下げて、瞳には涙をためて、快感でよがり狂っている男の姿。そんな男のことを飯島さんは、じいいいっと冷たい視線のままで見下ろしていた。
「み、みないへええ」
男が絶叫する。
飯島さんの視線に耐えられないのだ。鑑賞される客体。男の情けなさのすべてを見つめてしまうそのサディストの視線で、男が被虐の快感でもだえている。
「ふっ、じゃあ、本気で犯すね」
飯島さんが笑って、
「本気のベロチュー。覚悟しろよ?」
「あひいいいんッ!」
始まったのは蹂躙だった。
男の体を羽交い締めにして、上から唇を奪ってめちゃくちゃにする。飯島さんの舌が男の口の中で暴れ回っている。あまりの快感で男の体がビクンビクンと痙攣していく。
「ガボオオオオッ!」
溺れていた。
男が陸の上で、女の子の舌で溺れさせられていく。その食道まで届いているのではないかと思うほどの激しさ。男が白目をむいて痙攣が強くなる。女の子に一方的に激しいキスをされて、呼吸もできなくなるほど犯されて、めろめろにさせられてしまっている。限界が早くもおとずれた。
「むっふううううッ!」
どっびゅうううッ!
びゅっびゅううッ!
叫び声とともに部長が射精した。
そのまま気絶して動かなくなる。
飯島さんが獲物を放して「ふっ」と笑った。
「あ~あ、もう気絶しちゃった」
にやにやと。
嗜虐的に笑って、
「射精もしたんだね。まだわたし、本気出す前だったんだけどな~」
飯島さんが部長の体をはなすと、そのまま気絶した男は床に倒れた。仰向けに倒れてびくびく痙攣している男。そんな男のことをじいっと見下ろした飯島さんが、「ザ~コ」と言いながら右足を振り上げ、なんの躊躇もなく顔面を踏み潰した。
(ああああ)
ぐりぐりと部長の顔面を踏み潰したまま悦んでいる飯島さんを見て、僕はよく分からない心境に陥っていた。
男が負けてしまった。
犯されてしまった。
そんな光景を見たというのに、なぜか心がとても熱くなっていた。これまで感じたことのない胸の高鳴りを感じて、とてつもなく興奮していることが自分でも分かった。
「ねえ、いつまで部室の前に立ってるの?」
飯島さんが声をかけてきた。
僕のほうに流し目を向けながらの言葉。すべてバレている。僕は驚いて一歩も動けなくなってしまった。
「はやく入ってきなよ、翔太くん」
名前を呼ばれて逃げられないとさとった。
僕はゆっくりと部室のドアをあけ、中に入った。普段どおりの上品そうな笑顔を浮かべながら、部長の顔面を踏み潰したままの飯島さんに問いかける。
「ど、どうして」
「ん?」
「どうして、飯島さんが僕の名前知ってるの?」
キョトンとした顔。
彼女はそのまま言った。
「この前の飲み会で、自己紹介してたじゃない」
「お、覚えて」
「そりゃあね。サークルの仲間なんだから、当然でしょ?」
記憶力がいいのだ。
飯島さんは頭脳の出来でも優秀な女性だった。
「驚いた?」
飯島さんが笑って問いかけてくる。
何を質問されているのかは明らかだった。
彼女はぐりぐりと力強く、部長の顔面を踏み潰していた。
「ぶ、部長と付き合ってるんじゃないの?」
「ん~? 付き合ってるんじゃない? まだ別れてはいないし」
「だったら、なんでそんなひどいこと・・・・・・」
そこで僕は地面に倒れた部長のことを心配そうに見つめた。こんなにも顔面を力強く踏まれたら怪我をしているかもしれない。そのことが心配だったのだ。
「あはっ、翔太くんは優しいんだね」
でもさ、と。
飯島さんがニンマリと笑った。
彼女はかがみこんで部長の髪の毛を片手でつかむと、ぐいっと力強く持ち上げてしまった。僕にむかってしとめた獲物を展示してくる。
「こんな目にあわされたのに、こんなトロトロな顔してる奴のことなんか、心配するだけ損だよ?」
見えてきたのは、アヘ顔を浮かべた部長の姿だった。苦しそうにしながら昇天している。そのトロけきった表情に僕は混乱してしまった。
「この人、わたしと付き合ってマゾになっちゃったんだ~」
淡々と。
事実を確認するようにして、飯島さんが続ける。
「最初はドSって感じだったけど、一回わたしとセックスしただけで、性癖が180度変わっちゃった。あっけなかったよね~。こいつ、わたしが虐めれば虐めるほど興奮するマゾになっちゃったんだよ」
にやにやと笑って飯島さんが言った。
そんな言葉に、僕は何も言えなかった。
「アヒアヒ喘ぐだけで、すぐ射精しちゃうザコ。さっきも顔面踏み潰しただけなのに軽く射精してたからね。最初の頃の男らしい感じなんてみじんも残っていない。女の子を満足させることもできないマゾ野郎になっちゃった」
きもいよね?
そう言って、ニンマリと飯島さんが笑う。
僕はやはり何も回答できなかった。
ただただ、サディスティックに笑う飯島さんの姿に、目がくぎ付けになってしまった。
つづく